プラススタイルが販売サイト「+Style」で10月25日に発売した超小型カメラ搭載ドローン「SELFLY(セルフライ)」。特徴はそのコンパクトさで、折りたたむとSELFLY専用のiPhoneケース(別売)に収まってしまうほどです。iPhoneと一緒に持ち歩いて、サッと飛ばせるという手軽さは、大型のドローンにはない魅力でしょう。

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    iPhoneケースに収納できる超小型の自撮りドローン「SELFLY」

重さが68gなので、改正航空法の適用対象外(規制対象は200g以上)で飛行許可がいらない点も注目ポイント。土地の管理者の許可があり、人が密集したところでなければ、比較的どこでも飛ばせます。SELFLY本体を操作するアプリはiOS 8〜13とAndroid 5.0.2以降に対応しており、今回はiPhone Xと組み合わせて飛ばしてみました。

価格(税込)は、SELFLY本体が12,100円。SELFLY収納用のケースが2,280円で、ケースのサイズはiPhone XS/X用とiPhone XS Max用が選べます。発売後に即完売するほどの人気を博した小型ドローンの魅力をご紹介します。

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    SELFLYのパッケージ

コンパクトなSELFLY、最初は試行錯誤も……

SELFLYの本体サイズは約72×141×10mm(縦×横×高さ)で、iPhone Xとほぼ同じ寸法です。iPhone X用ケースに取り付けたときの厚みはiPhone Xの約1.5倍になり、やや厚みを感じますが特に問題なく操作できました。背面のカメラや、Apple PayのSuicaなども、SELFLYを装着したまま使えます。

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    iPhone X用ケースに装着して持ち運んでいるところ

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    背面にSELFLYを収納します。厚みは増しますが、iPhoneを違和感なく操作できます

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    ケースを縦にスライドして、iPhoneの背面カメラを利用できます

SELFLYの充電端子はUSB Type-C。iPhoneケースに装着したときには側面に端子が位置し、ケースにつけたまま充電できます。

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    USB Type-C端子にUSBケーブルを挿して充電します

SELFLYを飛ばすときはケースから外し、4つのプロペラの支柱部分を起こすと、手のひらサイズのクアッドコプターができあがり。ローターをガードするプラスチックパーツを装着すれば、より安全に飛ばせます。

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    iPhoneケースからSELFLY本体を取り外したところ

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    支柱を手で起こしてプロペラを展開します

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    手のひらに乗るコンパクトサイズのSELFLY本体

SELFLYを操作するiPhoneアプリを起動するとまず、英語のダイアログが表示され、「シミュレーターを起動しますか?」と聞かれます。OKを選択すると3DCGのシミュレーター画面が表示され、アプリ内でSELFLYを飛ばす練習ができます。シミュレーターはSELFLY本体が無くても試せるので、操作感を体験したい人はSELFLYを購入する前にアプリを使ってみると良いでしょう。

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    SELFLYを買う前に、アプリの3DCGシミュレーターで操作感を体験できます

SELFLYとiPhoneの接続は簡単。SELFLY上部の電源ボタンを押すと、Wi-Fi接続待ちの状態になります。iPhoneのWi-Fi設定から「SELFLY……」というアクセスポイントを選び、パスワード「00000000」(ゼロ8個)を入力すれば、アプリと連携して操作できる状態になります。

ただ、実機はシミュレーターで練習した通りにまっすぐ飛んでくれるかというとそういうわけではなく、いざ本番!と「Lift On」ボタンを押したところ、SELFLYは飛び上がる前にバランスを崩して転んでしまいました。プロペラを正しい向きに取り付けないと離陸しないのです。試用機はこの正しい向きを把握するのが難しく、プロペラを外して組み直して……と何度か試行錯誤することで、無事浮上に成功しました。

SELFLYのプロペラは外れやすく、バランスを取れずに壁などに当たると、プロペラの部品が飛んでいってしまうこともあります。最初の試験飛行は部屋の中を片付けた上で行うと良いでしょう。でないと筆者のように、プロペラを探し回るはめになります……(ちなみにプロペラは、予備パーツとして多めに入っています)。

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    付属のプロペラとプロペラガード

一見するとおもちゃのようなドローンですが、プロペラの回転はなかなか強力で風切り音は大きく、回り方も想像以上に大ぶりです。6畳間で飛ばしてみると手狭に感じるでしょう。また、飛行中のプロペラはかなり高速回転しています。小さくても触ると危険なので、特に子どもからは十分に離れた場所で飛ばしましょう。

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    付属の持ち運び用ケース

初めての空撮で感動!

屋内で練習したのち、河川敷で人のいないタイミングを見計らって飛ばしてみました。操作はiPhoneのタッチ画面上で、仮想ジョイスティックを動かす要領で行います。シミュレーターとは違ってiPhoneの画面と目視を組み合わせた操作で、風の影響もあって最初こそ手こずったものの、数分も飛ばしているうちに前進後退や左右への移動、上昇下降など、基本的な操作はスムーズに行えるようになりました。電波の届く範囲にもよりますが、最大15mの高さまで飛行できます。

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    初フライトの瞬間!

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    SELFLYを河川敷で飛ばしているところ

コンパクトなボディながら安定して飛ぶ印象で、Wi-Fi経由での操作もキビキビ反応します。ただし、軽いだけあって風にはあおられやすく、肌で感じる程度のそよ風でも流されそうになることもありました。初めて屋外で飛行するときは、風の少ない晴れた日を選ぶのが良さそうです。

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    アプリとSELFLYを接続していると、SELFLYからの映像が画面に表示されます

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    安定して飛ぶ印象。ただし肌で感じる程度のそよ風でも、流されそうになることも

SELFLYは本体にカメラを内蔵し、空中で静止画や動画が撮れます。撮影した静止画や動画はiPhoneに転送され、すぐにシェアできます。静止画は2,560×1,440ドットのJPEG、動画は720pのMP4で記録されます。動画のフレームレートは20fpsと低めで、iPhoneで撮る動画と比べると荒く、パッとしない写りに思えるかもしれません。また、プロペラの大きい風切り音が入るためか、音声は記録されません。

それでも、自分が飛ばしたドローンがリアルタイムで遠くからの映像を届けてきた瞬間、これまで撮れない映像を手にしたという感動を覚え、新鮮な楽しさがありました。

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    SELFLYのカメラ。角度は手動で下向きにも変えられます

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    SELFLYで撮った写真。動画から切り出したような画質でした

アプリには改善の余地あり。予備バッテリーは追加も可能

SELFLYの使い勝手で不満点を挙げるとすれば、ひとつはアプリの操作性。必要な機能はひと通りそろっていますが、SELFLYとWi-Fiで接続していても、アプリ起動時に「シミュレーターを起動しますか?」というダイアログが必ず表示されるなど、洗練されていない部分があります。また、試用した時点(2019年9月中旬)では日本語表記は用意されていませんでした。国内で発売する製品なので、アプリもできれば日本語化してほしいところです。

もうひとつ、これはサイズの制約で仕方のない部分ですが、付属バッテリーの容量は500mAhで、飛ばせるのは約3~5分程度。15分くらいで充電して3分飛ばして……と待ち時間が長くなってしまいます。幸い、SELFLYには予備バッテリーが付属しているので、それを併用してトータルの飛行時間を延長することはできます。また、別売オプションとして追加の予備バッテリー2個セット(税込2,980円)が販売されています。

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    SELFLYには予備バッテリーを含めて2個のバッテリーが付属します

初めて「空飛ぶカメラ」を買う人にオススメ!

本格的で大きなドローンを飛ばすにはトレーニングが必要ですが、SELFLYのような小型のドローンなら、比較的安全かつ手軽に飛ばせるので入門機として良さそうです。特に、都会では飛ばせる場所は限られ、危険な飛行は避けなければいけません。筆者の場合、まずは小さなドローンを触ってみることで、ドローン関連の法令を意識するきっかけになりました。

法令といえば、日本で無線機器を利用する場合、電波法の制限(いわゆる技適)があります。SELFLYの販売においては、ソフトバンクグループのSB C&Sが日本での正規代理店となっており、国内法認証も同社が保証しているため安心です。

超小型のドローン1台で約1.2万円という価格をどう感じるかは人それぞれかと思いますが、専用iPhoneケースに取り付けて持ち運べる「空飛ぶカメラ」がこの値段で買えると考えればアリではないか、と思います。ドローンの使いこなしを学ぶ入門機として体験するにはオススメの1台です。

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