とにかく速いゲーミングモデル

もう1つの新製品「FireCuda Gaming SSD」は、製品名にあるようにゲームユーザーに向けた外付けSSDだ。最近のPCゲームはとにかくサイズが大きい。ゲームを“長年にわたって”インストールしているとローカルストレージがパンク寸前というベテランゲーマーも少なくない。ストレージの増設が難しいゲーミングノートPCのユーザーの場合、外付けのストレージにゲームをインストールするという手もあるが、転送速度が遅いとゲームのローディングに時間がかかってしまう。このようなゲーミングユーザーの要望に応えるのが、FireCuda Gaming SSDとなる。

  • FireCuda Gaming SSD。こちらもスリットで輝くLEDがデザインのアクセントになる

    FireCuda Gaming SSD。こちらもスリットで輝くLEDがデザインのアクセントになる

本体サイズは幅52.5×奥行き104.4×高さ10ミリ、重さ100グラムとBarraCuda Fast SSDと比べて細身で長くて重い。数値上は100グラムだが手にすると意外とズシッとくる。形状は薄い板のような直方体で隅は直角だが、表面素材がラバー質なので角が当たってもそれほど痛くはない。カラーリングは暗めのグレーで統一しているが、小さくコンパクトに記したロゴの向き的に右側端近くに縦のスリットを設けてLEDが光るようにしてある。このLEDはSeagateのWebサイトからダウンロードできるユーティリティ「Toolkit」で、光る色とパターンをカスタマイズできる。パターンは事前に用意してある「点滅」「ブリーズ」「スペクトラム」の他、ユーザーがカスタマイズできるパターンを3種類まで保存できる。

  • 評価機材の重さは実測で142グラムだった

  • ToolkitにLEDの設定項目を用意して、色、点滅パターンなどを設定できる

  • なかなか多彩で鮮やか

FireCuda Gaming SSDのToolkitでは、LEDパターンのカスタマイズの他、BarraCuda Fast SSDと共通のSync Plusが利用できる。さらに、「フルパフォーマンスの有効無効」を設定する項目も用意している。フルパフォーマンスが有効の場合、転送速度は最高で20Gbpsまで対応するUSB 3.2 Gen2x2モードでデータを転送する。ただし、この状態でPC側がUSB 3.2 Gen 2x2に対応していないと、FireCuda Gaming SSDとPC側の接続が強制的に解除するトラブルが発生する可能性がある。このような状況が発生する環境ではフルパフォーマンスを無効にするようにSeagateでは告知している。

  • フルパフォーマンスを無効にすると転送速度は最大で10GbpsのUSB 3.1 Gen2モードに移行する

このように、FireCuda Gaming SSDは転送規格がUSB 3.2 Gen2x2に対応する。その理論値の最高転送速度は20Gbpsに達する。ただ、この転送速度を出すには接続するPC側にもUSB 3.2 Gen2x2を搭載していなければならない。今多くのPCはUSB 3.1 Gen2までの対応で、その場合、転送速度は10Gbpsまでとなる。しかし、それでも高速なことに変わらない。BarraCuda Fast SSDと同じく、FireCuda Gaming SSDでもCrystalDiskMark 7.0.0g x64で測定してみた。比較対象としたのは、CPUにCore i7-9750H(6コア12スロット、2.6GHz/最大4.5GHz、スマートキャッシュ12MB)、システムメモリが16GB(DDR4-2666、8GB×2)、ストレージが512GB SSD PCIe 3.0の内蔵SSDだ。

CrystalDiskMark テスト FireCuda Gaming SSD 比較対象内蔵SSD
SEQ1M Q8T1 Read(MB/s) 1078.22 2171.28
SEQ1M Q8T1 Write(MB/s) 1039.53 1063.88
SEQ1M Q1T1 Read(MB/s) 833.33 911.64
SEQ1M Q1T1 Write(MB/s) 938.46 1099.22
RND4K Q32T16 Read(MB/s) 213.88 698.09
RND4K Q32T16 Write(MB/s) 141.07 478.15
RND4K Q1T1 Read(MB/s) 31.52 39.59
RND4K Q1T1 Write(MB/s) 40.00 104.21

シーケンシャルの読み込み、ランダムアクセスでは差が開いているが、少なくともシーケンシャルの書き出しではほぼ同等の転送速度に達している。そして、BarraCuda Fast SSDと比べると総じてほぼ倍の転送速度を出している。スコア的には内蔵SSDとほぼ同じ性能を発揮していることになる。

こちらでも、筆者が実作業で生成したデザインデータを40GBほど転送してみたところ、ストップウォッチによる手測定で書き出しが約1分39秒、読み込みは約1分23秒かかっている。この処理における表面温度を非接触タイプの赤外線温度計で測定してみたところ、最高で38.4度だった。

今回評価したモデルはどちらも容量1TBで、評価作業を実施した7月上旬における価格はBarraCuda Fast SSDが1万7,000円から2万円程度、FireCuda Gaming SSDが3万4,800円程度になる。なお、ラインアップには容量500GB、2TBもあり、価格はBarraCuda Fast SSDでそれぞれ約1万円と2万7,000円から、FireCuda Gaming SSDはそれぞれ2万2,800円、5万9,800円だ。

USBメモリのような気軽さで携帯でき、かつ、大容量でSerial ATA接続SSDの転送速度で十分なユーザーならBarraCuda Fast SSDが、複数のPCでゲームのみならず制作業務で使う大容量データを高速な転送速度で共有したいならFireCuda Gaming SSDがそれぞれ妥当な選択肢となるだろう。