IPv6(アイピー・ブイシックス)は、インターネットの利用に欠かせないデバイスごとに割り当てられるアドレス(IPアドレス)を128ビット構成にした規格です。32ビットで構成される従来のIPv4はアドレスが最大約43億ですが、IPv6は約340澗(340兆の1兆倍をさらに1兆倍)という天文学的な数になります。世の端末がすべてIPv6に移行すれば、IPアドレスが不足する問題は解決されること確実です。

そのIPv6ですが、インターネットに接続するためだけのものではありません。アドレスが長く他の機器と重複することがほぼないうえ、同一のリンク(ルータを超えない範囲)では機器に「リンクローカルアドレス」が割り当てられます。だからローカルエリアネットワーク(LAN)のように閉じられた環境では、IPアドレスの設定なしに通信することが可能です。

従来のIPネットワーク(IPv4)では、LANで通信するときにはルータに搭載されている「DHCPサーバ」(端末にIPアドレスを割り当てる機能)を利用してきました。iPhoneも同様に、Wi-Fiに接続するときはルータ/Wi-FiアクセスポイントのDHCPサーバからアドレスの割り当てを受けています。IPv6ネットワークでは、その処理は基本的に必要ありません。

さらにiPhoneの場合、ファイルのワイヤレス転送技術「AirDrop」や音声/映像のストリーミング技術「AirPlay」にIPv6を利用しています。すでにシステムや他の機能との切り離しが難しい基盤レベルで活用されているため、IPv6が必要かどうかという考え自体がナンセンスでしょう。実際、「設定」アプリにIPv6を無効化するスイッチは存在しません。

  • iPhoneに「IPv6」は必要ですか?

    「IPv6」はAirDropなどの技術に利用されています