TrueDepthカメラは、ディスプレイ上部にあるフロントカメラ(インカメラ)と、その近くに配置されているセンサー群の総称です。フロントカメラといえば"自撮り"用、iPhoneを手に持つ人を被写体とするためのカメラという意味合いで用いられますが、その実はFace ID用のセンサーをも含めた"ノッチ(凹み)全体"におよびます。

そこに含まれる要素を左端から順にいうと、赤外線カメラ、投光イルミネーター、近接センサー、環境光センサー、スピーカー、マイク、フロントカメラ、ドットプロジェクター(右端)の順となります。厳密にいえばスピーカーとマイクはTrueDepthカメラに含まれませんが、パーツとしては実質一体の扱いです。

TrueDepthカメラの働きを説明するときのもっとも適切な機能は「Face ID」といえるでしょう。最初に近接センサーが物体に反応すると、ドットプロジェクターから約3万本もの赤外線ビームが放射され、顔に反射して戻ってきたビームを赤外線センサーが捉え、最後はプロセッサーに画像を送信して本人かどうか判定を行う、という一連の流れはTrueDepthカメラが支えています。

従来の顔認識技術と比較したTrueDepthカメラの性能は圧倒的で、目や口の細かな動きを連続して捉えることができます(フェイストラッキング)。それを応用した技術が「アニ文字」で、ユーザの表情を読み取り犬や猫に模したアニメーションとして表現します。アニ文字の進化系ともいえる「ミー文字」も、もちろんTrueDepthカメラの機能を利用しています。

TrueDepthカメラの高い検出能力は、顔認識にとどまらず、拡張現実(AR)などの技術への応用が見込まれています。Appleが提供する開発フレームワーク「ARKit 4」も、最新版では最大3人の顔をトラッキングできるようになるなど機能強化が進められています。

  • TrueDepthカメラは、ノッチ部分に配置されたカメラ/センサー群の総称です