サブスクなら、シニア世帯に「まずは使ってみて」とオススメしやすい

サブスクリプションサービスによって、これまでなかなかアプローチできていなかった層(シニア世帯など)の利用増にも期待がかかります。

山田氏:「先ほど、ロボット掃除機を最初に導入するときの3つの障壁(*)のお話をしましたが、実はほかにも心理的なハードルがあるんです。これは、日本特有なんですが、ロボット掃除機に掃除をまかせると、罪悪感を抱くお客さまが少なくありません。特に年齢が高くなるほどその傾向があります。掃除を人にまかせるのをギルティに感じてしまう。日本人のいいところでもありますけどね。

今回のロボットスマートプラン+(プラス)でお気軽に試していただいて、ロボット掃除機を使えば、いままで掃除をしていた時間で別のことができる……『時産』になるという経験をぜひしていただきたいと期待しています」

*:『従来型の掃除機が好き(十分)』『ロボット掃除機は値段が高い』『ロボット掃除機はキレイに掃除できないと思う』

山田氏によると、子育て世代が自分たちでロボット掃除機を使っていて便利だからと、自分たちの両親にプレゼントするケースがあるそう。そういう場合でも、ロボットスマートプラン+(プラス)なら、「やっぱり使わないかも」となればプランを解約すればいいので、ムダになりません。

山田氏:「興味深いデータとして、当社のロボット掃除機を購入されたお客さまの年収中央値に対して、サブスクリプション契約は高収入層と低収入層のお客さまがぐっと伸びているんです。

年収が高い層の利用が多いのは予想外だったのですが、こうしたお客さまは『手元に現金が残ること』『自分の生活にフィットするかどうか』を重視する傾向にあります。お金に余裕があるからといって、そうそう高額な家電を買うわけじゃないんですよね。

サブスクリプションなら使わなくなれば返却すればよいので、必要なときだけ使えます。そういう点が、スマートにお金を使いたいという層に受け入れられているようです」

  • ブラーバジェットm6(左)とルンバ i7+(右)は、Wi-Fi経由で連携も可能です。ルンバの掃除が終わると、自動的にブラーバジェットが床拭き掃除を始めます

「ステイホーム期間」で、Wi-Fi接続が増えた

現在、日本国内で販売されているアイロボットのロボット掃除機は、全モデルがWi-Fi機能を備え、スマートフォンアプリ「iRobot HOME」に対応しています。世界的に見ても、アイロボットのロボット掃除機でWi-Fi機能とスマホ連携を利用するユーザーが増えているそうです。2020年の第1四半期(1月~3月)では、新たに500万台以上のロボット掃除機にて、Wi-Fiが利用されるようになっています。

加えて、使い方も変化しているのとのこと。

山田氏:「Wi-Fi機能(スマホアプリ)の使い方として、以前は外出先からロボット掃除機をオンオフしたり、スケジュール機能を設定したりと、スマホアプリをリモコンのように使うユーザーが中心でした。

最近はマップ機能を利用した使い方が増えています。ロボット掃除機が部屋の間取りをしっかり学習するので、掃除する部屋を指定したり、逆に入らないエリアを設定したり。自分の生活スタイルにあわせて、ロボット掃除機の進化機能をうまく使いこなすユーザーが増えてきました」

  • コロナ禍によって多くの人が在宅時間が増え、宅内の汚れや掃除が負担になっています

筆者も自宅でアイロボットのルンバを使っていますが、自宅にいる時間が長くなほど部屋は汚れやすく、また部屋の汚れにも気付きやすくなります。とはいえ家事だけをするわけはいかず……というわけで(ライターという仕事柄、自宅で原稿を書く時間が長いのです)、ロボット掃除機で掃除する頻度が高くなりました。

スマホアプリを使うと、「今いる部屋は掃除せずに、使っていない部屋だけを掃除する」「じゅうたんの部屋だけ何回も掃除する」といったように、動作を詳しく指定できて便利です。きっと、多くのユーザーが似たような使い方をされているのではないでしょうか。

メーカーの身勝手にならないよう、ユーザーにより沿ったプランを

ちなみに、「ロボットスマートプラン+(プラス)」の「おためし2週間コース」で使用されるロボット掃除機は、アイロボットがメンテナンス・清掃を行ったリユース品になります。一方、「あんしん継続コース」で使用されるロボット掃除機はすべて新品とのこと。消耗品については、初回セット分以外は、自分で購入することになります。

山田氏:「メーカー側から消耗品を定期的に送るプランも考えましたが、掃除する頻度や、用途によって使う消耗品は異なります。使わないパットを送りつけられても、お客さまは困りますよね。ですので、今回はやめました。ロボット掃除機の魅力をお伝えするために、メーカーが先走って身勝手にならないよう心がけています。

いろんな方法でお客さまのお役に立ちたいと思っていますし、今回のサブスクリプションサービスもその1つです。これからも、続々と新しい製品、サービスをご提供していきますので、ぜひご期待いただければと思います」

「ロボット掃除機、一家に1台」を実現するために

アイロボットジャパンは「ロボット掃除機一家に一台」という目標を掲げ、製品ラインナップのほか、サブスクリプション「ロボットスマートプラン」をはじめとする各種サービスを提供し、ロボット掃除機の普及に力を入れています。

米国におけるロボット掃除機の世帯普及率は約10%とされるのに対し、日本市場は6.5%です。米国市場に比べると、ロボット掃除機の普及はまだまだこれから。今後さらに普及をするため、どのような課題を感じているのでしょうか。

山田氏:「一番の課題は、皆さまにロボット掃除機の価値をお伝え切れていないところ、ですね。ロボット掃除機は、新規参入が少ないということが関係しています。諸外国では、さまざまなプレーヤーがそれぞれ投資し合って、マーケットを大きくしています。

対して日本は、何年かに一度くらいのペースで新規参入があって、新製品が発売されるタイミングで広告投資が入りますが、なかなか続きません。そこは、当社がロボット掃除機のすばらしさを継続してマーケットに伝えていこうと思っています」