9月16日に発表されたNVIDIAのGeForce RTX 30シリーズ。従来のRTX 20シリーズを遙かに凌駕する性能を備えているのは大原雄介氏のRTX 3080やRTX 3090のレビューで明らかになっているが、ここではNVIDIAの描画負荷軽減の切り札と言っても過言ではない「DLSS2.0」にスポットを当てたい。
DLSSとは
DLSSとは「Deep Learning Super Sampling」の略で、RTX 20シリーズ、RTX 30シリーズに搭載されているTensorコアを利用したAIレンダリングテクノロジ(当然TensorコアのないGeForceシリーズでは利用できない)。具体的には、NVIDIAのスーパーコンピューター上で学習したデータを活用し、解像度の低いレンダリングを高解像度と同等のクオリティにして出力できるというもの。
内部的には低解像度のレンダリング処理となるためGPUの負荷が少なく、ゲームのフレームレート(1秒間の描画コマ数)を伸ばすことができるというわけだ。どうしても描画負荷が大きくなるレイトレーシングを有効にした状態でもDLSSを併用すれば、フレームレートを稼げるのが大きなメリットと言える。
従来のDLSSは対応ゲームかつWQHD以上の解像度でしか使えないパターンが多かったが、DLSS2.0ではフルHDでも利用可能になり、品質も「クオリティ」、「バランス」、「パフォーマンス」の3段階から選べるようになった(2種類の場合もある)。品質によって内部のレンダリング解像度が変わるようだ。
NVIDIAによると4K解像度でゲームプレイする場合、DLSS2.0の品質を「パフォーマンス」に設定すると内部のレンダリング解像度はフルHDになるとしている。実際、フォートナイトでゲームの解像度を4Kに設定し、DLSSをパフォーマンスに設定するとレンダリング解像度を示す「3D解像度」の設定は50%になる。4K(3840×2160ドット)の50%はフルHD(1920×1080ドット)なので、NVIDIAの解説通りの挙動だ。
なお、DLSSを有効にすると品質ごとに3D解像度は固定され、ユーザーが変更できなくなる。3D解像度はゲームによってレンダースケールなど呼び方は変わるので注意してほしい。
MSIの最新モデル「GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24G」
と前置きが長くなったが、今回はそのDLSS2.0によってフレームレートがどう変化するのか現在NVIDIAのGeForceシリーズでは最高峰に位置するGeForce RTX 3090を搭載するMSIの「GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24G」を使って試してみたい。
GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24Gは、Ampereアーキテクチャを採用し、CUDAコア10496基(第3世代)、GDDR6Xメモリ24GBのモンスターGPU「GeForce RTX 3090」を搭載するハイエンドグラフィックスカード。
サイズは幅323mm、奥行き140mm、高さ56mmで補助電源コネクタは8ピン×3、推奨電源ユニットは750W以上となっている。ブーストクロックは定格の1695MHzから1785MHzまで向上させている「OCモデル」だ。
GeForce RTX 3090の消費電力(TGP)は350Wだが、本製品はOCモデルということもあり370Wと、ちょっと高くなっている。その一方で冷却システムは強力で、ファンにはエアフローを集中させられるというTORX FAN 4.0を採用、GPUとの接触を最大化する精密な加工を施したヒートパイプ、効率よく気流を分割して高い冷却効率を実現するヒートシンクを備えており、モンスターGPUを搭載しながら高負荷時でも動作音はかなり静かだ。
なお、テストは以下の環境で行っている。
■テスト環境 | |
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CPU | AMD Ryzen 7 3700X(8コア16スレッド、3.6GHz) |
マザーボード | MSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570) |
メモリ | センチュリーマイクロ CD8G-D4U3200H(DDR4-3200、8GB)×2 |
グラフィックスカード | MSI GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24G(NVIDIA GeForce RTX 3090) |
システムSSD | Kingston KC600 SKC600/1024G(Serial ATA 3.0、1TB) |
電源 | SUPER FLOWER LEADEX V Gold 1000W(80PLUS Gold、1000W) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |