科学技術振興機構は14日、優れた研究を行う若手女性研究者を表彰する第2回「輝く女性研究者賞」のジュン アシダ賞を理化学研究所の坂井南美主任研究員(40)に、科学技術振興機構理事長賞を東京工業大学の星野歩子准教授(38)に贈ると発表した。女性研究者を手厚く支援する機関をたたえる「活躍推進賞」には群馬大学を選んだ。11月15日に東京・お台場の日本科学未来館で表彰式とトークセッションを開催する。
同機構はダイバーシティ推進の一環として、女性研究者の活躍推進に取り組んでいる。「輝く女性研究者賞」は2019年、世界的なデザイナーだった故芦田淳氏の基金をもとに創設。第2回となる今年は4~6月に公募した。女性研究者賞の対象は4月1日時点で原則40歳未満。女性研究者賞には78件、活躍推進賞には12件の応募があり、選考委員会(委員長・鳥居啓子米テキサス大学教授)が審査した。
坂井主任研究員は天文学と化学を融合し、「原始惑星系円盤」の形成を観測。多様な太陽系外惑星系の起源や、惑星系形成の解明につながる革新的な成果を挙げた。星野准教授はがん細胞が出す微小な物質「エクソソーム」に着目。がんが特定の臓器に転移する仕組みを明らかにし、画期的な診断や治療への道を開いた。
坂井主任研究員は記者会見で「他の分野の専門家たちと研究ネットワークを構築し、宇宙のどこでどんな物質ができ、生命豊かな星に至るのかを明らかにしたい」と語った。星野准教授は「診断薬では米国で特許を取り、ベンチャー化や共同研究が走り出している。アカデミアはもっと産業界の先端に入り込むべきだ」と強調した。
群馬大学は男女共同参画を恒常的に発展させるプロジェクト「まゆだまの10年」を2013年から始め、研究者や管理職に占める女性の比率を高めた。女性が働きやすい環境づくりを積極的に進めたことが高く評価された。
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