メルカリ、メルペイ、NTTドコモの3社は、業務提携について合意したと発表。発表会に登壇したメルカリ 代表取締役CEOの山田進太郎氏とNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、業務提携による取り組みなどについて説明した。

  • メルカリ、メルペイ、NTTドコモの3社は、業務提携について合意した

NTTドコモはこれまで、ポイントサービス「dポイント」や、スマホ決済サービス「d払い」を展開してきた。2019年度第3四半期の実績として、dポイントクラブの会員数は7,345万人、加盟店数67,400店舗まで増加。d払いは、2018年4月にサービスをスタートさせてから、ユーザー数2,200万人、決済対応加盟店136万カ所まで成長している。

2013年7月に提供開始されたフリマアプリ「メルカリ」の年間流通総額は4,902億円、月間利用者数は1,450万人に到達した。2019年2月にサービス展開がはじまったスマホ決済サービス「メルペイ」は、現在、利用者数600万人、コード決済とID決済をあわせた加盟店数は170万カ所にのぼる。

今回の連携によって、大規模のアクティブユーザーを抱えるアライアンスを実現。約5,000億の年間流通総額を持つメルカリと2,000億ポイントの年間利用を誇るdポイントが合わさって約7,000億円規模となり、ポイントと決済を融合させた新たな顧客体験を提供していくという。

  • dポイントやd払いの事業環境

  • メルカリやメルペイの事業環境

  • 連携によって新たな顧客体験の提供を目指す

メルカリの山田CEOは「これまでドコモさまとは、2015年に開始した『メルカリ』のキャリア決済にはじまり、2019年にはドコモショップでの『メルカリ教室』、梱包資材を備えた発送コーナー『つつメルすぽっと』を展開するなど、オフラインのタッチポイント強化で連携してきました。その関係性があったなかで、これまでの取り組みを拡大するとともに、両社のさらなる成長に向けた連携強化を目指すべく、業務提携に至りました。両社が持つさまざまなアセットを連携させ、世のなかに新しい価値や体験を提供していきたい」と経緯を説明するとともに、連携による目標を述べた。

  • メルカリ 代表取締役CEOの山田進太郎氏

  • これまでのドコモとメルカリの取り組み

NTTドコモの吉澤社長は「今回の業務提携によって、メルカリとドコモのサービスはより使いやすいものになるでしょう。アカウントやポイント、ペイメントが連携すれば、お客さまがどちらのサービスから入ってきたとしても、共通化された加盟店でおトクな体験を享受できるようになります」と連携による期待を述べるとともに、実現していく取り組みを紹介した。

発表のあった連携による取り組みは「メルカリIDとdアカウント連携による顧客基盤の拡大」「メルカリとdポイントの連携」「スマホ決済事業の連携」「ドコモショップとメルカリのさらなる連携」「各社のデータを活用したマーケティング、fintechサービスの共同開発検討」の5つだ。

dポイントについては、「メルカリ」の取引1回につき、取引額100円(税込)ごとに1ポイントのdポイントを還元。貯まったdポイントは1ポイントあたり1円として、メルカリでの取引に使えるようになる。また、スマホ決済事業の連携では、「メルペイ」ウォレットと「d払い」のウォレットの電子マネー残高およびポイント残高の連携、各社のサービスにおけるポイントのシームレスな利用の実現を目指す。さらに、2020年夏ごろをめどに、両社の決済サービス加盟店の共通化および共同での営業推進を図る予定だ。

そのほか、新規事業として、各社が保有する各種データを連携させたfintechサービスの開発、マーケティングや販促ソリューションの開発を検討。山田CEOはデータ活用について「メルカリの持つ2次流通データと、ドコモが持つ利用データを掛け合わせることで、より精度の高いデータの構築が可能。加盟店やメーカーの送客につながるような販促ソリューションも検討していきたい」と述べた。

  • NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏

  • 連携によって実現する取り組み

発表後の質疑応答では、今後、連携をきっかけに他社にもこの枠組みを拡大していく予定はあるかという記者の問いに対して、山田CEOは「引き続き、ドコモさまとともに仲間づくりを続けていく予定です」と話し、吉澤社長も「基本的にはオープンでやっていくべきだと考えていきます。より多くのパートナーさまにも加わっていただきたい」と話すなど、両者ともにエコシステムの拡大に意欲を見せた。

また、キャリアのなかで、なぜドコモを選んだのかという質問に対して山田CEOは「我々のお客さまのことを考えたときに、もっともシナジーが生まれると判断したためです。キャリアさん独自のデータをお持ちなので、データ活用ビジネスとしてもいろいろな可能性を模索していきたいですね」と回答した。