MVNOのイオンモバイルを展開するイオンリテールは6日、子ども向けのフィルタリングサービス「イオンモバイルセキュリティPlus」を3月1日から提供すると発表しました。SNS経由で危険なWebサイトにアクセスすることも防げるなど、独自機能を追加しており、保護者の安全・安心のニーズに応えます。さらに、これまでの携帯電話(フィーチャーフォン)からスマホに移行したい60歳以上に限定した、安価な「やさしいプランmini.」も提供します。

  • 新サービスや各種キャンペーンを投入するイオンモバイル

イオンモバイルセキュリティPlusは、ウイルス対策などのセキュリティサービスを一体化したフィルタリングサービス。セキュリティ企業のアンラボと協業して、イオンモバイル向けにカスタマイズしたものを提供します。

  • イオンモバイルセキュリティPlusは月額200円(税別)

  • 従来は専用ブラウザ以外まとめてブロックされていましたが、SNSアプリ内のブラウザでもフィルタリングが機能するようになりました

これまでのフィルタリングサービスは専用ブラウザを利用するものが多く、LINEやTwitterといったSNSのメッセージ内にあるURLにアクセスしようとすると、アプリ内ブラウザが起動するため、そこからのアクセスは「全許可」「全拒否」のどちらかでした。

  • 従来、アプリ内ブラウザをブロックすると正常なサイトは見られず、フィルタリングを解除すると危険なサイトも閲覧できてしまっていました

  • アプリ内ブラウザもフィルタリング対象のため、きちんと制限してくれるように

  • イオンモバイルセキュリティPlusは、アンラボの技術を採用したセキュリティサービス

  • ウイルス対策やフィッシング対策、利用制限などのペアレンタルコントロール機能も提供

しかし今回、アンラボの技術を使うことで、標準ブラウザ、Chrome、LINEやTwitterなどのアプリ内ブラウザにて、指定したジャンル(ギャンブルなど)のサイトにアクセスさせない、といったフィルタリングを適用できようになりました。

保護者が遠隔から設定することで、利用時間の制限やアプリ内課金の制限など、スマートフォンの制御も可能。子どもが安全にスマートフォンを利用できる環境を提供します。月額利用料は200円(税別)で、3月1日から提供を開始します。

  • フィルタリング対象となるアプリ

イオンリテール・イオンモバイル事業部の井関定直氏は、子どものスマートフォン利用について8割の保護者が不安を感じ、8割以上がフィルタリングの必要性を感じていると指摘。それに対して、業界全体ではフィルタリングの利用率が約37%、イオンモバイルでも56%にとどまっていたといいます。フィルタリングの使い勝手を改善したサービスを提供することで、フィルタリングサービスの利用向上につなげたい考えです。

  • イオンリテール・イオンモバイル事業部の井関定直事業部長

  • 保護者の多くがセキュリティに不安があり、フィルタリングの必要性を感じています

  • しかし利用率は低く、これを解消することを目指します。

  • 加えて、SNS監視などのサービスを提供するFiliiを推奨サービスとして提供。Filii月額は364円(税別)です

シニア向けの低価格プラン

やさしいプランmini.は、60歳以上をターゲットにしたシニア向けの料金プランです。月額980円(税別)という低価格プランとなっています。現在、同社のプランでは最低でもデータ容量が500MBからとなってしまいますが、シニアの中には音声電話が中心でほとんどデータ通信を行わないという人も多く、より低容量のプランのニーズがありました。

  • シニアをターゲットにした新プラン「やさしいプランmini.」

特に、MNOの3G停波(※)によって今までのフィーチャーフォンが使えなくなるということで、イオンモバイルのショップに相談に来るシニアも増えているそうです。同社が店頭でアンケートを採ったところ、シニアがデータ通信で便利に感じているのは天気予報、LINE、地図・乗り換えアプリという3つ。それも頻繁には使わないため、より少ないデータ容量で安価にして、音声メインのシニアユーザーの獲得を目指します。

(※)3G停波:NTTドコモは2026年3月31日、auは2022年3月末、ソフトバンクは2024年1月下旬。いずれも2020年2月時点で各キャリアが公開している情報。

  • 3G停波でスマートフォン移行を検討しつつも、月額料金が高くなったり、使いこなせなかったりすることを心配する声に応えるのが狙い

安価なのでスマートフォンへ乗り換えるハードルが低くなり、スマートフォン移行を促すことに加え、200MBのデータ容量でスマートフォンに触れてもらい、慣れてきたらより大容量のプランに移行してもらうことも想定しhています。

イオンモバイルは、契約数が59万回線まで拡大しており、特に電気通信事業法の改正でMNOの端末値引きなどの制限が強化されてからは、解約率が大きく低下したそうです。これに加えて、シニア層やファミリー層というイオンの顧客層をターゲットにした料金プランやキャンペーンが功を奏して、契約数も伸びています。

  • イオンモバイルの契約数の推移

  • シニア層のMNP需要が拡大しています

MNPで流入してくるユーザーのうち、70歳以上が15%近くにまで伸び、イオンでの店頭サポートを持つ強みも発揮されています。通常のサポートに加え、Googleアカウントの設定サポートを有償で提供したところ好評で、有償サポートをさらに拡充したのも、シニア層には高評価とのことです。

  • シニア層への有償サポートも好調

井関氏は、こうしたイオンモバイルならではの強みを生かして、早期に100万件の契約獲得を目指していく考えを示します。そのために、春商戦向けの各種キャンペーンも用意。「業界最安級」(井関氏)というキャンペーンで、例えば「春得キャンペーン」では「音声4GBプラン」が4カ月間、月額680円(税別)になります。これに「3年学割」を適用すると1GBがプラスされ、学生は月額680円(税別)で4カ月間使えます。

  • 春得キャンペーンで新規・MNPユーザーの獲得を目指します

  • 2020年も学割キャンペーンを実施。2019年の学割キャンペーンでは、学生の契約数が前年比140%程度の伸びがあったそうです

また、新規・MNPなら「イオンでんわ10分かけ放題」が月額850円から月額300円(最大3カ月間)に、MNPなら初期費用3,000円が1円に、そして新規契約と同時に対象スマートフォンの購入でWAONポイント(5,000ポイント)をプレゼントするキャンペーンも実施します。

  • 対象スマホの購入でWAONポイントプレゼントや、紹介キャンペーンも

「電気通信事業法改正後、初の春商戦だが、2020年は5G、楽天の新規参入と激動になる年。イオンのショッピングセンターなどの顧客層に寄り添ったサービスを提供していきたい」と、井関氏は意気込みます。