ヤマハは、ドイツ・フライブルクに所在するフライブルク音楽大学の入学試験において、同社の自動演奏機能付きピアノ「Disklavier(ディスクラビア)」を用いて協力したと発表した。同システムを利用した国際間の"リモート入試"は今回が初めて。

  • ヤマハ、10,000km離れた入試会場のピアノを遠隔操作するリモート演奏で協力

    (上)フライブルク音楽大学/ドイツでの試験会場の様子

  • (下)ヤマハホール/銀座での演奏の様子

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外国人が音楽大学現地で入試を受験することが困難になっていると同社。フライブルク音楽大学は今回、ヤマハの協力を受けて、大学に設置したピアノを日本と中国から遠隔で演奏し、実技試験を行う「リモート入学試験」を初めて実施した。

  • 中国/上海からも実施

遠隔地に設置した「Disklavier」を受験会場の「Disklavier」とインターネット経由で接続することで、リモート入学試験を実施。僅かなタッチの違いや繊細なペダル操作を極めて高い精度で再現することが可能な自動演奏機能は、離れた場所にあるピアノに正確かつほぼリアルタイムに演奏を再現できるという。今回行われたリモート入試のピアノ演奏実技試験では、日本のヤマハホール(東京都中央区銀座)から2名、中国のヤマハ現地法人オフィス(上海)から1名の受験者が演奏した。

フライブルク音楽大学ではこれまで「Disklavier」を2台導入しており、約15年にわたって遠隔地での研究やピアニスト育成のために同システムを運用。大きな成功を収めてきたとしながらも、国際間で行うオフィシャルな入学試験は世界初の試みだったという。クリストフ・ジシュカ教授は「フライブルクのピアノの鍵盤の動きは上海や東京からのビデオと完全に一致し、10,000キロメートルの距離があるにも関わらず、まるで講堂で直接演奏されているかのように誰もが感じました」と述べ、今後の試験やコンサートなどにも期待を寄せる。

同社は「自動演奏技術のさらなる活用を通じて、社会環境や地理的な制約による機会損失などの課題に対するソリューションを提案していきたい」としている。