マウスコンピューターのm-Book U400Sは、CPUにCore i7-8565Uを搭載した14型コンバーチブルタイプの2in1 PCです。標準で16GBメモリと512GB SSDを搭載している点がスペック面での大きな特徴。大容量のメモリとSSDによって、どれだけのパフォーマンスを実現しているのか、気になるところです。

そこで今回は、m-Book U400Sのベンチマーク結果を交えながら、使用感や性能についてレビューします。本体デザインや使い勝手については、「外観・機能・使い勝手編」をご覧ください。

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■試用機の主な仕様 [製品名] m-Book U400S [CPU] Intel Core i7-8565U(1.80GHz) [メモリ] 16GB PC3L-14900 [グラフィックス] Intel UHD 620(CPU内蔵) [ストレージ] 512GB M.2 SATA SSD [光学ドライブ] なし [ディスプレイ] 14型、光沢、1,920×1,080ドット、10点マルチタッチ対応、256段階の筆圧検知 [OS] Windows 10 Home 64bit版 [バッテリー駆動時間] 約16.4時間 [本体サイズ/重さ] W322.8×D218.0×H16.8 / 約1.5kg [直販価格(税別)] 139,800円から
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  • ヒンジ部分が360°回転するコンバーチブルタイプの2in1

起動とスリープからの復帰がメッチャ速い!

m-Book U400Sを試用してまず驚いたのは、スリープからの復帰が異様に速いこと。これはm-Book U400Sが、Windows 10の「モダンスタンバイ」と呼ばれる機能に対応しているため。通常のスリープでは復帰には数秒程度かかるのですが、モダンスタンバイ対応のm-Book U400Sではほんの一瞬でした。マウスコンピューターがモダンスタンバイと通常のスリープの違いを動画で公開していますが、この動画のとおりホントに一瞬です。

【動画】マウスコンピューターが公開しているモダンスタンバイと通常のスリープとの比較

起動時間もかなり高速です。電源オフの状態からデスクトップが表示されるまでの時間を計測したところ、平均で11.82秒でした。SATA接続SSDを搭載した機種の平均起動時間は16秒前後(筆者調べ)ですので、体感的にかなり速く感じます。起動やスリープからの復帰でストレスを感じることはまずないでしょう。

起動時間の計測結果 (手動による計測)

  • 1回目:11.7秒
  • 2回目:11.2秒
  • 3回目:12.3秒
  • 4回目:12秒
  • 5回目:11.9秒
  • 平均:11.82秒

CPU性能はイマイチ?

m-Book U400SはCPUとして、Whisky Lake世代のIntel Core i7-8565Uを搭載しています。CPU性能を計測するベンチマークを試したところ、Core i7-8565Uの平均的なパフォーマンスには届かず、Core i5相当の結果となりました。

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    マルチコア性能を計測するCINEBENCH R20のCPUスコア(m-Book U400S以外のスコアは筆者計測の平均値)

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    総合的な計算性能を計測するPassMark CPU Markのスコア(m-Book U400S以外のスコアは筆者計測の平均値)

ベンチマークスコアが伸びなかったのは、あえてCPUの性能を抑えているためだと思われます。

m-Book U400Sはボディが非常に薄く、しかもファンレスです。本来であればCPUを冷やすために空冷ファンが必要なのですが、無音状態を実現するためにあえて空冷ファンを省いています。空冷ファンがないとCPUが高温になりすぎてさまざまな悪影響が出るはずなのですが、CPUのパフォーマンスを調整することで熱が上がりすぎないようにしているのでしょう。その結果として、Core i7-8565Uとしてはベンチマーク結果が低くなっているのです。

PCMark 10実行時におけるCPU温度の推移を見ても、そのことがわかります。最高温度は91度とやや高めではあるものの、全体的には50~80度あたりを推移しています。熱が上がりすぎてパフォーマンスが下がる現象(サーマルスロットリング)は、発生していないようです。

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    PCMark 10実行時のCPU温度。グラフを見やすくするために加工してあります。上部のグラフの原点(左下)がベンチマークのスタート時で、縦軸がCPU温度、横軸が経過時間です。上部のグラフの右下から、下部のグラフの左下へと続きます。下部のグラフの縦軸はコピー&ペーストしたものです

Core i7を使いながらもCore i5相当のパフォーマンスという結果には少々残念な気もしますが、それでもノートPC全体で見れば十分高性能な部類です。駆動音がまったく聞こえないファンレスであることに大きな意義があるので、多少の性能差には目をつぶるという考え方もアリでしょう。

大容量のSATA接続SSDを搭載

m-Book U400Sで使われているストレージは、SATA接続の512GBのSSDです。アクセス速度はSATA接続としては平均的でした。超高速なPCIe・NVMeタイプではないものの、容量が512GBと大きい点は魅力です。これだけあれば、スマホで撮影した写真や動画を大量にコピーしても、容量不足で困る場面は少ないでしょう

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    CrystalDiskMarkによる512GB SSDのアクセス速度

大容量メモリと大容量SSDの効果は?

m-Book U400Sは、16GBのメモリと512GBのSSDを標準で搭載しています。特に、16GBのメモリがパフォーマンスに影響しているのでは? と思ったのですが、8GBメモリ搭載機種と比べて、大きく上回るほどではありませんでした。むしろCPU(および内蔵グラフィックス)性能が影響するテストでは、スコアが下回っています。機種によってパーツの種類や冷却性能などが微妙に異なるので一概には言えませんが、結果を見るにCPU性能がボトルネックになっているのかもしれません。

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ただ実際に使っていたところ、Webブラウザやファイルの操作では、8GBメモリ搭載機種より若干反応がいいように感じました。また、AdobeのPhotoshopを使ってペン入力やちょっとした加工を試したのですが、画像の拡大やタブの切り替えなどはとてもスムーズです。CPU性能が大きく影響する処理では効果が低いものの、操作面での体感的な速度が向上しているのかもしれません。

バッテリー性能は優秀!

バッテリー駆動時間は公称値で16.4時間とされています。しかし、公称値と実際の駆動時間は、大きく違うことが多いもの。そこで実際の駆動時間を計測したところ、最大で14時間1分という結果になりました。公称値には届かなかったものの、非常に優秀な結果です。

検証に利用したBBenchのテストはバッテリー消費がとても少ないため、PCMark 8でも駆動時間を計測しました。

PCMark 8のテストはバッテリー消費が非常に大きいため、7時間26分という結果でしたが、13.3型モバイルノートPCでも6時間程度の機種が多いことを考えれば、なかなか優秀です。実際にはそれぞれの結果のあいだを取って、10~11時間程度といったところでしょうか。

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    BBenchによる駆動時間計測時におけるバッテリー容量の推移

バッテリー駆動時間の計測結果

  • BBench : 14時間03分
  • PCMark 8 Work conventinal(Battery life):7時間26分

ちなみに、満充電までにかかる時間は2時間30分でした。ちょっと時間はかかっていますが、1時間で60%まで充電できます。ヒマを見てちょこちょこと充電するよう心がければ、問題ないはずです。

仕事にも普段使いにもちょうどいい性能

ということで、m-Book U400Sのパフォーマンスについてレビューしました。ベンチマーク結果を見る限りではCPU性能が振るわなかったものの、総合的な性能は悪くありません。プロ向けのソフトを使って高度な作業をガッツリ行なうには向いていませんが、ExcelやWordを使った作業、写真・動画の閲覧あるいはちょっとした加工には十分なパフォーマンスです。

起動やスリープからの復帰が速く、バッテリー性能が優秀である点も見逃せません。スマホやタブレットでは物足りない、そしてやりづらい作業を効率よくこなすのにも向いています。

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PCレビューサイト「こまめブログ」のなかの人。元書籍・雑誌編集者で現在はフリーライターおよびブロガーとして活動中。趣味は市場調査の名目でゲームをプレーすること。
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