3つの障害ドメインによって可用性を確保

Oracle Cloud VMware Solution では、1ノード当たり52コア、768GBメモリ、25Gbps×2ネットワーク、51.2TBのローカルNVMeストレージによるコンピュートインスタンスを、最低3ノード(156コア)から利用可能で、クラスタ当たり最大 64ノードまで拡張が可能だ。これを超える場合は、さらに複数のクラスタにまたがった提供も可能にしている。

3つの障害ドメイン(FD)にESXiホストをデプロイすることでサーバの可用性を確保する一方で、vSANによって複数のESXiホストでデータを複製して保持し、データの可用性を確保。VMwareソリューションに必要なエンタープライズスケールの環境を、クラウド上で実現する。

すべてのVMwareコンポーネントはFDに分散されるほか、vSANによりデータはESXiホスト間で複製されるため、高い可用性が得られるという。

また、SDDC(Software-Defined Data Center)は、仮想クラウドネットワーク上のレイヤー2ネットワーク(VLAN)を使用して構成。OCIのネットワークのスケールとパフォーマンスのメリットを享受でき、レイヤー2のネットワークを必要とするアプリケーションもサポートしている。

さらに、Oracle Cloudを提供している世界19カ所の商用リージョンやガバメントリージョンにおいて、レプリケーションやバックアップが可能であり、東京と大阪の国内のリージョンを活用するといった対応を含め、必要に応じた災害復旧対策が可能になっている。

そのほか、NVMeを使用した高速なストレージ、広帯域および低遅延のネットワーク、最新のCPUにより、高い性能を発揮。高性能と高拡張性、認定された環境での動作が可能になる。

特徴は「フルマネージドにはしていないこと」

今回のOracle Cloud VMware Solutionで特徴的なのは、「あえてフルマネージドにはしていない」という点だろう。

例えば、VMware Cloud on AWSでは、データセンター、物理インフラ、仮想ネットワーク、VMware環境はすべてベンダーが管理するが、Oracle Cloud VMware Solutionでは、データセンターと物理インフラはベンダー管理であるのに対し、仮想ネットワーク環境やVMware環境は、顧客が制御・管理する形にしている。

「オンプレミスと同様の環境を実現する上で、顧客によるvCenterへの柔軟な管理アクセスやセキュリティ管理のほか、任意のタイミングでのパッチやアップグレードを実現できるようにした。ベンダー側のスケジュールに依存すると、オンプレミスの運用とは異なる状況になる。オンプレミスの運用形態を踏襲する意味で、あえてフルマネージドの環境にはしていない」と説明する。

価格は、156コアの最小構成時で月額2万3570ドルから。OCIおよびVMwareの両方を含んだ価格となっている。最低1カ月からの利用が可能になっている。

「OCIは、アウトバウンド通信のデータ転送コストでは圧倒的な低価格を実現している。ここは見落とされがちな部分であるが、Oracle Cloud VMware Solutionでも、こうした部分でのコスト競争力を生かすことができる。また、オンプレミスと同様の管理手法を導入できる点も、結果として、コストメリットにつながるということもできる」と、佐藤氏は説明する。

最小構成が156コアという規模であることから、一定規模で稼働をさせている顧客がまずは対象となる。将来的には、より小さい規模から活用できる環境の実現にも期待したいところだ。

  • 「Oracle Cloud VMware Solution」の特徴