スマートウォッチといえば、通信機能があり、フェイス全体を表示装置として使え、心拍数の測定などヘルスケア機能を装備して……。そんな既成概念を軽く越えていく存在が、シチズンの「Eco-Drive Riiiver」です。腕時計かくあるべしのひとつの姿、そんな製品にじっくり触れてみました。
「エコ・ドライブ」搭載のスマートウォッチ
シチズンという名前から思い出すモノや技術といえば、時計、そして「エコ・ドライブ」が挙げられます(個人的には体温と外気の温度差を動力源とする「エコ・ドライブ サーモ」も胸熱でしたが)。エコ・ドライブは、わずかな光を電気に変換して時計を駆動するシステムで、いまをさかのぼること四十余年の1976年に登場しました。改良が進んだ現在のエコ・ドライブは、暗闇でも1年半は動き続けるという驚異の省電力性能を獲得し(搭載モデルによって異なります)、シチズンの腕時計「ATTESA」シリーズなど多くの製品に採用されています。
Eco-Drive Riiiver(リィイバー)は、そのエコ・ドライブを活用したスマートウォッチ。スマート……といっても外観はアナログの腕時計そのものです。長針・短針は言うに及ばず、秒針、さらにはデイトカレンダーも。タッチディスプレイは搭載せず、表示はあくまでアナログです。
大まかにいうと、これまでのスマートウォッチは、Apple WatchやWear OS by Googleを搭載するスマートフォンを凝縮させたかのようなタイプと、SONY wena wristのようにヘッド(フェイス)部が腕時計というタイプに二分されてきました。ソニーのwena wristは、IT・IoTの機能はバンドに集約されています。また、スマホの通知など最小限の機能をアナログの時分針で表現するスマートウォッチも。こうしたタイプは、コネクテッドウォッチと呼ばれることもあります。
Eco-Drive Riiiverはそのどちらでもない、「アナログの腕時計でありながら、IT・IoTの多彩な機能を発揮する」というまったく新しいデバイスです。
では、どうやってIT/IoTの機能を発揮するのかということになりますが、それは「Bluetooth」。Eco-Drive RiiiverはスマホとBluetoothで接続して使います。
Eco-Drive Riiiver側からの命令を受け、スマートフォンがなんらかの処理を行い、Eco-Drive Riiiverにフィードバックするという流れです。多くのスマートウォッチは、スマートフォンやパソコンのサブ機のような一面が大きいのですが、Eco-Drive Riiiverは基本的にスマートフォンに指示を出すためのデバイスです。長針・短針の動きで何かを知らせることも可能ですが、誰かから着信があったとか1日の目標歩数に到達したとか、単純な内容に限られます。
スマートフォンに命令を伝える方法は大きく2つ。Eco-Drive Riiiverの側面にあるボタンを押すか、なんらかの条件を満たしたとき自動処理するかです。小さな画面を見つめてさらに小さなアイコンを探したり、それを指で突いたりする必要はありません。見た目だけでなく操作性まで腕時計そのものです。
ただし、センサー類はスマートウォッチのそれ。歩数や移動距離を測るための加速度センサー、周辺の光を感知するための環境光センサー、体温や周囲の気温を測定できる温度センサーも搭載されています。心拍センサーやGPSは持たないものの、おそらくは消費電力や(腕時計としての)サイズ感との兼ね合いでしょう。右へならえではない、機能が吟味されていることがうかがえます。