「FireCuda Gaming SSD」と「BarraCuda Fast SSD」は共にこの6月に登場したSeagateの外付けSSDだ。前世紀からの自作PCユーザーとしては「内蔵HDDベンダーのSEAGATE」だが、現在はSSDも内蔵外付け、さらにコンソールゲーム機含めて幅広く製品を展開している。PC用外付けSSDで軽量なモバイルタイプだけでもブランドは「Ultra Touch SSD」「One Touch SSD」「Expansion SSD」と多岐にわたる。

薄型軽量でも早いモバイルモデル

日本でも記事で紹介される機会が多いOne Touch SSDはメモリとの接続バス規格がSerial ATA 6Gbpsで、PCとの接続はUSB 3.0(Type-A)となる。

今回紹介するうちの1台、BarraCuda Fast SSDは、One Touch SSDの「薄型軽量のモバイルSSD」の後継となるモデルだ。PCとの接続ケーブルはUSB Type-C形状だが、バス規格としてはSerial ATA 6Gbps接続のUSB 3.0になる。サイズは、One Touch SSDの幅75×奥行き55.5×高さ10ミリ、重さ65グラムに対して、BarraCuda Fast SSDは幅93.45×奥行き79×高さ9.1ミリ、重さ82グラムと、薄くなったもののフットプリントは大きくなり、重くなった。ただそれでも、コンパクトで軽いことには変わりなく、One Touch SSDの「財布に収まる」とはいかないものの、ジャケットはおろかシャツの胸ポケットに問題なく収まる。

  • BarraCuda Fast SSD。スリットから輝く蛍光グリーンがデザインのアクセント

    BarraCuda Fast SSD。スリットから輝く蛍光グリーンがデザインのアクセント

  • 評価機材の重さは実測で82グラム

  • 付属するUSBケーブルの重さは25グラム。太くて硬くて取り回しは少し苦労する

スタイルは、ほぼ正方形(だけど角丸なので角が当たっても痛くない)のプレートにとても薄いシートを貼ったような形状で、全体がブラックのボディなれど薄いシートの側面をメタリックな蛍光グリーンに染めている。さらに、PCと接続して起動した状態では、ケーブルの差込口側、「SEAGATE」のロゴの向き的には下側のシート側面に内蔵したLEDで側面と同じ蛍光グリーンで輝く。この光は終始同じ輝度ではなく、明暗を不規則なパターンで繰り返す。公式なドキュメントはないが、PCのタスクモニターと一緒に輝度を目視で観察した限りでいうと、転送速度と輝度の高低が一致している「ようにも」思えた。なお、このLEDの輝度パターンと光る色についてはユーザーのカスタマイズはできない。

  • 薄いシートのようなプレートの側面だけを蛍光グリーンに染めている

パッケージにはPCとの接続ケーブルとしてUSBのType-C-Type-CコネクタとともにType-C-Type-Aコネクタも用意している。また、Adobe Creative Cloud Photographyプランのメンバーシップ2カ月のライセンスも付属するので、Lightroom CCとPhotoShop CCを登録日から2カ月間利用できる(ただし、利用期限は2021年1月31日まで)。

USB接続のストレージデバイスということで、Windows OS(Windows 7以降)を導入したPC、または、Mac OS 10.12以降を導入したMacのUSB 3.0に接続すれば、そのままストレージとして認識して使用可能だ。ただ、Seagateの外付けストレージに共通のユーティリティがBarraCuda Fast SSDにも用意されているので、BarraCuda Fast SSDのルートフォルダにあるインストーラを利用して導入しておきたい(このとき、製品登録をスキップしてもユーティリティは導入できる)。ここで導入できるToolkitの「Sync Plus」を利用すると、指定したフォルダ、もしくは、ドライブ全体とBarraCuda Fast SSDで同期をとることが可能になる。DropboxやGoogle Driveなどのクラウドに設定したリモートドライブと同じ感覚でファイルを同期できるので、複数のPCでそのような運用をしているユーザーには便利な機能だ。

  • Toolkitの「Sync Plus」ではクラウドストレージと同じ感覚で同期が可能だ

BarraCuda Fast SSDの接続規格はUSB 3.0とSerial ATA 6Gbpsということで、従来モデルのOne Touch SSDと同じだが、Seagateの公式仕様では最大転送速度がOne Touch SSDの400MB/秒に対して540MB/秒と高速化している。そこで、ベンチマークテスト「CrystalDiskMark 7.0.0G x64」で転送速度を測定してみた。なお、測定に用いたPCのシステム構成は、CPU:Core i7-10510U(4コア8スレッド、1.8GHz/最大4.9GHz、スマートキャッシュ8MB)、システムメモリ:LPDDR3 16GB(8GB×2)、ストレージ:512GB SSD PCIe OS:Windows 10 Home 64ビット版となる。また、比較対象として、CPU:Core i5-8265U(4コア8スレッド、1.6GHz/最大3.9GHz、スマートキャッシュ6MB)、システムメモリ:DDR4-2666 8GB、ストレージ:256GB SSD SATA 6Gbpsのシステムで測定した内蔵SSDのスコアを用意した。

CrystalDiskMark テスト BarraCuda Fast SSD 比較対象内蔵SSD
SEQ1M Q8T1 Read(MB/s) 565.18 527.38
SEQ1M Q8T1 Write(MB/s) 304.51 424.28
SEQ1M Q1T1 Read(MB/s) 423.20 441.26
SEQ1M Q1T1 Write(MB/s) 264.44 379.81
RND4K Q32T16 Read(MB/s) 236.84 216.54
RND4K Q32T16 Write(MB/s) 4.54 327.36
RND4K Q1T1 Read(MB/s) 27.32 18.74
RND4K Q1T1 Write(MB/s) 3.74 46.90

搭載するCPUの世代とグレードが1ランク違うが、それでも外付けSSDが内蔵SSDと同等の転送速度を発揮している。ちなみに、筆者が実作業で生成したデザインデータを40GBほど転送してみたところ、ストップウォッチによる手測定で書き出しが約2分15秒、読み込みは約1分44秒かかっている。なお、この処理における表面温度を非接触タイプの赤外線温度計で測定してみたところ、最高で40.9度だった。