2in1パソコンで圧倒的な人気を誇るのが、日本マイクロソフトの「Surface」シリーズです。そんなSurfaceシリーズで、新製品が登場するたびにネットで見かけるのが、「Officeバンドルいらない」「Officeなしモデルを出してくれ」という声です。
というのも、個人向けのSurfaceはOfficeが標準搭載されており、すでにOffice 365を契約しているユーザーにとってはライセンスがダブッてしまうからです。しかしながら、Officeなしモデルは法人向けあるいは教育機関向けに販路が限定されており、一般ユーザーが手に入れることはできません。
しかし、ユーザーの属性いかんでは、正規のルートでこの法人向けモデルを手に入れることができます。それは「Amazonビジネス」を使う方法です。今回、実際にAmazonビジネス経由でSurfaceを購入できたので、その具体的な流れを紹介します。
個人事業主なら「Amazonビジネス」でSurface法人モデルが買える
Amazonビジネスはその名の通り、ビジネスユーザーを対象としたAmazonのメンバーシップです。請求書による後払いや見積書の発行、発注番号の追加、複数メンバーでの共有などビジネスに必要な機能を備えており、個人アカウントから切り替えるか、あるいは個人アカウントと併用する形で利用できます。
Surfaceの法人向けモデルは、個人向けのAmazonのアカウントで在庫を確認すると、注文できない状態になっています(画像上)。しかし、このAmazonビジネスのアカウントで見ると、きちんとマイクロソフト公式ストアの在庫が確認でき、注文が可能な状態になっています(画像下)。
実は、日本マイクロソフトの法人購入窓口に問い合わせても、個人事業主については自社ストア経由ではなく、このAmazonビジネスを利用するよう案内されます。詳しい理由は不明ですが、おそらく審査の仕組みを自社で持たないことから、Amazonビジネスのプラットフォームに乗っかる形で対応しているのでしょう。
したがって、個人事業主としてAmazonビジネスの審査をパスさえできれば、堂々とSurfaceの法人モデルを注文できるというわけです(いわゆる「法人成り」はしていなくとも問題ないようです)。個人事業主である筆者も、よい機会なので申し込んでみることにしました。
Amazonビジネスの登録に必要なのは、確定申告書Bや開業届など、個人事業主として活動していることを証明する書類のコピーです。それらをスキャンして申込フォームからアップロードすると、早ければ数時間後にはビジネスアカウントの利用が可能になります。
書類に不備があったり、それ以外の確認事項が必要な場合は、Amazonから3営業日以内に連絡が来ることになっています。筆者は今回、前年分の確定申告書Bの控えをスキャンし、所得額など金額にまつわる部分を塗りつぶした状態で提出しましたが、問題なく審査を通過し、当日中にAmazonビジネスの利用が可能になりました。
ちなみに、登録可能なのは「法人または個人事業主」で、前述の確定申告書Bのほか、開業届や青色申告承認申請書、所得税青色申告決算書でも可能とされていますが、税務署の押印があるか、もしくはe-Taxを利用して提出した場合は受付日時と番号の印字があることが条件となっています。実態のない個人事業主は難しいと考えたほうがよいでしょう。
実際に使って分かった、Amazonビジネスはここがスゴイ
この記事の主旨は、あくまで「法人向けのSurfaceを入手するにはAmazonビジネスが早道ですよ」というものですが、実際にAmazonビジネスで商品を購入して分かった特徴も、ざっとまとめておきたいと思います。未登録の人は参考にしてください。
ひとつは、梱包に納品明細が紙で添付されることです。現在、通常のAmazonのメンバーシップでは、納品書は添付が省略され、梱包箱に入っているのは商品だけです。
これに対しAmazonビジネスでは、納品明細が紙で同梱されるので、検品もスムーズに行なえます。ただし、領収書は通常時と同様、オンラインでの出力になりますので、この点において利便性が上がるわけではありません。
消費税が別途記載されるのも特徴です。通常のAmazonでは価格は税込表記で、本体価格と税額を分けるには、別途計算が必要になります。Amazonビジネスでは、本体価格と合計額が記載されているため、処理も容易です。個人事業主でも区分経理が当たり前になりつつある現在、ニーズに即した機能といえます。
取扱製品については、今回筆者が購入した法人向けSurface Go 2のように、Amazonビジネスでしか買えない製品もあるほか、通常のAmazonに比べて価格が安く設定されている製品もちらほら見受けられます。数量割引が設定されているのも、通常のAmazonにはないメリットです。
そして、もしかすると最大の特徴は「配送の速さ」かもしれません。お急ぎ便指定でないにもかかわらず、それ以上にスピーディな配送は、「注文ボタンを押す前から近所の電柱の陰で箱を持って待機しているのでは」とまでいわれた、10年以上前のAmazonの迅速な配送を彷彿とさせます。これだけでも使ってみる価値はあるでしょう。
以上、法人向けSurfaceを例にAmazonビジネスについて紹介しましたが、しばらく使ってみた限りでは個人事業主である筆者にとってメリットは多く、これからも継続して使いたいと思わせる内容でした(事実、そのまま使い続けています)。「個人事業主であれば」という条件は付きますが、今回紹介したなかで気になった機能があるようなら、Surface購入の有無とは関係なく、利用を検討してみてはいかがでしょうか。