私的な話で恐縮だが、先ごろデスクトップPCと2in1 PCの2台を初期化した。「回復」機能で個人用ファイルを残しているため、手間がかかるのはアプリの再インストールくらいだが、意外に苦労したのが新Microsoft Edgeの拡張機能だ。

例えばGoogle Chromeの場合、Googleアカウントと同期機能を使ってChromeの拡張機能も復元できるが、新Microsoft Edgeは未実装。初期化したPCが1台だけなら拡張機能の整理につながるとはいえ、複数のPCで同じ作業はできればやりたくない。ただ、そんな苦労は2020年中に解消されそうだ。

  • Canaryビルドの「プロファイル/同期」

上図はCanaryビルドの「同期」だが、拡張機能がリストに加わっている。Microsoft Tech Communityの関連スレッドを確認すると、ビルド82.0.424.0から拡張機能の同期を一部ユーザーに開放しており、限定的な検証を開始したようだ。ユーザー側で拡張機能の同期を有効にする術はなく、サーバー側で取捨選択しているとコントリビューターは解説している。

気になるのは広範囲のテスト開始時期だが、米国時間2020年2月11日に投稿されたフィードバックサマリーによれば、「2月の予定」とのことだ。仮にCanaryチャネルでの実装が完了しても、Devチャネルで1週間、Betaチャネルで6週間かかるため、安定版で拡張機能の同期を利用するには約2カ月、つまり2020年4月まで待たなければならない。ここが、新Microsoft Edgeへ移行する一つのタイミングとなりそうだ。

さて、先の投稿を見ると新Microsoft Edgeの開発状況がわずかに見えてくる。2月の実装予定リストには、拡張機能の同期以外にもお気に入り同期のバグ修正や、新しいタブページで現れる背景画像のカスタマイズ、複数プロファイル設定時に発生するリンク処理のバグ修正が並ぶ。閲覧履歴の同期は2020年夏ごろ。ChromeウェブストアのテーマサポートやLinux版新Microsoft Edgeは計画リストに含まれ、Fluent Design SystemのUI採用は議論中である。着々と開発が進む新Microsoft Edgeの進捗を定期的に公開するのはよい試みだ。

新Microsoft Edge関連といえば、Microsoftは米国時間2020年2月13日に公開したブログも興味深い。新Microsoft Edge 79(最初の安定版)とビルド81.0.410.0を比較するため、Speedometer 2.0のベンチマーク結果を公表した記事だ。前者の平均値は84.85ポイント、後者の平均値は96.15ポイント。約13%のパフォーマンス向上を測定している。

この改善は2020年2月後半にリリース予定のベータ版に含まれる予定だったが、サードパーティー製アプリとの互換性問題を軽くするため、ベータ版公開時のパフォーマンスの向上は慎(つつ)ましくなるという。1人のユーザーとして利便性の向上を求めたいところだが、SaaSの利用環境やクラウドへの入り口となるWebブラウザーは、これまで以上に安定性が求められる。MicrosoftはOSと共に安定性を優先しながら、新Microsoft Edgeを育ててほしい。

阿久津良和(Cactus)