ソニーが、ミラーレスカメラ用の超望遠レンズ2モデルを発表しました。ソニーとしてはもっとも望遠となる高性能の単焦点モデル「FE 600mm F4 GM OSS」(SEL600F40GM)と、3倍のズームレンジを持つ「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」(SEL200600G)の2本です。
これらの超望遠レンズをいち早く試せる体験会が報道関係者向けに開かれました。速写性能に優れるフラッグシップのフルサイズミラーレス「α9」を使い、アスリートが駆け回る陸上競技を撮影するという内容です。これまで、本格的な陸上競技を撮影した経験のない筆者ですが、バチピンで撮影できました。驚きのオートフォーカス性能がもたらす超望遠レンズとαの実力を、実写画像を交えてチェックしていきましょう。
カバー範囲が広い超望遠ズーム「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」
「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」は、200mmから600mmまでの範囲をカバーした超望遠ズームレンズ。このクラスのズームレンズは、比較的手軽に本格的な超望遠撮影が楽しめるとあって各社がリリースしており、人気のジャンルになっています。発売日は7月26日で、希望小売価格は税別27万8000円です。
このレンズは、高速なピント合わせと描写性能の高さを特徴としています。オートフォーカスの駆動にダイレクトドライブSSM(超音波モーター)を採用しているほか、非球面レンズやED(特殊低分散レンズ)を使うことで画質も高めています。
レンズの重量は2,115gと、他社の同等クラスのレンズとほぼ同等です。しかし、組み合わせるαシリーズのカメラが軽量であるため、撮影時の重量がライバルよりも軽く済むのがポイントです。
他社のレンズは、ズームをすると先端が伸びて長さが変わりますが、本レンズはインナーズームを採用しているため、ズームをしても全長が変わらないのが特徴です。重心の変化が少ないので、より使いやすくなっています。
ソニー初の“ロクヨン”「FE 600mm F4 GM OSS」
「FE 600mm F4 GM OSS」は、ソニー初となる600mmの超望遠レンズ。開放F値がF4と明るいのが特徴で、600mm F4というスペックはスポーツを撮るプロカメラマンや、野鳥、航空機撮影などの愛好家にも使用者が多いことで知られます。発売は7月下旬で、希望小売価格は税別179万5000円となっています。
さすがに大柄なレンズですが、このクラスではもっとも軽い3,040gに仕上げており、実際に持つと意外に軽く感じるほどです。さらに、レンズの重心をカメラ側にすることで、流し撮りなどでカメラを振りやすいように工夫しています。
XDリニアモーターを2つ搭載してピントの追従性を高めるなど、スポーツ撮影に重要なオートフォーカス性能にも力を入れています。今回の体験会では、20コマ/秒の超高速連写ができる「α9」と組み合わせて試しましたが、走る選手にしっかりフォーカスが追従していました。
描写性能では、色収差の低減に高い効果のある蛍石レンズを3枚も使っているほか、球面収差を抑える大口径超高度非球面XAレンズなどを採用。高い解像力を実現するとともに、ボケの描写にもこだわったそうです。
発売済みのテレコンバーターが装着可能となっており、1.4倍テレコンの装着時は840mm/F5.6、2倍テレコンの装着時は1200mm/F8のレンズとして使えます。
新レンズの実力を実写でチェック!
体験会の舞台は、味の素スタジアムの陸上競技場「AGFフィールド」。今回はハードル走、走り幅跳び、走り高跳びの3種目が撮影のために行われ、用意されたα9と2本の新レンズを使って撮影できました。
カメラの露出モードはマニュアル。素早く動く被写体を確実に止めるため、シャッター速度は1/5000秒を選択。被写界深度が浅くなりすぎるのを防ぐため、絞りはF8に固定しました。ISO感度はオートです。晴天下とはいえ高速シャッターにしたため、感度はISO2000~3200といくぶん高めになっていますが、ノイズは気になるほどではありませんでした。
α9の連続撮影設定は「連続撮影:Hi」にし、最高20コマ/秒で連写してよいカットを選ぶことにしました。フォーカスエリア設定は「フレキシブルスポットM/トラッキング」にし、選手の顔に合わせてから撮影を開始しました。