• BASELWORLD 2019のセイコーブース

セイコースポーツの頂点。セイコー プロスペックス「LX ライン」

「LX(ルクス)ライン」は、セイコー プロスペックスの最上位流通向け商品。セイコーウォッチサロン(GSにおけるマスターショップ)でしか購入できない。「ルクス」はラテン語で「光」。それはプロスペックスの象徴であり、ブランド全体を照らす存在。装着者に輝きをもたらすという意味も込めたという。

プロスペックスがグローバルローンチを果たしたのは2014年。現在は3分の2が海外、残り3分の1が国内という割合で販売されている。ブランドをさらに飛躍していくためには、価格は上がってもより高品質な製品を充実させていくことが重要と、セイコーは考えている。それが他社との差別化にもつながる、とも。

つまり、名だたる舶来品との競合ゾーンに入っていくことになるわけで、それには象徴的なデザインやムーブメントが必要だ。そこでセイコーは、KEN OKUYAMA DESIGNの奥山清行氏(※)にデザインの監修を求めた。ベースデザインは社内のデザイナーが担当し、これをもとに「何が大事なのか」という要素の抽出作業を奥山氏とともに行ってきたという。

※:急須からスーパーカーまで幅広く手がける工業デザイナー。「イタリア人以外で初めて、フェラーリのデザインを手がけた男」として有名。

2019年は限定モデルとレギュラーモデルで展開するが、ここではレギュラーモデルについて紹介する。ベースは「1968プロフェッショナルダイバーズ復刻モデル」。2018年のバーゼルで発表、高級時計のアカデミー賞と呼ばれる「ジュネーブウォッチグランプリ」(Grand Prix d'Horlogerie de Geneve)でスポーツ賞を受賞したモデルだ。セイコーダイバーズとして象徴的なモデルがいくつかある中で、オーセンティック(本物・真性)と個性的デザインの両面を備え、時計ファンからの評価も高い。

ムーブメントはスプリングドライブ。機械式に比べて温度変化への強さ、耐衝撃性が高いというメリットから、プロスペックスが活躍するタフなフィールドには最もふさわしいという。

ケースを囲む鏡面仕上げも特徴的で、ケースの重心を下げることで強調し、鏡面を広く見せている。これにより、装着時の安定性も向上。厚いケースでも腕での据わりが良い。このデザインをベースに、陸海空を包括するモデルが完成した。

まずは、シルバーのケース/ブレスレットを採用したモデル3種から紹介。陸(簡易方位計ベゼル)の「SBDB029」(53万円)海(ベゼルがカウントアップ)の「SBDB027」(63万円)空(ベゼルが24時間表示)の「SBDB031」(58万円)。すべて発売中。

  • SBDB029

    SBDB029

  • SBDB027

    SBDB027

  • SBDB031

    SBDB031

ムーブメントは、SBDB029、SBDB031が「スプリングドライブムーブメント GMT キャリバー5R66」、SBDB027が「スプリングドライブムーブメント キャリバー5R65」。

ケースとブレスレットの素材は、3種ともチタン(ダイヤシールド)。SBDB029、SBDB031はケースサイズが44.8mm×14.7mmで、風防はスーパークリア コーティングのサファイアガラス。SBDB027はケースサイズが44.8mm×15.7mmで、風防は内面無反射コーティングのカーブサファイアガラス。防水性能は、SBDB029が20気圧、SBDB027が300m潜水、SBDB03が10気圧。

そして、ブラックエディション3種。そのストイックなデザインは、禅や武士道の根底にも通じるミニマリズムの考え方に基づいている。従来のセイコーがオールブラックモデルを手がけると、目盛りの色や回転ベゼルのアラビア数字を(視認性優先で)ホワイトにする傾向があった。

しかし本作では、ケースのシルエットや鏡面の輝きを優先。時分針とインデックスにはルミブライトを乗せ、それ以外の情報はなるべくトーンを下げ、グレーで落ち着かせている。そのコンセプトには、奥山氏の考え方が色濃く反映されているという。

  • SBDB023

    SBDB023

  • SBDB021

    SBDB021

  • SBDB025

    SBDB025

陸の「SBDB023」(53万円)海の「SBDB021」(63万円)空の「SBDB025」(58万円)。こちらもすべて発売中。ムーブメントは、SBDB023、SBDB025が「スプリングドライブムーブメント GMT キャリバー5R66」、SBDB021が「スプリングドライブムーブメント キャリバー5R65」。

ケースの素材はチタン(スーパーブラックダイヤシールド)。ブレスレットは、SBDB023がカーフ、SBDB021が強化シリコン、SBDB025がクロコダイル。SBDB023、SBDB025はケースサイズが44.8mm×14.7mmで、風防はスーパークリア コーティングのサファイアガラス。SBDB021はケースサイズが44.8mm×15.7mmで、風防は内面無反射コーティングのカーブサファイアガラス。防水性能は、SBDB023が20気圧、SBDB021が300m潜水、SBDB25が10気圧。

1970 メカニカルダイバーズのデザインを復刻した限定モデル

最近のセイコーは、毎年復刻モデルをリリースして話題となっている。2019年のテーマは、あの1970ダイバー。海外ではオリジナルが「タートル」の愛称で親しまれており、デッドストックが出ようものなら50万円以上の値が付くこともある人気作だ。また、伝説の冒険家、植村直己氏の愛用品であったことから「植村ダイバー」、あるいは映画『地獄の黙示録』の主人公、マーティン・シーンが着用していたことから映画の原題にちなんで「アポカリプス」と呼ばれたりもする。

  • SBDX031

    SBDX031

今回の復刻では、その意匠をなるべくキレイに再現しつつ、スペックはしっかりアップしていくという方針がとられた。キャリバーも雫石製の「8L35」という、GS(グランドセイコー)の9Sキャリバーの次に高品位なキャリバーを搭載。防水性能や素材も現代のスペックにグレードアップしている。

  • SBDX031

    クラシカルな意匠を再現しつつ、素材やハートは現代のスペックにグレードアップ

回転ベゼルも、Oリングパッキンで固定していく構造に変更して性能を向上。ブラックIPをかけた表示板とローレットの間にタイトな鏡面を入れてれるなど、凝ったデザインとしている。裏ぶたについても、馬蹄型のスペック表記方法を再現。

型番は「SBDX031」。ムーブメントは自動巻きの「メカニカルムーブメント キャリバー 8L35」。ケース素材はダイヤシールドのSS(ステンレススチール)。ケース外径は45.0mm、厚さは13.0mm。ストラップは強化シリコン。風防は内面無反射コーティングのデュアルカーブサファイアガラスで200m空気潜水用防水。価格は45万円で、世界2500本限定。発売中。