発表会ではファーウェイ・モバイル・サービス(HMS)の進捗について、改めて説明する機会がもうけられました。同社の製品発表会において、HMSの説明にワンコーナーを割くことは珍しく、発表できるだけの内容が整ってきたことがうかがえます。

  • ファーウェイ・ジャパンの吉松一彦氏がHMSについて説明しました

冒頭に紹介されたビデオでは、米国の禁輸措置による影響が深刻化した2019年について「ファーウェイにとって最も困難な年のひとつになった」としつつも、そこからHMSエコシステムを開発すべく、グローバルのコンテンツプロバイダー、3000人のエンジニアらと時間をかけて連携してきたと説明。この結果、ファーウェイの展開するAppGalleryには18のカテゴリーで有用なアプリが揃ってきた、とアピールします。

  • ニュース、コミュニケーション、オンラインショッピング、ファイナンス、トラベル、フードオーダー、教育、ゲームなどのカテゴリーでアプリが充実

「サービスは170か国以上で展開、月間アクティブユーザーは4億人を超え、アプリ開発者の登録数は140万人以上となりました。皆さんの生活に身近なアプリも登録されています」と吉松氏。プレゼンの画面には、登録済みアプリとしてLINE、TikTok、Amazon、楽天、メルカリ、ナビタイム、クックパッド、クロネコヤマトなどのアイコンも確認できました。

  • 中には見覚えのあるアイコンも。吉松氏は「AppGalleryはアプリストアの第3の選択肢になった」と成果を強調します

逆にコンテンツプロバイダーの視点では、利用者が4億人いる、そして中国市場に強いアプリストアは大きな魅力となります。実際、U-NEXTなど、すでにAppGallery向けにアプリをリリースした日本の企業も出てきたとのこと。吉松氏は「ファーウェイではアプリ開発をバックアップするShining Star Programを通じて、引き続きアプリの充実化をはかっていきます」と説明していました。

  • Shining Star Programの概要

FreeBuds 3iは性能が向上

このほか、同日発表された製品についても紹介していきましょう。

「FreeBuds 3i」は、アクティブノイズキャンセリングを搭載した完全ワイヤレスイヤホン。市場想定価格は14,800円で、セラミックホワイトは6月12日より、カーボンブラックは7月以降に発売します。

  • デュアルマイクによるアクティブノイズキャンセリング(音楽モード)、およびトリプルマイクによる通話ノイズキャンセリング(通話モード)に対応したFreeBuds 3i

  • タッチセンサーで操作できる仕様

  • FreeBuds 3iの詳細スペック

AppGallery対応の高性能タブレット3機種

またタブレット端末として「MatePad Pro」「MatePad」「MatePad T8」を6月12日より順次発売していきます。いずれもOSはHUAWEI EMUI 10.0.1(Android 10.0ベース)で、スマートフォンのP40シリーズと同様、アプリはファーウェイのAppGalleryからインストールする形になります。

  • フラッグシップのMatePad Pro、メインストリームのMatePad、コンパクトなMatePad T8という位置づけ

MatePad Pro(Wi-Fiモデル)の市場想定価格は59,800円で、6月12日より発売します。ハイエンドチップセットと高精細ディスプレイを搭載した約10.8インチのモデルです。デザイン的には極限までベゼルが狭くなっており、とても洗練された印象を受けました。

  • MatePad ProはKirin 990を搭載したハイエンドタブレット。ベゼルが狭いのがデザイン上の特徴です

タブレットとして世界初をうたうワイヤレス充電に対応、またワイヤレス給電にも対応しています。ワイヤレス充電に対応した周辺機器をMatePad Proの背面に置けば、MatePad Proのバッテリーを使って周辺機器を充電できるわけです。

  • ワイヤレス充電、ワイヤレス給電ともに対応

HUAWEI Shareでスマホと同期する、Harman Kardonによるチューニングがほどこされた4つのスピーカーで上質なオーディオを楽しむ、といった使い方ができるほか、M-Pencil(別売り9,900円)、スマートワイヤレスキーボード(同14,900円)と連携してPCライクに利用することも可能です。

  • M-Pencil、スマートワイヤレスキーボードといった周辺機器と連携すれば、ノートPCの代わりとしても利用できそうです

  • MatePad Proの詳細スペック

MatePadのLTEモデルは市場想定価格36,182円、Wi-Fiモデルは29,800円となっており、いずれも6月12日より発売。またMatePad T8(Wi-Fiモデル)の市場想定価格は13,900円で7月初旬より発売します。

  • MatePadにはLTEモデルも用意されました。MatePad T8はコスパの良さが魅力

MatePadはチップセットKirin 810を採用した約10.4インチのタブレット。2K高精細ディスプレイとHarman Kardonチューニングの迫力のサウンドシステムが特徴です。

  • 約10.4インチ、画面占有率84%の没入感あるフルビューディスプレイ。画面をグレースケール表示に変えるeBookモードを搭載、Histen 6.0による3Dサラウンド効果も楽しめます

  • MatePadの詳細スペック

MatePad T8は約8.0インチ、重さ約310gと持ち運びやすいタブレット端末。背面は高級感が感じられるメタル素材を利用しています。バッテリーは大容量の5100mAh、子どもの利用を想定したキッズモードも利用できます(MatePad Pro、MatePadもキッズモードに対応)。

  • コンパクトな8インチタブレット、MatePad T8

  • MatePad T8の詳細スペック

第10世代Intel Core搭載ハイエンドノートPCも

このほか、第10世代Intel Coreを搭載した最新ハイエンドノートパソコン「MateBook X Pro」も発表されました。こちらの市場想定売価はIntel Core i5モデルが179,800円、Intel Core i7モデルが239,800円で、6月5日より順次発売します。

  • MateBook X Pro

リージョンプレジデントの呉波氏が退任へ

盛りだくさんな内容となった、今回の新製品発表会。約10年の間、日本向けファーウェイ製品の“顔”として活躍してきた、同社 日本・韓国リージョンプレジデントを務めた呉波氏の退任も明かされました。

新たに就任した楊涛(ヤンタオ)氏は「2020年度 第1四半期の売上は1,822億(単位:CNY)で、前年同期比で1.4%の伸び率となりました。IDCレポートによればHUAWEIのスマホは、グローバルの出荷台数で依然として第2位を維持しています」などと好調な業績をアピールしました。

日本市場においては『端末は魅力的なんだけれど』『いつも使っているアプリやサービスは使えるのだろうか』といった一般ユーザーの声が漏れ聞こえる状況。そうした不安を丁寧に払拭していくことが、ファーウェイの今後の課題になりそうです。

  • 楊涛氏がファーウェイデバイス日本・韓国リージョンプレジデントに新たに就任