ベリタステクノロジーズ 代表執行役員社長 大江克哉氏

ベリタステクノロジーズは7月3日、新たな製品ビジョンとして、複雑化したIT環境を抽象化する統合テクノロジー「エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム(Enterprise Data Service Platform)」を発表した。

テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員 高井隆太氏は、Enterprise Data Service Platformについて、「このビジョンは、米国で6月20日に発表されたもの。当社のCEOであるグレッグ・ヒューズは顧客の課題、主力製品であるNetBackupをビジネスの中心に据えて強化することにフォーカスしている。それを具現化するのがEnterprise Data Service Platform」と語った。

ベリタスでは、CIOを対象に実施した調査に基づき「データの増加」「クラウドにおけるデータ保護」「ランサムウェアの脅威」「データ規制」を企業が抱える課題としてとらえている。

大江氏はこうした課題に対し、IT環境を標準化することで解決できると説明した。そのためのプラットフォームがEnterprise Data Service Platformとなる。

ベリタステクノロジーズ テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員 高井隆太氏

Enterprise Data Service Platformについては、テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員の高井隆太氏が説明した。Enterprise Data Service Platformは、「可用性」「保護」「インサイト」という3つの要素から構成される。

Enterprise Data Service Platformを利用することで、重要なアプリケーションを常に保護しながら可用性を確保し、データリカバリの自動化、さらに、コストの最適化とコンプライアンス遵守に必要なインサイトを享受することが可能になる。

「可用性」を担う製品は「InfoScale」と「Resiliency Platform」、「保護」を担う製品は「NetBackup」「CloudPoint」「Backup Exec」、「インサイト」を担う製品は「Information Studio」「APTARE IT Analytics」「Enterprise Vault」となっている。

  • 「Enterprise Data Service Platform」の概要

  • 「Enterprise Data Service Platform」によって実現されること

ストレージ管理ソフト「InfoScale」は、新機能として、Amazon Web Servicesにおいて、HAサポート、専用エージェントによる切り替えの自動化に対応したほか、Chef およびAnsibleのサポートが追加された。

「Information Studio」は、これまで「Information Map」として提供されてきたSaaSをオンプレミスの製品として提供されるもの。高井氏によると、同製品の特徴は分類エンジンを搭載している点だという。これにより、700以上の事前構成済みパターンや110以上のポリシーによるデータの分類やタグ付けが自動化されるようになった。

「APTARE IT Analytics」は、今年2月に買収した「APTARE」の製品をベリタスのブランドとして提供するもので、マルチクラウドの可視化を行う。

ベリタステクノロジーズ テクノロジーセールス&サービス本部 バックアップ&リカバリーアーキテクト 勝野雅巳氏

Enterprise Data Service Platformの核となる「NetBackup」の最新版については、テクノロジーセールス&サービス本部 バックアップ&リカバリーアーキテクトの勝野雅巳氏が説明を行った。

勝野氏は、「NetBackup 8.2」の特徴として「API連携の強化」「ペタバイト規模のデータのクラウドへの保管の実現」「仮想化環境のサポート強化」の3点を挙げた。

APIに関しては、「サービス、プロセスの状況確認」「バックアップジョブの確認・作成・削除・起動・キャンセル・一時停止・復帰・リスタート」など、441までAPIが拡充されている。

勝野氏は、APIの連携によって実現されることとして、「Amazon Web Servicesを活用した低コストのディザスタリカバリ」「NetBackupからのストレージスナップショットの制御」「VMware vRealizeからのVMのバックアップとリストアの制御」を紹介した。

クラウドストレージを利用した大規模データの保存については、Amazon Web Services S3、Microsoft Azure BLOB Storage、Google Cloud Storageを活用して、RTOが高くないデータを対象にコストを抑えた形でディザスタリカバリを実現できるようになった。

加えて、Amazon Web Services SnowballとAzure Data Boxをサポートしたことで、クラウドストレージを初期のデータ輸送に利用すること、ペタバイトクラスのデータをクラウドストレージに保管することが可能になった。

仮想化環境のサポートについては、「VMware」「Microsoft Hyper-V」「Nutanix AHV」「Azure Stack」「Docker Container」に加え、RedHat Virtualization、OpenStackのサポートが追加された。VMware環境においては、エージェントなしでリストアとダウンロードが可能になった。

  • 「NetBackup 8.2」の新機能