Google純正スマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」の廉価版にあたる、ミッドレンジスマホ「Pixel 3a」「Pixel 3a XL」。すでに本家Googleやソフトバンクから発売しており、6月7日にはドコモでも販売開始します。
その直販価格(税込)は、Pixel 3aが48,600円、Pixel 3a XLが60,000円と、Pixel 3の95,000円、Pixel 3 XLの119,000円(XLは6月7日まで、“父の日価格”で86,500円)からほぼ半額という値付け。Pixel 3最大の特徴はAIを駆使したカメラ機能ですが、この価格差はカメラ機能にどう影響するのでしょうか。Pixel 3aとPixel 3で写真を撮り比べてみました。
大きな違いは画像処理チップの有無
カメラに関するPixel 3aとPixel 3の大きな違いは、Pixel 3aでは画像処理専用のチップであるPixel Visual Coreがないこと、そしてインカメラがデュアルからシングルになったことが挙げられます。
特にアウトカメラは、「カメラモジュール自体は同等」とGoogleも認めており、画像処理チップPixel Visual Coreはないものの、「画質は(Pixel 3と)同レベルを目指した」としているため、すでに定評のあるPixel 3並みのカメラ機能が期待できます。
夜の街をPixel 3aでパシャリ!
Pixel 3aシリーズのカメラは、12.2メガピクセルのCMOSセンサーを採用し、デュアルピクセルによる全画素位相差AFが可能です。ピクセルピッチは1.4μm、光学式と電子式を組み合わせた手ブレ補正も搭載。レンズのF値はF1.8、視野角は76度。動画は1080pで30 / 60 / 120fps、720pで30 / 60 / 240fps、4K30fpsの撮影をサポートします。
Pixel 3aのカメラモジュールやソフトウェア処理技術はPixel 3と同等なので、基本的な画質は同じになるはずです。Pixel Visual Coreが存在しないことがどれだけ画質や処理に影響するのか、実際に数枚、暗い場所で撮影してみました。
Pixel 3とPixel 3aのカメラ画質は「ほぼ同じ」
個人的な印象ですが、Pixel 3とPixel 3aでのカメラ画質の大きな違いは、撮影した限りは確認できませんでした。もともと、ソフトウェア処理で大幅に手を加えているPixel 3のカメラ機能なので、処理部分で多少の画質差は吸収できるのでしょう。
肝心のVisual Coreですが、これは画質面ではなく、どちらかというと画像処理の速度を担っている印象がありました。
画質の違いというより、処理速度に差が出るようで、Pixel 3aでは撮影後、長めに「処理中」の表示が出ることがありました。特に、撮影後すぐに画像を表示しようとすると、写真が表示されるまでの「処理中」の時間は、Pixel 3aの方が目立って長くなりました。
このことから、Pixel 3aでは、Pixel 3の画像処理チップVisual Coreで行っているものと同等の処理を、時間をかけて汎用チップで行っていると思われます。とすると、画質は同等と見てよさそうです。
Pixel 3aを含むPixel 3シリーズは、Googleの“Computational Photography”を体現するカメラを搭載しています。これはソフトウェア処理によって写真を生成する技術のことで、大きなセンサーや光学性能、画像処理エンジンを追求して画質を求めるデジタルカメラとは異なるアプローチです。
Pixel 3シリーズが得意とする、AIで失われた色を再現する夜景モードはその最たるものです。強力なソフトウェア処理によって、本来は手ブレを気にするような夜景の撮影でも、手持ちでブレずに撮影できるようになりました。色を補完しているため、仕上がりは実際よりも派手めな色合いになるようです。この傾向はPixel 3もPixel 3aも同様です。
とはいえ、見栄えもしますし、驚くレベルで夜景が撮影できるのは間違いありません。シャッター速度などがいじれるわけではないので、特殊な撮影はできませんが、一般的な夜の明かりを撮る分にはとても便利でした。
さて、前編では夜景モードを中心に、Pixel 3とPixel 3aのカメラ機能の違いをチェックしました。後編ではPixel 3aのズーム撮影やポートレート、明るい場所での撮影写真を見ていきます。