いまさらながら、オンラインサービスをはじめデジタルデータはとても便利だ。しかし、万が一何らかの事情でサービスを利用できなくなるとデータが手元に無いということは充分ありうることだ。ランサムウェアもその特性を活かした脅迫であり、それがどうしても必要なものであれば、金銭を支払ってしまうことになる。過去、常に言われてきたことだが、重要なデジタルデータのバックアップは大切なことだ。"転ばぬ先の杖"、"後悔先に立たず"などの諺がピタリと当てはまる。英セキュリティベンダーSophosのオウンドメディアnaked securityは、改めて最近MySpaceで起こったできごとを示しバックアップの重要性を説いている。
2018年2月1日、Redditに"MySpaceの音楽プレイヤーが音楽を再生しない"と苦情を出していたハンドルネームJodiXD氏は、ついにMySpaceからの返事をもらったが、その内容はがっかりするもので、3年以上前にアップロードした全ての音楽/動画に"ある問題"があるというもの。サポートチームは修正があるはずだとしていたが、修正がいつ行われるのかについては詳細はなかった。13カ月後にMySpaceは"(修正は)行わない"と発表したのだ。
MySpaceは、サーバーマイグレーションプロジェクトの一部として3年以上前にアップロードした写真、動画、オーディオファイルは、MySpaceでは利用できなくなっており、ファイルバックアップの維持を提案するコメントを返している。その後のRolling Stone誌のレポートでは2015年以前にアップロードされたものも含む約5000万曲が削除されたとのことだ。
寄稿者のLisa Vaas氏は、ファイルのバックアップと言われても、取っていなかった場合はもうどうしようもない。残念ながら、MySpaceの一件はクラウドストレージの終焉がこうもなりうる。他の人のコンピューターに自分のファイルを置いていると、その人が管理してくれる限りは安全だが、その人が安全な管理を続けてくれるかは自分には決められないということだと述べ、大切なファイルは自分の手元にバックアップしておくこと。オフラインでかつファイルには暗号化しておくこととデータの取り扱いの基本を改めて警鐘している。
国家レベルの極めて重要なデジタル資料であれば、電磁パルスであるEMP(Electromagnetic Pulse)なども考慮にいれなければならないだろうが、そうでなくとも企業で保存しなければならないデータは、山ほどある。バックアップやディザスタリカバリ(disaster recovery)などのソリューションは、各ベンダーが提供している。災害や事故によって事業継続ができなくなったということは通用しない時代に入りつつある。