KDDIは5月15日、決算発表会を実施。好調な数字がズラリと並びましたが、記者団の関心は新料金プランの詳細、5Gの開始タイミングといった話題に集まりました。そのひとつ、新料金プランの目玉となる使い放題プラン「auデータMAXプラン」は、一体どのくらい使うと速度が落ちるのでしょうか? これについては、条件的には従来よりも緩め、ということのようです。
業績が絶好調のKDDI
決算発表会では、KDDI代表取締役社長の高橋誠氏が登壇して説明しました。売上高は5兆804億円、営業利益は1兆137億円と、増収増益となった今期の決算。au経済圏の流通総額は2.5兆円を突破しており、通信事業、非通信事業ともに好調に推移していることがうかがえます。
新中期経営計画における事業戦略の方向性として、高橋社長は「5G時代に向けたイノベーションの創出」「通信とライフデザインの融合」「グローバル事業のさらなる拡大」「ビッグデータの活用」「金融事業の拡大」などを掲げます。
今後の通信事業の要となる5Gネットワークについては、「過去最大の帯域幅となる600MHz幅を取得できた。世界的に5Gでの利用が見込まれるバンドを割り当てられており、ネットワークの開発費、端末の調達コストが抑えられる」として、今後の展開に期待を寄せます。
新中期経営計画の初年度を迎える20.3期に向けて、新たなブランドスローガンも用意されました。KDDIブランドは、従来の「Designing The Future」から「Tomorrow, Together」に、auブランドは従来の「あたらしい自由。」から「おもしろいほうの未来へ。」にそれぞれ一新します。高橋社長は「今後もワクワクするイノベーション、体験価値をお客様にお届けしていきたい」と言葉に力を込めていました。
新料金プランの実施にともなう顧客還元はどれぐらい?
この後、高橋社長は質疑応答にも対応しました。
最大4割の値下げを実現する分離プランの導入は、KDDIのモバイル事業にどのような影響を及ぼしているのか、という質問には、「政府の方針を受けて、1年半前から分離プランを導入してきた。au通信ARPA(契約者1人あたりの通信料収入)が落ち込んだが、19.3期の第4四半期には、分離プランを導入後に初めて前年同期比でプラスに反転した」と説明。今後も社会の要請に従いながら事業を成長させていきたい、としました。
分離プランを導入したNTTドコモでは、「最終的に最大4,000億円規模のお客様還元になる」と説明していました。しかし、KDDIの20.3期の営業利益は1兆200億円を予想しており、分離プラン導入の影響を感じさせません。このことについて、改めて質問が挙がりました。
高橋社長は「分離モデルを導入したのが1年半前。そのあとでドコモさんも導入された。それを受けて、我々も一部対応した(KDDIは5月13日に追加で新料金プランを発表)。この1年半の間に、すでに利益では3,000億円強の(悪い)影響があった。あと1,000億円、これからの3年間で影響があると考えている。この部分を飲み込んで、20.3期の営業利益予想は1兆200億円としている」と説明。つまり、ドコモと同様にKDDIでも4,000億円規模の顧客還元になるという見方を示しました。
注目の使い放題プラン、利用制限の目安もコメント
5月13日に発表した3つの新料金プラン「新auピタットプラン」「auフラットプラン7プラス」「auデータMAXプラン」のうち、どれがメインになりそうか、という質問には「私としては、auフラットプラン7プラスが最もお客様にお使いいただけるのではないかと思う」(高橋社長)と回答しました。
通信使い放題のauデータMAXプランについては、楽天が参入してから、あるいは5Gが商用化されてから提供をスタートした方がよかったのでは、という声もあったと明かしつつ、「実は、3G回線の時代も他キャリアに先駆けてKDDIがイチバンに使い放題の料金プランを提供した。だから、今回も現場に無理を言って、このタイミングでauデータMAXプランの提供に踏み切った」という背景を説明しました。
auデータMAXプランは、動画配信やストリーミングサービスなど大量のデータ通信を使うサービスの利用や、長時間の接続をともなうサービスの利用、一定期間内に大量のデータ通信をすると通信速度制限が行われる、といった注釈が多く見られます。実際どのくらいのデータ容量を使用すると利用が制限されるのか、という質問にも答えてくれました。
「auデータMAXプランでテザリング、データシェア、国際ローミング通信を利用したときは20GB/月の制限があり、超過したときは通信速度が128kbpsになる。短時間で大量のデータ通信をした場合については、他のプランでは3日間で6GBという上限を設けているものもあるが、これよりは緩い制限でやりたい。このほか、動画サービスの利用時に通信を制限するという記載もあるが、これについてはあまりお客様にご迷惑はかけないかと。HD画質の動画が十分に視聴可能な通信速度を設定する」と説明しました。
5Gの商用化の時期についても触れた
注目の5Gの商用化の時期については、「2020年3月末までに対応端末の販売を開始する予定」と具体的なスケジュールを語ってくれましたが、「今回お話できるのはここまで」と、それ以上の情報は得られませんでした。なお、サービスイン当初は4G LTEと5Gが入り交じるハイブリッドネットワークで始め、徐々に4Gエリアが5Gエリアに代わっていくイメージであると説明しました。