富士通は6月29日、デジタルトランスフォーメーション(DX)の世界的な動向・実態把握を目的に、世界9か国の経営層や意思決定者900人を対象とした調査を実施し、その分析結果を「Fujitsu Future Insights グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2020」として公開した。これによると、DXを実践し結果を出した回答者の89%は、DXはビジネスの価値向上に加えて社会への価値提供にも寄与したと回答している。

今回の調査は4回目となり、DXの成功要因などの項目に加え、社会への価値提供の重要性に関するビジネスリーダーの意識について調査分析を新たに実施したという。分析の結果から、経営層のビジネスを通した社会への価値提供の考えやその実現に向けた課題と成功要因について有益な洞察が得られたとのこと。

調査対象は、オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、日本、シンガポール、スペイン、イギリス、アメリカの9カ国における、中規模以上の企業に属する経営層及び経営層に相当する意思決定者900人。オンラインによる無記名のアンケート記入より、2020年2月に実施した。

社会への価値提供に対する意識に関しては、回答者の92%が、持続可能な企業であるためには社会への価値提供が不可欠であると回答し、その主な理由として、社会への価値提供は、商品・ブランド価値の向上や社会課題への意識が高く、今後の政策や企業活動に大きな影響をおよぼす若い世代への訴求につながることを挙げている。

  • DXと社会への価値提供

また、回答者の約80%は、株主に加えて顧客、従業員、パートナー、地域社会などマルチステークホルダーへの価値提供を重視していると回答し、株主価値の向上のみでは企業の持続可能性を保つのには不十分であり、多様なステークホルダーへ価値を提供する必要性があると考えているという。

社会へ価値を提供する上での課題と成功要因では、事業を通じて社会へ価値提供する上での主な課題について、回答者の35%が社会課題解決や価値提供のためのアイデアを実施可能なプロジェクトにすることと回答し、34%がプロジェクトの投資利益率を明確にすることだと回答している。

一方で、事業を通じて社会へ価値を提供していると回答した企業は、主な成功要因として、社会課題解決の事業戦略への組み込みと従業員の意識変革を挙げている。

DXと社会への価値提供について、DXを実践し結果を出した回答者の89%は、DXはビジネスの価値向上に加えて、社会への価値提供にも寄与したと回答している。

DXが貢献した主な社会価値としては、安心・安全の提供、ウェルビーイング(健康と福祉)の向上、都市のスマート化と持続可能性の向上、気候変動への対応だった。

また、DXで結果を出し、その結果に対する満足度が高い企業や組織は、社会への価値提供の取り組みにより積極的だという。