国内IoT市場における2019年の支出額は7兆258億円であり、2020年及び2021年の成長スピードは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により若干の減速が見込まれるものの、2019年から2024年にかけて年間平均成長率(CAGR、Compound Annual Growth Rate) 10.3%で成長し、2024年の支出額は11兆4697億円になるという。IDC Japanが9月28日に発表した「国内IoT市場 テクノロジー別予測」による。

  • 国内IoT市場の支出額予測

同社はIoT支出額を、ハードウェア、コネクティビティ、ソフトウェア、サービスの4つの技術グループに分類して予測している。予測対象期間である2019年から2024年においてソフトウェアとサービスに対する支出割合は継続的に増加し、2024年には全体の6割を超えると同社は予測する。

クラウド、アナリティクス、AI(人工知能)といった技術が飛躍的に発達し、それらを活用する上での技術/コスト障壁が急速に下がる中、企業はIoTをこれまで以上に高度に活用する必要性が高まっているという。

例えば、製造業が自社製品をIoT化して顧客に提供し、サービスプロセスや製品改善プロセスを変革する上では、IoTクラウドプラットフォームやアナリティクスソフトウェア、およびそれらに付随する多様な導入サービス/運用サービスといった技術要素に対する支出の増加が避けられないとのこと。

こうしたことから、IoT向けのソフトウェアやサービスといった技術グループへの支出割合が急速に増加していくと同社は見込んでいる。

直近での国内IoT市場における重要な変化として同社は、データエコシステムとデータパイプライン/DataOpsという2つのキーワードに注目しているという。

まずデータエコシステムは、企業内部における多様なファーストパーティデータを、外部のセカンドパーティ(協業先の組織)/サードパーティ(協業先以外の外部組織)データと掛け合わせ、新たなビジネスモデル/収益モデルを創出すべく形成するステークホルダーの集合体を指す。

企業はデータエコシステムを通じ、基幹系システムのデータやデジタルマーケティング/IoTのデータなど、自社が主体となって取得するデータのみを利用するのではなく、社外のプレイヤーが保有するデータを社内データと組み合わせ、複合的に活用するための仕組みとして、産業横断型データ取引基盤、情報銀行、Data as a Serviceなどへの関心を急速に高めているとのこと。

また、IoTデータの量が、IoTデバイス接続数の急速な拡大によって今後爆発的に増大することに伴い、リアルタイムなデータ処理や高度な分析を行うためのケイパビリティの重要性が高まっているという。

膨大な量のIoTデータから引き出す価値を最大化するには、ストリーミング型分析エンジンの活用がポイントになるとのこと。また、分析エンジンとAI機能を組み合わせることで、新たなインサイトの創出が可能になるとしている。

企業はこうした取り組みを推進する上で、データの収集、保護、品質管理、統合、準備、学習、分析、活用などの各プロセスと、それを支えるテクノロジー、および各プロセスに関わる組織や人の概念であるデータパイプライン/DataOpsの全社的な整備が必須になりつつあるという。

データの仕様を組織内で統一し、かつエンジニアリング部門、営業部門、マーケティング部門、サービス部門といった、各部門に適切なアクセス権限を付与するなど、データ処理/分析プロセスを最適化するための組織作りの重要性が高まっていると同社は指摘する。

同社コミュニケーションズのシニアマーケットアナリストである鳥巣悠太氏は、「IoTに必須なテクノロジー/ビジネススキルの業界全体での底上げをすべく、ベンダーと企業の間で相互的に知見を共有しながら人材育成を進めることで、IoT業界全体として人材の裾野を広げることが肝心になる」としており、また「ベンダーはDX/IoTソリューションの提供に際し、データエコシステムを最大限活用することが必須になる」と述べている。