キングジムは12月4日、「書く」ことを追求したというデジタルノート「freno(フリーノ)」を発表しました。クラウドファンディングサービス「Makuake」で同日からプロジェクトを開始。2019年12月4日~2020年2月28日の期間で、支援を募集します。
リターンは本体+デジタルペン+専用カバーのセット。目標金額は5百万円ですが、12月4日15時17分の時点ですでに目標額達成間近の470万円の支援が集まっています。
キングジム発の本格手書きノート
「フリーノ」は、6.8インチのE Ink電子ペーパーを備えたデジタルノート。ワコムのデジタイザ技術により、付属のペンで4,096段階の筆圧検知で文字やイラストを描けます。ノート機能、ドキュメント表示/書き込み機能、カレンダー機能を搭載し、データは本体のほか、Dropboxでも保存して、PCやスマートフォンなどと共有できます。手書きメモにありがちな「どこに書いたか忘れてしまった」を極力なくすことを目指した製品です。
重さは約240g。ストレージは8GBを内蔵し、約13,000ページのノート、約2,000ファイルのPDFドキュメント(1MB/ファイル)を保存可能。ノートは横軸や方眼、To Doリストなど12種類のフォーマットに加え、4種類の自作フォーマットを追加できます。
保存形式は独自の.Note形式のほか、PDF / PNGに対応。.Noteは「フリーノ」でしか見られない形式のため、PCなどの他デバイスと共有する場合は、PDF / PNGとしてデータを書き出す必要があります。ちなみにデータの移行は、USBケーブル経由、microSD経由、Dropbox経由(内蔵無線LANによる)で行えます。
手書き文字をOCR認識する機能は非搭載。ソフトウェアキーボードで入力した文字であれば、保存データ全体からキーワード検索が行えます。また、ブックマークのように、重要なページにしおりをつける「タグ」機能もあり、タグ付けされたページのみを全体/ファイル内で抽出して表示できます。
本体色は「文具らしい親しみやすさ」を意識したマットベージュで、クリームがかった柔らかい色合いのベージュ。ペンを収納でき、スタンドとしても使える専用カバーはクラフトペーパー製。こちらはブラウン、グレー、ブラックの3色で展開します。なお、バッテリー駆動時間は、まだ開発段階であり、ライトや無線LANの使用によっても変わるため、現状は未定ですが、「1週間持たせることが目標」とのことでした。
手書きメモ「どこに書いたか忘れる」問題を防ぐ
描画速度は一般的なE Ink採用電子ペーパーと同程度。まだ開発段階とあって、ページの切り替えにやや時間がかかる印象です。書き味や追随性はかなり良好で(ペンの応答速度は20ms)、4,096段階の筆圧検知対応もあり、ペン種類が画面上で選べるのは便利。「ちょっとした空き時間にラフを切る」「デザイナーさんがイラスト案を作成する」といった用途も想定しているといいます。
Makuakeでのプロジェクトは、目標金額の達成に関わらずプロジェクトが成立するAll in型。リターンは「32,000円コース×20名」「34,000円コース×50名」「36,000円コース×250名」「38,000円コース×無制限」の4種類を選択可能ですが、12月4日13時30分時点で、32,000円コースと34,000円コースは募集人数に達したため締め切られています。
「フリーノ」の開発にあたっては、打ち合わせなどでノートに書いた情報を「どこに書いたかわからなくなる」という人がいる、と考えたことからスタート。同社が2019年10月に実施したユーザー調査では、「(ノートから)目的のページを探すのに困った経験がある」と回答した人が59%に上ったといいます。
製品開発を担当したキングジム 電子文具開発部の東山慎司氏は「自分もその1人」と語り、「一方で、ノートを使う人は『書いた方が記憶に残る』という意見が多い。書くことで思考を整理し、頭をなめらかにする」と、手書きのニーズも高いことを紹介。「フリーノ」では、紙に近い書き心地も意識したといいます。
クラウドファンディングを使った理由は「情報感度の高いユーザーが多いクラウドファンディングと、今回発表した『フリーノ』は親和性が高いと思っている。ユーザーから意見をもらいながら、製品のブラッシュアップを図りたい」(キングジム常務取締役 亀田登信氏)とのこと。
「フリーノ」は、2020年5月頃に一般販売も予定されています。その際の価格はオープンですが、店頭予想価格は「3万円台の上のほう」とのことで、4万円弱と見込まれます。ただし、Makuakeのプロジェクトと異なり、一般販売では専用カバーが別売(3,000円前後)となるため、カバーも購入したい人はMakuakeのほうがややお得になりそうです。