そして、2018年度に実施した大丸有データ活用プロジェクトを踏まえ、設立したのが丸の内データコンソーシアムだ。

池田氏は同コンソーシアムが目指す姿について「東京・丸の内を起点にデータを活用することで、街や社会に新しい価値、ビジネスの創出を重要視しています。大丸有データ活用プロジェクトでは12者のみでしたが、今回は参加企業を広く募る点が大きな違いです。1社単独では難しいことをコラボレーションで実現していくことがポイントです」と話す。

  • 「丸の内データコンソーシアム」の概要

    「丸の内データコンソーシアム」の概要

同コンソーシアムの特徴としては、場所に紐づき、すべての会員が共通基盤を使えるとともに競走を促進するプログラムを備えており、イノベーションの創出を支援する会員制組織「Tokyo Marunouchi Innovation Platform(TMIP)」の連携プログラムとして運営することだという。

  • 「丸の内データコンソーシアム」の特徴

    「丸の内データコンソーシアム」の特徴

富士通が主導する情報銀行サービス実証プロジェクトは、大日本印刷やパーソルキャリアなどと共同で個人のスキルや嗜好データを活用しキャリア形成を支援する「副業マッチングサービス」、電通やマイデータ・インテリジェンスなどと共同で丸の内のオフィスワーカーや来訪者のスケジュールとパーソナルデータを活用する「スケジュールマッチングサービス」、JTBなどと共同で丸の内エリアのワーカーや来街者を対象に新たな旅の体験をデザインすることを狙いとした「新たな旅のスタイルや余暇の過ごし方」のサービス創出を検討している。

  • 各プロジェクトの概要

    各プロジェクトの概要

情報銀行は個人とのデータ活用に関する契約などににより、PDS(Personal Data Store)などのシステムを活用して個人のデータを管理すると同時に、個人の指示やあらかじめ指定した条件に基づき、個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供するというものだ。

同氏は主導するプロジェクトについて「情報銀行サービスの実証を行うということがユニークなポイントです。情報銀行の実証はポツポツとあるものの、大きなうねりにはなっていないため、丸の内で複数のプロジェクト進めていく中で認知も含めて、情報銀行がビジネスになるということを確立していきたいと考えています」と強調する。

同コンソーシアムの提供プログラムとしては、参加企業でなくても興味・関心を持ってもらうための「オープンセミナー」のほか、「データ流通・利活用基盤」「データ分析」「ワークショップ」となり、主催者の意図とは関係なく企業同士がコラボレーションし、サブテーマワーキングが創出されることを期待しているという。

データ流通・利活用基盤には、大丸有データ活用プロジェクトで用いた富士通のVirtuora DXを活用したポータルを10月1日から参加企業に提供開始しており、データジャケットに加え、データジャケットのつながりを可視化する「キーグラフ」、参加者間のコミュニケーションを行う「トークルーム」、参加者のプロフィールを共有する「DX Place」、企業を超えて実データの受け渡しを行う「データ流通」などの機能を備えている。

  • 「丸の内データコンソーシアム」ポータルのイメージ

    「丸の内データコンソーシアム」ポータルのイメージ

  • ポータルの機能概要

    ポータルの機能概要

各プロジェクトの進捗状況は、2019年度内のフィールドトライアルを目指し、アプリケーションサービスを作り込んでいる状況だという。

池田氏は「特に副業マッチングサービスは、副業自体が日本の社会的には新しいもののため人事制度と密接に絡んできます。単純にパーソナルデータを取得ができたからマッチングとはいかず、人事制度をどのような形に変えていけば良いのかなどの課題が出てくることもあるため、まずは課題抽出に取り組んでいます。つまりプロセスとして回るのか、そしてユーザーにどのようにアプリケーションとして届けるかということですね。スケジュールマッチングも同様の状況です。これらは働き方改革が必要とされている状況下において、非常に意義深いものだと思います。サービスも現在は3つですが、今後は4つ、5つと生み出し、丸の内データコンソーシアムがうまく機能すればと考えています」と将来的な展望を語っていた。