クアルコム(Qualcomm)の子会社である米Qualcomm Technologies Internationalは現地時間3月25日、最新のBluetooth SoC(システムオンチップ)として、上位の「QCC514X」とミドル/エントリー向けの「QCC304X」を発表した。ハイブリッド方式のノイズ低減機能を搭載するほか、省電力性を向上。独自の新技術「TrueWireless Mirroring」をサポートし、オーディオプレーヤーとイヤホンの接続性を改良した。

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    クアルコムの新Bluetooth SoC「QCC514X」と「QCC304X」は、新技術「TrueWireless Mirroring」をサポートし、プレーヤーとイヤホンの接続性を改良

QCC514XとQCC304Xはどちらも、Bluetoothの接続性や、バッテリー寿命を向上。また、ハイブリッド方式のアクティブノイズキャンセリング(Hybrid ANC)専用のハードウェアを統合した。音声アシスタント機能もサポート。これらにより、優れたサウンドと音声を提供するという。

新たにサポートするTrueWireless Mirroringテクノロジーは、ざっくりいえばQCC514X/304Xシリーズのチップを積んだ完全ワイヤレスイヤホンと、スマートフォンなどのプレーヤー機器との左右同時接続を実現する技術だ。

既存の完全ワイヤレスイヤホンは、左右イヤホンのうち片方(マスター)がスマートフォンなどのデバイスと繋がり、もう片方(スレーブ)はマスターを介してデータを受け取る方式のものが一般的だ。

クアルコムは現在、「TWS+(TrueWireless Stereo Plus)」という名称で、左右イヤホンが同時にデバイスに接続する方法を提供している。この方式では、スマートフォン側ではTWS+イヤホンの左右がそれぞれ別の機器として認識される(Bluetooth設定画面に、左と右のイヤホン名が2つ並ぶ)。

TrueWireless Mirroringの技術は、クアルコムの説明によれば「(ふたつのイヤホンのうち)ひとつをスマートフォンにBluetooth接続すると、もうひとつのイヤホンが接続済みのイヤホン(の信号)をミラーリング。左右の素早いスワッピング(入れ替え)に対応する」というもの。例えば、ユーザーが片方のイヤホンを耳から外しても、ミラーリングされたもう片方はスマホへの接続を引き継ぎ、音楽ストリーミングや音声通話が途切れずに利用できるとしている。

また、TrueWireless Mirroringでは単一のBluetoothアドレスを管理するよう設計されており、TrueWireless Mirroring対応のイヤホンをスマホとペアリングしているときには1つのデバイス名だけが表示されるという。

QCC514X/304Xシリーズではこのほか、Hybrid ANC専用ハードウェアを統合したことで、低遅延で周囲の環境を検知可能になり、「飛行機の中だけでなく、スポーツやオフィス環境などでも(低遅延NCを)利用できる」としている。低電力性能も進化し、様々なユースケースで最大13時間の再生を実現するように最適化した(容量65mAhのバッテリーの場合)。

上位モデルのQCC5141は、複数の音声エコシステムに対してAlways on Voice(ウェイクワード)アクティベーションに対応。一方、エントリー/ミドルクラス製品のQCC304Xは、複数のボイスシステムに対してプッシュボタンでのボイスアクティベーションをサポートする。

Qualcomm Technologies Internationalは、上記の機能をQCC304Xシリーズに追加することによって、OEMメーカーが音声アシスタント機能をシングルチップソリューションで初めて低コストセグメントにもたらすのを支援しており、より幅広い価格帯で広く普及させることを可能にするという。