ダイヤルに有田焼を採用したプレザージュ

プレザージュは有田焼ダイヤルのモデルを発表。近ごろ、有田焼は海外進出や異業種コラボなど、従来のデザイニングや形にとらわれないやり方に積極的に取り組んでいる。この新たなブランド価値を創出する姿勢の一環として、今回は時計のダイヤルにチャレンジ。製作には有田焼窯元 しん窯青花の陶工、橋口博之氏が協力している。

ただ、いうまでもなく、焼き物には割れやすいという弱点がある。しかも、時計のダイヤルには落下基準が日本工業規格で決められているので、これをクリアしなければならないのだ。そこでセイコーは、ダイヤル用に従来の4倍という硬度を持つ磁器の製作を依頼。最高1,300度という、エナメルよりも高温焼成することで規格をクリアした。

ダイヤルの色は、有田焼で古くから使われている灰釉色。やや青みがかった白で、多軸モデルのインダイヤルは美しいカーブを描いた皿状。アラビアインデックスはプリント。プレザージュとしては、今まで、七宝、うるし、ほうろうといった日本の匠の技をダイヤル要素として採用しており、これが4つめのコレクションとなる。

  • SARW049

    SARW049(右)

  • SARX061

    SARX061(左)

ムーブメントは自動巻き。多軸モデル「SARW049」が「メカニカルムーブメント キャリバー 6R27」、3針カレンダーモデル「SARX061」が新キャリバー「メカニカルムーブメント キャリバー 6R35」を搭載。多軸モデルのパワーリザーブ45時間に対して、70時間ものロングパワーリザーブとなっている。

ケース素材はSS、サイズはSARW049が外径40.6mmで厚さが14.1mm、SARX061は外径が40.5mmで、厚さは12.4mm。ともに風防は内面無反射コーティングのデュアルカーブサファイアガラス、ケースバックはサファイアガラスのシースルー・スクリューバック。防水性能は10気圧防水。ストラップはクロコダイル。価格は、SARW049が20万円、SARX06が18万円。発売中。

「セイコー アストロン」 5X シリーズから、クォーツ アストロン50周年記念モデルが続々

2019年末にブランド50周年を迎えるアストロン。この偉大なヘリテージと現行アストロンのつながりをいっそう強める2つのコレクションが「レボリューションライン」と「グローバルシリーズ」だ。双方ともにクォーツアストロンのデザインを受け継いでいる。

レボリューションラインは、クォーツアストロンのデザインを引き継ぎつつ、より「先進的であることへの期待感」を込めたという。

セイコー担当者いわく……
「たとえば、クォーツアストロンは発売当時、非常に未来的なデザインと評価されていました。事実、この時計には社会を変革するという考え方が込められていたのです。当時、日本は高度経済成長期のまっただ中で、機械式時計は1日に数秒から数十秒もずれてしまうのが普通でした。

これでは時間を細かく管理していく上で性能が追いつかないという状況で、ようやくクォーツの高精度時計が出てきたのです。精度は機械式のおよそ100倍。これでようやく組織を管理できる、これからはそういった時代になっていく、という期待感がありました」

ケースは複数の素材を使用したコンポジットケースを採用。1969年当時、時計のケースはプレス(型押し)でのみ作られており、今のように自由に切削して作れるようになったのは、1990年代にCADが普及した以降だ。そこで、今でしかできないやり方で当時の意匠を再現する、というコンセプトが生まれ、手法として導き出されたのがコンポジットケースだった。

一方、装飾面では1969年当時からあった匠の技、ザラツ研磨を使用。今だからこそできる技術と当時から現在へと継承されている技術を融合して、過去と現在とをつなぐデザインとしている。

今回、このレボリューションラインからはクォーツアストロン50周年記念モデルのピンクゴールドモデル「SBXC036」とチタンモデル「SBXC035」が限定でリリースされる。

  • SBXC036

    SBXC036

  • SBXC035

    SBXC035

SBXC036は、ジルコニアセラミックスとチタン(スーパーブラックダイヤシールド)、そして18Kピンクゴールドの3素材を組み合わせたケースを採用。50周年にちなんで、ジルコニアセラミックスのベゼルを50面にカットしている。ピンクゴールドは飾り口のリングと内胴、裏側の地球のロゴに使用。ダイヤルにも、人工水晶を象ったインデックス形状や、人工水晶の輝きをモチーフにしたクリスタルパターンを入れた文字板など特別要素が意欲的に盛り込まれている。

これらのデザインをオールチタン(プラチナダイヤシールド)で再現しているのが、SBXC035。こちらのベゼルはセラミックスとメタルの合金であるサーメット製で、やはり50面カットを施している。価格と限定数は、SBXC036が300万円で世界限定30本、SBXC035が60万円で世界限定200本。ともに発売中。

その他、レギュラーモデルが4モデル発売中だ。

  • SBXC033

    レボリューションラインのレギュラーモデル「SBXC033」。価格は45万円

グローバルシリーズでは、レギュラーモデル3種「SBXC109」「SBXC021」「SBXC024」と、限定モデル「SBXC023」が登場。特徴としては、クォーツアストロンのデザインをモダナイズしたケースデザインに加え、ベゼルがアストロンで初めて金属になったことが挙げられる(従来はセラミックス)。

理由は、セラミックスの誘電効率が高く、微弱なGPS電波の受信にブーストをかけることができたため。しかし、2018年発売の5Xという第3世代キャリバーは受信感度が非常に高く、セラミックスの誘電能力に頼らなくても大丈夫になった。これで、満を持して金属ベゼルが使えるようになったのだ。金属の利点は、ザラツ研磨をかけられること。セラミックスよりも薄く細く作ることができ、クォーツアストロンのオリジナルに近い意匠が再現できたという。

  • SBXC019

    SBXC019(中央)

ただし、限定モデルはベゼルがセラミックス製で、レボリューションラインの限定モデル同様に50面カットを施している。針やインデックスの形状は元祖クォーツアストロンに最も近い。価格は、レギュラーモデルが各21万円、限定モデルが27万円。すべて発売中。

  • SBXC023

    SBXC023