パンチホール型ノッチのディスプレイに、背面にもガラスを採用した外観。4眼カメラに大容量バッテリーと充実のスペックを備えながら、実勢価格が3万円を切る高コスパスマホとして注目を集めているのが、シャオミの「Redmi Note 9S」です。

筆者も試してみましたが、コスパに優れているのはもちろんのこと、使いやすさの面でも大変よく考えられたスマホだということがわかりました。

  • Redmi Note 9Sのグレイシャーホワイト。4GBメモリ+64GBストレージモデルで税込24,800円(Amazon.co.jp価格)(写真:マイナビニュース)

    Redmi Note 9Sのグレイシャーホワイト。4GBメモリ+64GBストレージモデルが税込24,800円(Amazon.co.jp価格)、6GBメモリ+128GBストレージモデルが税込29,800円前後(量販店オンライン価格)

やや重でも、画面占有率91.8%の迫力

まずは本体のサイズですが、これは正直なところ大きくて重いです。重さは200gオーバーですからコンパクトなスマホを求めている人には、当然ながらおすすめできないサイズ感。

一方でこの大きさ、重さは、6.67インチFHD+(2,400×1,080)の見やすい大画面と、5,020mAhの大容量バッテリーとのトレードオフでもあります。特にパンチホール型ノッチを採用し、画面占有率91.8%と画面いっぱいに広がるディスプレイは、色鮮やかで迫力があります。

  • 高さ165.75×幅76.68mm×厚さ8.8mm、重さは209gと大きく重いですが、背面の角が緩やかにカーブした手になじむデザインなので持ちにくさはなく、ガラスを採用した背面の触り心地も良好。ディスプレイ前面だけでなく、背面にも強化ガラスの「Corning Gorilla Glass 5」を採用している点も好印象です

電源ボタン一体の指紋センサーが便利

動作の快適さにも不満は感じません。チップセットはプレミアムミドルといった位置づけの、Qualcomm Snapdragon 720Gを搭載し、メモリーはRAM4GB、ROM64GB、またはRAM6GB、ROM128GB。実勢価格から考えれば、充実のスペックと言えます。

大容量だけにバッテリー持ちもいい(2日は余裕)ですし、高精細なゲームはもちろん、最近急増している様々なエンターテインメントの有料ライブ配信を楽しむのにも、ストレスの少ないディスプレイ&基本スペックだと思います。

  • 筆者が特に気に入った箇所のひとつが、電源ボタンと一体になった指紋認証センサー。電源オンと指紋認証が一度の動作でできるのはとても使いやすいです。顔認証も備わっていますが、マスク必須の今は指紋認証によるロック解除が必須。それがスムーズな動作の中でストレスなくできるのは、かなりポイントが高いです

  • この大きさあってのメリットと言えるのが、2枚のSIMカードとmicroSDカードが同時にセットできるようになっていること。2枚目のSIMカードとmicroSDは排他型である場合が多いので、デュアルSIMが使いたい人にはうれしいポイントでしょう

  • イヤホンジャックが搭載されていて、好きなヘッドフォンが利用できます。ヘッドフォン利用時に使えるイコライザー機能もあります

カメラは4眼、超広角やマクロも

背面には4,800万画素のメインに加えて、800万画素の超広角、500万画素のマクロ、200万画素の深度センサーという構成の、4眼カメラが搭載されています。

最近のスマホはだいたいそうですが、「Redmi Note 9S」もこのカメラ部分が割としっかり出っ張っています。気になる人は同梱されている透明の樹脂ケースを装着すると、いい感じで収まります。

  • 4眼カメラの構成は4,800万画素のメイン(右上レンズ)、800万画素の超広角、(左上レンズ)500万画素のマクロ(左下レンズ)、200万画素の深度センサー(右下レンズ)。さすがに出っ張りが目立ちます

  • この価格でケースまで同梱されているのは、ホントありがたいですね。さらに「Redmi Note 9S」の付属ケースは、USB-type Cコネクターにしっかりフタができるようになっています。IP規格ではない独自の防滴性能をうたう「Redmi Note 9S」ですが、付属ケースもコネクタをカバーする仕様になっています

4眼なのに高コスパという文脈で語られることの多い「Redmi Note 9S」ですが、筆者は当初カメラにはあまり期待していませんでした。ハイエンドスマホを使う機会が多くすっかり目が肥えてしまっているからですが、結論から言うと良い意味でこの予想は裏切られました。

作例を見てもらえばわかるとおり、まずF値1.79と大変明るいメインカメラのおかげで暗所に強く、また深度センサーの恩恵で背景ぼけにも違和感がありません。

想像を超えるクオリティの写真

画角は超広角・等倍・光学2倍ズームと切り替えらるのですが、119度の超広角カメラがあるおかげで、後ろに下がらなくても広い絵が撮れますし、デジタルズームも元が4,800万画素もあるので、MAXの10倍デジタルズームでもそれなり。何より超広角、マクロ、ズーム、さらに深度センサーまでカバーしているので、スナップ写真で撮りたい写真はだいたい撮れます。

  • AIがシーンを自動判別して設定を最適化してくれるので、基本的には何も考えずにシャッターを押すだけで良いのですが、スローモーションから高精細モード、夜景、プロモードまでいろいろな撮影が楽しめるモードも豊富

「写真モード」で撮影

以下5枚の写真は、いずれもごく普通の「写真モード」でAIまかせで撮ったもの。色味もビビッドすぎずに自然で、満足度の高い写真が撮れます。背景ぼけも自然です(いずれも記事用にリサイズ済み)。

メインカメラ・超広角の比較

メインカメラ(写真上)と超広角(写真下)の比較。超広角では広角特有のゆがみはあまり気にならないものの、メインカメラとは明るさだけでなく色味も違っています。この色味の違いは気になりました。

  • メインカメラで撮影

  • 超広角で撮影

暗い場所で撮影

暗所でもこの通り(写真上・下)。明るく、かつ雰囲気を残した写真が撮れます。

  • いずれも夕暮れを過ぎた暗めの路地で撮影

セルフィーで撮影

1,600万画素のフロントカメラには美顔はもちろん、手のひらシャッターや、パノラマ対応など、セルフィーが楽しくなる機能が充実。背景をぼかしたポートレートも自然でいい感じです。

  • 片手持ちでのセルフィー撮影

カメラ関連の機能など

カメラ関連では、SNS投稿にちょうどいいショートビデオが撮影できるモードがあったり、複数の写真を1枚にコラージュできる機能がギャラリーに標準搭載されていたりと、写真や動画を撮ってSNSに投稿するのに役立つ機能が搭載されています。

  • SNS投稿向けに複数の写真をレイアウトしたり、投稿画像の余白やアスペクト比を調整したりも

  • ギャラリーにはたくさん撮った写真の中から、ベストショットを自動的に選んでリコメンドしてくれる機能もあります

タスク切り替えで2画面を活用

「Redmi Note 9S」にはAndroidをベースにしたシャオミのカスタムOS「MIUI」が採用されています。

その機能の中でも特に筆者が良いと思ったのは、6.67インチの大画面を活かせるマルチウィンドウ機能。他メーカーのスマートフォンでは、起動中のアプリ一覧が表示されるだけのタスク切り替え(履歴/メニューボタン)から、画面を分割できるようになっています。

  • タスク切り替え画面には起動中のアプリがタイル状に並び、画面分割が可能。アプリを選んで表示されるメニューから画面分割のアイコンを選びます。ほかにもメモリー解放などアプリに関する操作はここからまとめてできます

なお、「MIUI」ではカメラの起動やスクリーンショットなどの動作に、特定のショートカットを割り当てることができ、画面分割にもメニューボタンの長押しなどのショートカットが割り当てられます。

2画面表示がごく簡単にできるようになるので、日常的にマルチタスクができます。スマホのマルチタスク(2画面表示)機能は、切り替えが面倒で使われないケースが多いので、ショートカット化は実用的で好印象でした。

  • よく使う機能にさまざまなショートカットを割り当てることができます

このほか細かいところですが、シャオミのスマートフォンはしずくが水に落ちる音や鳥の声など、効果音に自然の音が用意されていて、それもなかなか心地よいです。

他のメーカーのスマートフォンから乗り換えた場合は少々戸惑うかもしれませんが、「MIUI」ならではの機能は慣れると手放せなくなるものも多そう。「Redmi Note 9S」は単純なコスパ以外にも、性能、カメラなどのバランスがよく、なかなか魅力的な端末と言えるでしょう。