タイガー魔法瓶は6月26日、プレミアム炊飯器の新シリーズ「土鍋ご泡火炊き(ごほうびだき)」の試食会を開催しました。土鍋ご泡火炊きとは、タイガー魔法瓶の特徴である「土鍋」を使った炊飯器の新モデルです。試食会では、ご泡火炊きが炊飯に優れている理由も詳しく解説してくれました。

  • 会場に展示されていたフラッグシップモデル「JPG-S型」

  • 「JPH-A型」(写真左)と「JPH-B型」(写真右)。見た目はほぼ同じですが、本体色が異なります

土鍋ご泡火炊きシリーズには、フラッグシップ「JPG-S型」、プレミアムモデル「JPH-A型」「JPH-B型」の3モデルをラインナップ。「JPG-S型」は8月1日発売で、推定市場価格は128,000円前後(税別)。「JPH-A型」と「JPH-B型」は発売済みで、市場価格は「JPH-A型」が118,000円前後(税別)、「JPH-B型」が99,800円前後(税別)です。

前モデルとの比較試食をレポート

会場では、「JPG-S型」で炊いたご飯を試食できました。味の比較として、2018年のフラッグシップ圧力IH炊飯ジャー「JPB-G型」と、マイコン炊飯ジャー「JBH-G」のご飯が用意されました。

  • 「JPG-S型」で炊飯したご飯。お米が粒立っているのが目で見てわかります

  • 1がマイコン炊飯ジャー「JBH-G」、2が2018年の圧力IH炊飯ジャー「JPB-G型」、3が2019年のフラッグシップモデル「JPG-S型」。3がもっとも粒が大きく、ふっくらしていました

食べ比べてみると、大きな違いは食感にあります。新型「JPG-S型」で炊いたご飯は、ふっくらモチモチしつつ弾力もあり、米のさわやかな香りと甘みを強く感じました。2018年モデル「JPB-G型」のご飯もおいしいのですが、「JPG-S型」のご飯を食べたあとだと、もちっと感が少し足りない気がします。

マイコン炊飯ジャー「JBH-G」のご飯は、正直いって「JPG-S型」や「JPB-G型」のご飯とはまったく別の味。もちっと感はほとんどなく、香りも米の香ばしさというよりぬかっぽさを感じました。噛んでて甘みも少なかったです。米粒の大きさも、「JPG-S型」「JPB-G型」と違いコンパクトで締まった印象で、白いご飯として食べるより、カレーやチャーハンといった料理に向いていそうです。

土鍋は金属鍋の2倍も高火力

土鍋ご泡火炊きの特徴は、内鍋に「土鍋」を使っていること。タイガー魔法瓶によると、土鍋で炊飯するメリットは大きく3つの「包む」炊飯にあるといいます。

1つ目は「熱で包む」ように炊飯できること。土鍋素材は蓄熱性が非常に高く、金属製の内鍋よりも高い温度で炊飯可能です。タイガー魔法瓶によると、一般的な金属内鍋だと炊飯時の温度が約130度なのに対して、土鍋内鍋だと炊飯時の温度が最大280度になるそう。

ちなみに今回、土鍋内鍋を採用した土鍋ご泡火炊きは3モデルありますが、フラッグシップ「JPG-S型」の最高温度が280度、「JPH-A型」の最高温度が265度、「JPH-B型」の最高温度が250度となっています。

「JPG-S型」と「JPH-A型」の2モデルが、高温で炊飯できる理由の1つは、内鍋をセットする本体内部に土鍋素材を使った「特大土かまど」を搭載しているから。一般的な炊飯器だと、内鍋をセットする本体内側は樹脂素材となっています。樹脂素材の場合、内鍋を加熱しすぎると樹脂が溶けるなどの問題が起きてしまうのです。本体内面も土鍋素材を使用した「JPG-S型」「JPH-A型」だと、樹脂が溶ける心配はありません。なお、「JPH-B型」の本体内面は樹脂素材となっています。

  • 内鍋をセットする本体内面に「特大土かまど」を採用した「JPH-A型」(写真左)と、本体内部が樹脂素材の「JPH-B型」(写真右)

  • 会場に展示されていた「特大土かまど」。「JPG-S型」と「JPH-A型」の2モデルで採用されています

土鍋で炊飯する2つ目のメリットが、炊飯中の米を「泡で包む」こと。2019年現在、さまざまなメーカーが高級炊飯器を発売していますが、ほとんどが「米を踊らせる」炊飯方法をとっています。米を踊らせるとは、内鍋のなかで勢いよく水を沸騰させて対流をつくり、鍋内の米をかき混ぜることを表す言い回しです。勢いよくかき混ぜれば炊きムラは減りますが、そのぶん米同士が炊飯中にぶつかりあって、米の表面が傷つくデメリットもあります。

土鍋の場合、表面に細かな凹凸があるため、炊飯中に細かい大量の泡がシュワシュワと発生します。泡が米を包み込むように沸騰するので、米同士がぶつかっても泡がクッションとなるのです。このためデンプンが逃げにくく、甘みをしっかり閉じ込めることが可能。表面が滑らかで、炊きムラのないもっちりとした弾力を楽しめるといいます。

  • 土鍋は炊飯時に、細かい大量の泡を発生させるため、米を激しく対流させつつ、米の表面を傷つけにくくなっています

土鍋炊飯で3つ目のメリットが、土鍋の「土で包む」こと。タイガー魔法瓶によると、家庭で使用されている土鍋の8割は「萬古焼き」で、タイガー魔法瓶の土鍋ご泡火炊きも、萬古焼きを採用しています。

ただし、ただの萬古焼きではなく、2018年から「炭化ケイ素」成分を配合しているのが特徴。土鍋の蓄熱性は非常に高いのですが、そのぶん熱伝導性が低い問題があります。土鍋に炭化ケイ素を配合することで、熱伝導性は従来の約2.5倍になりました。2019年は内鍋のコーティングをさらに改良し、より高火力に耐えられるようになりました。

  • 土鍋は蓄熱性が高いのもメリット。写真は金属鍋と土鍋を使って、同じタイミングで加熱をやめたところ。加熱をやめてから、金属鍋は約5秒で沸騰が止まりました。一方、土鍋は加熱をやめて10秒たっても、まだ激しく泡立っているのがわかります

  • 土鍋ご泡火炊きの3モデルは、すべて内鍋が異なります。3モデル共通なのは、「萬古焼き」を使用していること。フラッグシップモデルの「JPG-S型」(写真左)は、底面が泡を均一に発生させやすい波紋底で、内鍋素材に炭化ケイ素を配合しています。内鍋を包む本体内面も、土鍋素材の「遠赤特大土かまど」です。「JPH-A型」(写真中央)は波紋底でないものの、内鍋素材に炭化ケイ素を配合し、遠赤特大土かまどにも対応しています。「JPH-B型」のみ、内鍋素材に炭化ケイ素を配合しておらず、遠赤特大土かまどにも非対応です

内鍋の保証制度にも注目です。一般的な炊飯器は、内釜のコーティングに問題が起きた場合のみ保証対象としていることが多いのですが、土鍋ご泡火炊きは「割れ保証」にも対応。「土鍋素材の内釜は、落としたらすぐ割れるのではないか」と不安だったユーザーにとって、うれしい配慮ですね。フラッグシップモデル「JPG-S型」は5年、このほか2モデルは3年保証となっています。

80cmの高さから、土鍋を地面に落とす実験。何回落としても、土鍋に傷はつきませんでした。タイガー魔法瓶によると、土鍋内釜は一般的な土鍋と比べて2倍以上も衝撃に強いそう

1合炊きでもおいしい

土鍋ご泡火炊きの3モデルはいずれも5.5合炊きですが、フラッグシップ「JPG-S型」のみ、1合炊きでもおいしくご飯を炊ける「一合料亭炊き」を搭載しています。一般的に、5.5合といった大きめ容量の炊飯器は、少量炊きだとご飯をおいしく炊けないといわれてきました。

タイガー魔法瓶によると、5.5合炊きタイプで1合を炊飯すると、1合に対して炊飯空間が広すぎるため、おいしく炊けないのだといいます。ひと粒ひと粒に均一に熱が伝わりにくくなるということです。「JPG-S型」は、専用の「一合料亭炊き専用土鍋中ぶた」が付属。「JPG-S型」で1合を炊くときは、土鍋に中ぶたをし、鍋内部の空間を狭くして炊飯します。

少子高齢化やひとり世帯の増加などで、一度に家庭で炊くご飯の量は減っています。「普段は1合しか炊かないけれど、お客さんが来たときのために5.5合炊きがほしい」「普段の少量炊きでもおいしいご飯を食べたい」というニーズに合った製品だと感じました。

  • 専用の中ぶたをすることで、炊飯空間が物理的に小さくなり、少量でもおいしいご飯を炊飯できるようになります

  • 「JPG-S型」の土鍋(写真左)と、一合料亭炊き専用土鍋中ぶた(写真右)

  • 1合料亭炊きで炊き上がったところ。お米が粒立ち、1合でもしっかりと香り立っていました

  • 「JPG-S型」の「料亭一合炊き」で炊いたご飯(写真左)と、一般的な5.5合炊き炊飯器で1合を炊いたご飯(写真右)。料亭一合炊きは、ひと粒ひと粒がしっかりと独立しており、甘みも強く感じました