iPadやiPhoneでLinuxを実行する方法はしばしばメディアに取り上げられるが、Opensource.comの記事「Run the Linux command line on your iPad|Opensource.com」は、iPadのみで使える方法としてAlpine Linuxを実行する方法が紹介されている点が新しい。本稿執筆時点では、まだ実用環境として使えるものではないが、今後正式なアプリとして登場する可能性があることから将来の展開が注目される。
Opensource.comが紹介しているiPadでLinuxコマンドを使う方法は次のとおり。
- LibTermを使用する。iPadおよびiPhoneで使用できるターミナルエミュレータで、80を超えるコマンドがローカル環境で動作する。iPadを使ってLinuxコマンドの使い方を調べたり、プログラミングの学習をしたりするのに便利。
- Blink Shellを用いて、実際に動作している外部のLinuxサーバにログインする。Blink ShellをSSHクライアントを動作させるアプリとして使用。別途外部からログインできるLinuxサーバが必要。
- アプリテスト用のアプリTestFlightを使用する。ここでiSHアプリを実行する。TestFlightのiSHは仮想環境でAlpine Linuxを実行するというもので、外部のLinuxサーバが不要で、ローカルでLinuxを実行して利用できるという特徴がある。
最後に取り上げたTestFlightでiSHを使うという方法が目新しい。しかし、これは一般ユーザーが利用する類の方法ではなく、開発者または開発者に近いレベルのユーザーが利用する機能に近い。テストアプリを実行できても対象ビルドは60日間しか持続せず、そこで作成したファイルは消失する。本番環境として使うのではなく、あくまでも実験用途での利用となる。
しかし今回、Alpine Linuxをアプリとして実行するというアプローチが行われていることが取り上げられた点は注目に値する。こうした開発が成功した場合、TestFlightとしてではなく、将来的にはアプリとしてアプリストアに登場する可能性が示されたことになる。今後開発がどのように進むか動向が注目される。