セイコーエプソンは7月25日、インクジェット複合機の年末商戦向けモデルを発表しました。これまでのインクカートリッジ式のモデルに代わり、大容量インクタンクを搭載して印刷コストを抑えた「エコタンク搭載モデル」を主力に据え、本体サイズの小型軽量化や低価格化を図った新製品2機種を投入。「プリンターはインクがすぐなくなる」「インク代が高い」という不満を解消し、従来モデルからの買い替えを狙います。

  • セイコーエプソンが発表した家庭向けの「エコタンク搭載モデル」の複合機2機種。左が高性能モデル「EW-M752T」、右が低価格モデル「EP-M552T」。写真画質印刷を維持しつつ、本体の小型化や低価格化を図った。無印良品のようなシンプルな白い外観も目を引く

インクタンクをヘッド部に搭載して小型化

今回の新製品で主力となるのが、エコタンク搭載モデルの複合機「EW-M752T」と「EP-M552T」の2機種。両機種とも、エコタンク搭載モデルとしては初めて、インクタンクをプリントヘッドの部分に搭載したのが特徴。従来モデルにあったインクタンクの張り出しをなくし、従来のインクカートリッジモデルと同等の本体サイズに仕上げています。本体も、曲線を多用した柔らかな仕上げとし、家庭のリビングにも溶け込むデザインとしました。

  • 複合機の多機能モデル「EW-M752T」。基本的な装備や写真画質印刷のクオリティーはカラリオの売れ筋モデルとほぼ同等で、家庭でも不満なく使える

  • 本体カバーを開けたところ。インクタンクをプリントヘッドの上に搭載した

  • 違う色のタンクにインクを誤って注ぐのを防ぐ機構は継承する

補充用のインクボトルは、通常容量版の価格を1本600円前後(税別)とインクカートリッジよりも安く抑えました。5色まとめて買っても3,000円前後(税別)でそろえられます。1本2,000円前後(税別)の大容量ボトルも用意します。

  • インクボトルは通常容量(手前)に加え、大容量ボトル(後方)も用意。通常容量は1本600円前後(税別)と、インクカートリッジよりも安い

  • 前面の白色LEDの点滅でインク残量が少なくなったことを教えてくれる

  • 複数インクのセットモデルには、写真用紙がお試しで付属する

写真プリントの画質も向上しました。顔料のブラックインクに加えて染料のフォトブラックインクを搭載し、3色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクしか使えなかった従来のエコタンクモデルよりも引き締まった写真画質でのプリントを可能にしました。印刷コストは、インクカートリッジ式モデルと比べるとA4カラー文書は1/4ほど、L判写真は1/2~1/3ほどに抑えています。

EW-M752Tは、機能や装備を充実させた複合機の上位モデル。顔料ブラックを含む5色インクやフラットベッド式のスキャナー、自動両面印刷機能、前面給紙カセットを搭載したスタンダードモデル。価格はオープンで、予想実売価格は3万円台後半(税別)の見込みです。

【編集部よりお詫びと訂正のお知らせ】記事の初出時、「エコタンク搭載モデルでは初めて染料のフォトブラックインクを搭載」と記載していましたが、染料フォトブラックインク搭載モデルはすでに存在していました。お詫びいたします。該当部分は修正いたしました。(2019年7月29日11時30分)

  • スキャナーはオーソドックスなフラットベッド式となる

  • A4普通紙が100枚格納できる給紙カセットを底面に装備

EP-M552Tは、実売価格を2万円台後半(税別)の手ごろな価格に抑えた複合機のスタンダードモデル。特徴が、スキャナー部を複合機では一般的なフラットベッド式ではなく、シートフィーダー式としたこと。厚みのある雑誌や新聞紙などの大きな紙のスキャンはできませんが、A4判の書類はいちいちスキャナーカバーを開閉して用紙を交換する手間なく、次から次へとスピーディーにスキャンできます。インクは顔料ブラックを省いた染料インクの4色構成となり、自動両面印刷機能は搭載していません。

  • 複合機では珍しくシートフィーダー式のスキャナーを搭載した低価格モデル「EP-M552T」

  • 後方の少し盛り上がった部分のカバーを開けると、オートシートフィーダ式のスキャナーが顔を出す。普通紙のみの対応で、厚みのある紙は対応しない。雑誌などは、専用のスマホアプリを使えばスキャンできる

  • スキャンする用紙は手前から給紙する

  • 用紙は背面給紙となり、底面の給紙カセットは搭載しない

プリンター本体とともに、専用のスマホアプリも一新しました。アプリの使い勝手を高めたほか、スマホカメラを使った雑誌やハガキなどのコピー機能を追加。雑誌を直接スキャンできないEP-M552Tでも、アプリを併用すればコピーやスキャンができます。プリンター本体の電源をスマホから制御したり、インク残量をアプリ上で確認する機能も搭載しています。

  • 新しいスマホ用アプリ。「スマホがプリンターのリモコン代わりに使える」としている