--今後の販売戦略について伺います。サブスクリプションモデルになると、中堅・小規模企業も顧客ターゲットになります。同市場にはどのようにアプローチする戦略ですか?--

Ratzesberger氏: Teradataのこれまでの顧客は、「データカンパニー」と呼ばれる超大規模企業が主でした。現在は、データカンパニーよりも一回り小さい「コマーシャルエンタープライズ」企業に対応する営業チームを結成し、アプローチしています。

今後、クラウドでのサービス提供が主流になれば、当然、中堅・小規模企業もわれわれの顧客になります。同市場にはチャネルパートナーを介してサービスを提供していくセールスモデルを計画しています。

--クラウドによるサブスクリプションモデルの場合、チャネルパートナーの販売利益率は、売り切りモデルと比較して低下するのではないでしょうか?--

Ratzesberger氏: その認識は間違いです。サブスクリプションモデルは売り切りモデルよりも販売利益率が下がることはありません。むしろチャネルパートナーの利幅は大きくなります。

--どういうことでしょう?--

Ratzesberger氏: チャネルパートナーがVantageを販売する大きなメリットは、柔軟性のある独自サービスを提供できることです。

具体的に説明しましょう。前述したとおり、パートナー企業はVantage上で稼働するさまざまなアプリやサービスを開発できます。ですから、たとえば、チャネルパートナーが顧客のニーズに応じ、「Vantage+独自のアプリ/サービス」を「分析プラットサービス」として提供できるのです。その際には、Vantageのほかに(アプリ/サービスぶんとして)+αの料金を柔軟に設定できます。こうしたモデルはチャネルパートナーにとっても、またTeradataにとっても大きな商機になると考えています。

-- ビジネスユーザー向け分析支援サービスの訴求戦略について教えてください。同分野には、AdobeやAdobeが買収したMarketoなどが、分析/マーケティング自動化ツールを提供しています。こうした製品/サービスとどのように対峙していくのでしょうか?--

Ratzesberger氏: 両者とTeradataの差異ポイントは、フォーカスが異なることです。AdobeやMarketoはエンドユーザーとのタッチポイントにフォーカスし、そこ(のデータ分析)に注力しています。

一方、われわれは統合型分析プラットフォーム(Vantage)上で、あらゆるデータを分析することに注力しています。Vantageは(特定のデータを対象にした分析サービスとは)アルゴリズムの数や分析可能なデータ量の桁が違います。しかも、Vantage上では無数のサービス/アプリケーションを稼働させることがきる。ですから、既存の製品/サービスと"対峙"するとは考えていません。

--クラウドファーストではリテンション率の維持が課題になります--

Ratzesberger氏: もちろんです。サブスクリプションモデルの場合、いかに契約更新してもらえるかが重要になります。その責任者としてわれわれは、CRO(Chief Revenue Officer:最高売上責任者)としてScott Brownを迎えました。Brownは米シスコシステムズにおいて、サブスクリプション関連の部門を長年統括していた人物です。経営幹部にこうした実績のある人材がいることは、Teradataにとっても大きな意味があると考えています。

  • TeradataでCROを努めるScott Brown氏。Vantageの利点の1つとして「特定のクラウドにロックインされないこと」を挙げた