ハイエンドを中心としたBTOパソコンの企画・製造を手掛けるサードウェーブのゲーミングPC「GALLERIA(ガレリア)」が、7年ぶりに大幅なリブランディングを行った。生まれ変わったGALLERIAは、以前とどこが違うのか? どんなところを目指してリブランディングは行われたのか? 開発のキーとなった2人にお話をうかがった。

  • サードウェーブで新GALLERIAのプロダクトマネージャーを担当した武藤亮太氏(左)と、製品企画担当した瀧吉佑介氏(右)

7年ぶりのリブランディングを決めた2つの理由

――リブランディングについて触れる前に、そもそもGALLERIAはどういうコンセプトを持ったブランドとしてスタートしたのか教えてください。

瀧吉佑介氏(以下、瀧吉氏):ゲームをPCで遊ぼうと思うと、CPUもグラフィックスもなるべく高い処理能力が必要ですが、いいハードを組み合わせたからといって、それだけでゲームが動くのかというと、そんな簡単にはいきません。

――今はだいぶ減りましたが、メモリの相性や、各種ドライバの相性が問題になることも多かったですね。

瀧吉氏:GALLERIAの歴史がはじまった2002年ごろは、「ゲームが動かない」といったトラブルが起こっても、何が原因か自分で判断するのは非常に困難でした。その問題を解消し、各ゲームの快適な動作を保証する「ゲーム用チューニングモデル」として製品化したのがGALLERIAのはじまりです。パーツ構成やソフトウェアのチューニングを固めることに注力した、弊社のBTOマシンの延長といった位置づけでしたね。

武藤亮太氏(以下、武藤氏):その後GALLERIAは順調に進化を続けていましたが、ほかのゲーミングPCとの差別化を図るため2013年にリニューアルしました。

  • 武藤亮太氏はマーケティングを含め、GALLERIAというブランドのマネージメントを担当した

――今回のリブランディングはその2013年以来となりますが、何がきっかけとなったのでしょうか?

武藤氏:ポイントは2つあります。弊社は2年前に、「今後eスポーツへ積極的に投資していく」と発表しました。その後、協賛したイベント会場などで、ユーザーの皆さんと接する機会がとても増えたんです。

多くの方とお話しさせていただいたことで、ゲームのヘビーユーザーの方々にはGALLERIAという名前や、私たちの想いが伝わっていると実感しましたが、新たにゲームの世界に入ってこられた方々からはそれを感じられませんでした。ならば、今こそ若年層をはじめ、動画配信などでPCゲームに興味を持ちはじめたばかりの新たなユーザー層に対して、「GALLERIAというブランドを改めて自己紹介する時期だ!」と思ったんです。これが、1つめのポイントです。

――従来のGALLERIAは、コアゲーマー向けに尖りすぎていたわけですね。

武藤氏:そうですね。もう1つは、ケースのリニューアルです。既存の黒いケースは2013年から使い続けていました。当時としては最先端のものを採用していましたが、さすがに7年も経つと、マーケットはもちろん、中に組み込んでいるハードウェアのトレンドも大きく変わってきて、「今の最善」ではなくなっていたのです。

こうした2つの理由から、「やるならPCゲーム市場が拡大している今」と、リブランディングが決定しました。

瀧吉氏:おかげさまで、GALLERIAは「ハイエンド・ハイパワー」のマシンとして、開発関係やクリエーターの方々など、企業さまへの導入実績も高いブランドです。

しかし、GALLERIAというブランドはあくまでもゲーミングPC。弊社には、クリエーターさま向けの「raytrek(レイトレック)」というブランドもありますので、各ブランドをもっとわかりやすく、必要としているお客さまへ伝える必要があると判断しました。それが「改めて自己紹介する」ということです。

  • 特徴的なケースデザインを含め、その仕様など、具体的な製品の設計をマネージメントした瀧吉佑介氏

武藤氏:強調したいのは、「ターゲットを、今までGALLERIAを支持してくださったコア層からビギナー層へ変えるわけではない」ということ。持ち味はそのままに、コア層の方々にはもっとご満足いただけるようにしながら、「ビギナー層にもわかりやすくする」のが狙いです。

「相棒」というキーワードに込めた想いと「機能美」

――リブランドにおいて「相棒」というワードが使われています。この意味を教えてください。

瀧吉氏:お客さまにとってこのGALLERIAがどう呼べる存在かを考えると、ゲーム環境の中心となる、「なくてはならないものである」わけですよね。それを「相棒」と表現しました。

――ホビーの時間をいっしょに過ごす「相棒」ですね。

武藤氏:今度のGALLERIAでは、相棒という言葉がふさわしいよう、ユーザビリティには本当に気を配りました。ユーザーに「気が利いているな」「わかってるな」と思っていただけるような要素を考えて、仕様を構成しています。フロントパネルのスイッチやコネクタを最上部の斜め45度のパネルにまとめた点や、天板をフラットにした点もそうですね。

ゲーミングPCならではのLEDを使ったイルミネーションにしても、好きな色に変えてパーソナライズを図ることができます。大会であればチームの色で彩ることもできるでしょう。自宅に置くので華美になりすぎては困るという方向けに、LEDを消せるようにもしています。そのうえ、消した状態でもきちんとデザインが成立するように心がけました。

最近は、SNSに自宅のPC環境がアップされることもありますが、旧GALLERIAに限らず、インテリアにゲーミングPCが溶け込んでいるのは少ないと感じます。

使い勝手は言うに及ばず、そうしたインテリアへのマッチングも含めて「“使いやすさ”とはどういうことか」を、とことん考えました。目指したのは「必要な機能だけをきちんと積み上げたうえで出てくる機能美」ですね。

瀧吉氏:ユーザビリティを追求した結果として生まれるデザインやその美しさを目指しました。

  • 黒一色だった無骨なものから、金属の質感を活かした銀と黒を貴重としたスタイリッシュなデザインへ。「GALLERIA」という文字にエンブレムが付加され、ロゴも新しくなった