THK、NTTドコモ、シスコシステムズ、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の4社は12月10日、製造業向けの予兆保全IoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の正式受注を12月18日に開始すると発表した。

  • 「OMNIedge(オムニエッジ)」

「OMNIedge」は、製造装置に取り付けたセンサーデータ(振動)を分析することで予兆保全つなげようというソリューション。製造装置に取り付けたセンサーのデータをシスコのマルチアクセス対応エッジコンピューティングルータ「Cisco IR829」に吸い上げ、それをドコモの閉域ネットワーク(LTE)を介して、THKのデータセンターで監視するというパッケージ型のサービスで、昨年の10月に発表。商用化に向け、無償トライアルを実施していた。

  • 「OMNIedge」のイメージ図

「OMNIedge」の主要技術となる「THK SENSING SYSTEM」は、専用センサからの信号をアンプという装置での独自アルゴリズムで解析することで、故障要因となる主要部品の状況をリアルタイムに数値化し可視化する。

  • 「THK SENSING SYSTEM」

  • アプリケーション画面

「OMNIedge」では、エッジコンピューティングルータの電源を入れるだけで、閉域ネットワークが自動的に構築され、データが安全に利用可能になる。

各社の役割は、THKがOMNIedgeサービスの提供、IoT製品の開発、収集データの分析、解析やデータ収集に適した部品のセンサ設置に関するコンサルティングを、ドコモがLTEなどの無線通信に関するノウハウやサービスの提供、IoTデータを一元的に収集するIoT基盤サービスの提供、Globiotを活用したグローバル展開支援を、シスコが製造業向けIoTネットワークのコンサルティングおよびシステム開発とエッジコンピューティングルータおよび自動化制御システム等の関連プロダクトの提供を、CTCがIoT基盤の構築と運用支援およびIoT基盤導入についてのコンサルティングを行う。

  • 記者発表における4社の代表。左からシスコシステムズ 執行役員 情報通信産業事業統括 NTTグループ事業本部 事業本部長 濱田義之氏、THK 取締役専務執行役員 寺町崇史氏、NTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長 谷直樹氏、伊藤忠テクノソリューションズ 常務執行役員 寺田育彦氏

今回受注を開始するのは、機械の直線運動部の「ころがり化」を実現した直線案内部品である「LMガイド」に対応するもので、出荷開始は来年1月末の予定。

価格は、3つのセンサーで1つ機器を監視する場合で、月額8000円(Standardプラン)から。この価格にセンサーやルータなどの料金も含まれる。将来は、Standardプランに加えて、THK目安閾値やTHK目安寿命などを提供するProfessionalプランも提供する。

  • 料金体系

来年は「LMガイド」に続いて、「ボールねじ」にも対応する予定で、来年夏の出荷を予定している。それに向け、「ボールねじ」対応の「OMNIedge」の無償トライアルを実施してくれる企業50社の募集を12月18日から開始する。

  • 「OMNIedge(ボールねじ向け)」

そして今後は、モーター、ベアリングなど他部品との連携およびデータ活用による判断、さらには、設備全体の健康状態、機械学習やAIの活用解析にまで拡大していく予定だ。

  • 「OMNIedge」の目指す姿

THK 取締役専務執行役員 寺町崇史氏は「OMNIedgeのメリットは簡単に装着でき、センサーで収集したデータを安全なネットワークで運用ききる点と、初期コストゼロですぐにIoTを始められる点だ。この1年の無償トライアルでは、100社から依頼があり、51社に設置した。このうち37社で本格運用について打ち合わせしている。今後は故障を予測できるレベルまでもっていきたい。そして、3年後に数十億円の売上を実現したい」と語った。