日本IBMとパナソニック スマートファクトリーソリューションズは10月15日、半導体製造工程のOEE(Overall Equipment Effectiveness:総合設備効率)最大化と高品質モノづくりを実現するための新規商品開発に関して協業に合意した。

現在、パナソニックでは回路形成プロセス事業の中で、半導体製造工程向けにドライエッチング装置、プラズマを用いて高品質なウエハーを切り出すプラズマダイサー、金属接合性や樹脂密着性を高めるプラズマクリーナー、高精度ボンディング装置などのエッジデバイス、新工法を開発・販売している。

一方、日本IBMは半導体製造工程向けの知見により、APC(Advanced Process Control:高度プロセス制御)、FDC(Fault Detection and Classification:故障・予兆管理)などのデータ解析システムや、上位レイヤーのMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)などを開発・販売し、品質向上や生産管理の自動化を実現しているという。

今回の協業では、両社が共同で開発するデータ解析システムをパナソニックのエッジデバイスに組み込んだ高付加価値化システムで、エンジニア工数の削減と品質の安定化、設備稼働率向上の実現を目指す。

具体的には、半導体製造工程の先端パッケージング新工法として注目されているプラズマダイサーのレシピ自動生成システムと、後工程で実績のあるプラズマクリーナーにFDCシステムを組み込んだプロセスコントロールシステムの開発を行う。

  • パナソニックと日本IBMが協業

    協業の概要

レシピ自動生成は、両社が共同開発した演算アルゴリズムを用いることで、製品ごとに異なるダイシング形状(エッチング形状)を入力するだけで、数百種類の組み合わせで構成する装置パラメータの自動作成を可能にするという。

  • プラズマクリーナーの外観

    プラズマダイサーの外観

同機能を用い、製品立ち上げ時間の短縮、エンジニアリングコストの低減を図ることに加え、前後工程の加工品質変動sに対して装置パラメータを自動補正するAPCシステムにも応用可能で、安定した加工形状を維持し、高品質なダイシングプロセスを目指す。

FDCについては、生産中の装置稼働データを連続的に取り込み、独自のデータ解析手法で異常値を判別し、装置コンディションの自動判定を可能にする。同機能を使い、装置のメンテナンス箇所、保守タイミングを出力し、故障予知や予知保全で、メンテナンス時期の最適化と装置停止時間を短縮し、稼働率の向上を図る。

  • プラズマダイサーの外観

    プラズマクリーナーの外観

さらに、その高付加価値化システムと日本IBMのMESを連携することで、工場トータルでのOEE最大化と高品質モノづくりを実現するという。まず、両社では半導体後工程をターゲットにして高付加価値化システムの開発に着手し、続いて半導体前工程も視野に入れたビジネス展開を目指す。