以前、出版社時代の同僚が、キーボードを「刀」に例えていました。カッコつけるわけではないですが、大量に文字入力するライターにとって、キーボードはパソコンのパーツのなかで最も重要なパーツです。どんなにハイパフォーマンスなパソコンでも、キーボードがダメダメなら作業効率はガタ落ち。もちろん筆者もキーボードにこだわりを持っています。というわけで今回は、ロジクールから発売されたばかりの新型キーボード「MX KEYS(KX800)」の実機レビューをお届けいたします!

  • MX KEYS

    ロジクール「MX KEYS(KX800)」直販価格税別14,500円

MX KEYSはCRAFTからダイヤルを省き低価格化

発表時に既報「ロジクール、“使い込む人向け”の薄型フラッグシップキーボード『MX KEYS』が掲載されていますが、MX KEYSはエンジニアやプログラマーを想定して、タイピングに特化して開発された薄型キーボードです。

同社が2017年8月、クリエイター向けに発売した薄型キーボード「CRAFT」と同じスイッチ機構を採用しつつ、クリエイティブアプリ向け入力ダイヤル「コントロールホイール」を省くことで低価格化を実現しています。

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    CRAFT(下)が直販価格税別22,750円、MX KEYS(上)は直販価格税別14,500円。MX KEYSは8,250円安く入手できることになります

MX KEYSとCRAFTのフィーリングはほぼ同じ

MX KEYSのキー配列は113キー日本語レイアウト、キー構造はパンタグラフ方式、キーピッチは19.0mm、キーストロークは1.8mm、押下圧は60±20gと、CRAFTとまったく同じです。CRAFTと実際に打ち比べてみましたが、底打ちしたときの感触と、打鍵音が微妙に異なる気がしますが、フィーリングはほぼ同等。両者に感じる違いの理由は不明ですが、経年変化や、ロットによる差異かもしれません。機会があれば最新ロットのCRAFTとMX KEYSを打ち比べてみたいですね。

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    パッケージには、製品本体、Unifyingレシーバー、充電ケーブル、保証書、保証規定、そして同時に発表された新型マウス「MX MASTER 3」の紹介カードが同梱されています

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    本体サイズは430.2×131.63×20.5mm、重量は810g。ダイヤルがないぶんCRAFTより奥行きが17.37mm短くなっています(CRAFTのサイズ/重量は430×149×32mm/960g)

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    前面と背面。本体背面に充電用のUSB Type-C端子と電源スイッチが配置されています

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    タイピングしやすさを考慮してキーボード面には5.5度の傾斜がつけられています

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    キーピッチは19.0mm

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    キーストロークは1.8mm。指先の形に合うようなくぼみもCRAFTから継承しています

ノートPCと交互に使うときMX KEYSのキーストロークはもってこい

キーストロークの深いメカニカルスイッチを採用したキーボードを現在使っている方は、メカニカルスイッチに比べればキーストロークが浅い、パンタグラフ方式のMX KEYSの打鍵感を敬遠するかもしれません。個人的にも、強く打鍵したときの感触は、メカニカルキーボードのほうが好みです。

しかし筆者はここ最近、デスクトップPCでは、MX KEYSと同じキースイッチを採用するCRAFTを使っています。理由は単純で、ノートPCと交互に使っていると、メカニカルキーボードよりCRAFTのほうがフィーリングは近いんですね。というわけで現在は、ノートPCからデスクトップPCに作業を切り替えた直後の違和感を回避するために、CRAFTをメインキーボードにしています。

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    あくまでも個人的な感想ですが、ノートPCからメカニカルキーボードに作業を切り替えると、キーを叩いたあとに指を移動させるとき、ほかのキーを乗り越えるような指の動きが億劫です

複数台のPCを自在に操れる「Logicool Flow」など独自機能も◎

ロジクール製キーボード&マウスの独自機能についても触れておきましょう。複数台のPCを同時に使っている方に手放せない機能が、最大3台のパソコンのデスクトップ間で行き来できる「Logicool Flow」機能。MX KEYS単体でも最大3台のパソコンとの接続を3つのスイッチで切り替えられますが、Logicool Flowに対応した「MX MASTER 3」と組み合わせれば、マウスカーソルを移動するだけでMX KEYSの接続先も自動的に変更されます。めちゃくちゃ便利です。

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    Logicool FlowはWindows、macOS両対応。両OS間でマウスとキーボードを共有できるだけでなく、まるでマルチディスプレイ環境のような感覚でコピー&ペーストも可能です

MX KEYSには、CRAFTと同様に、手を感知して周辺光に応じた明るさで点灯するバックライト機能「スマートイルミネーション」も搭載されています。これも暗めの場所で打つには便利ですが、バックライトオンでは最長10日、バックライトオフでは約5カ月とバッテリーのもちが全然違うんですよね。USB Type-Cケーブルを挿すだけで素早く充電できますが、できるだけ手間を省きたいので筆者はバックライトをオフに設定しています。

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    手を感知して自動的に点灯するバックライトは周辺光に合わせて明るさが変わります。ただし室内光が点灯している状態でも、キートップ周囲から光が洩れて見えるほど結構明るめです

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    夜に室内光を消していても、ディスプレイの光でキートップの文字、記号は確認できるので、筆者はバッテリーのもちを重視してバックライトを消しています

テンキーを切り落としたいほど狂おしくテンキーレスバージョンがほしい!

上質なキーボードを備えるノートPCと変わらぬフィーリングで入力でき、複数のPCを使い分ける際に欠かせない装備となるLogicool Flowを備えたMX KEYSの使い勝手はヒジョーに気に入っていますが、ふたつ要望があります。

ひとつ目はテンキーレスバージョンを用意すること。同社製キーボードのエントリーモデルには「K380 MULTI-DEVICE BLUETOOTH KEYBOARD」(直販3,800円)というテンキーなし製品がラインナップされていますが、やはり打鍵感はそれなり。MX KEYS、CRAFTと同等の上質なキーフィーリングを備えた、コンパクトなモデルがぜひほしいです。仕事場の机が比較的狭めな国々では待ち望まれているのでは?

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    ホームポジションに合わせてMX KEYSを設置すると、テンキーが大きく右にはみ出すので、マウスが遠くなります。数字をあまり入力しない筆者は、可能であればテンキー部分を切り落としたいぐらい邪魔に感じています

ふたつ目はMX KEYSと同時に発売されたパームレスト「MXパームレスト」(直販価格税別2,000円)の底面のすべりやすさを改善すること。筆者は金属製の机を使っていますが、打鍵するたびにMXパームレストの位置がずれるのがイヤで、早々に使用を諦めてしまいました。MX KEYSに合わせて420×64×8mmと薄く作られていて、手を乗せたときの感触も心地よいのですが、筆者のように相性の悪い机を使っている場合は滑り止めシートなどを裏に貼ったほうがよいです。

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    MX KEYSとCRAFTにぴったりなサイズのパームレスト「MXパームレスト」ですが、筆者が試した限りでは梨地仕上げの机とは相性が悪いようです

CRAFTのダイヤルはたしかに便利。しかし、親指の操作エリアにアプリ固有の機能を割り当て可能になったMX MASTER 3と組み合わせて利用するなら、必須装備ではありません。特に、元々キーボードショートカットでアプリのコマンドを自在に入力できる方であれば、文字入力に特化したMX KEYSを「愛刀」に選ぶことをオススメします。筆者は完全に乗り換える気でいます!