「USB Power Delivery(USB PD)」は、20V/5Aの最大100Wで電力供給可能な充電/給電の拡張規格です。Type-C端子専用に設計されているため、USB PDで充電/給電するときには一部例外を除きType-Cケーブルの利用が必須になりますが、その性能によって速度は変わるのかというご質問ですね?

確かに、使うType-CケーブルによってUSB PDの充電速度が変わる可能性はあります。USB PD対応ケーブルには3A対応と5A対応の2種類があり、電圧が同じであれば5A対応ケーブルのほうが高速に充電できると考えられるからです。なお、市販のType-Cケーブルは、5A対応と明記されていなければ3A相当と考えられます(Type-Cの規格どおりに製造されていれば3AでUSB PDを利用できる)。

ただし、おおよその充電速度はUSB PD充電器/モバイルバッテリーの出力によって決まります。スマートフォンなどの機器を接続したときには、どの電圧/電流の組み合わせに対応しているかネゴシエーションが行われ、もっとも効率のいい組み合わせが選択されるしくみであり、5A対応のケーブルを利用したからといって必ず5Aが流れるわけではないのです。

現在、スマートフォンなど小型機器向けUSB PD製品のほとんどは、規格上最大の20V/5Aには対応せず、対応する電圧/電流の組み合わせも「5V/3A、9V/3A、15V/2A、20V/1.5A」などと3A以上の出力には対応していません。だから3A対応のType-Cケーブルでじゅうぶんといえますが、近ごろは20V/5Aに対応した製品も安く入手できるようになりました。極端に高価でなければ、5A対応のType-Cケーブルを選ぶほうが無難なことは確かでしょう。

  • ケーブルを変えるとUSB PDの充電は速くなる?

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