3月10日、品川グランドホールにてスマホアプリ『シャドウバース』のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League 2018 League Championsip」(以下、チャンピオンシップ)が開催された。

チャンピオンシップは、年間を通じて開催されたプロリーグの「ファーストシーズンチャンピオン」と「セカンドシーズンチャンピオン」が争い、2018年の年間チャンピオンを決定する大会だ。ファーストシーズンは「レバンガ☆SAPPORO」が勝利し、セカンドシーズンは「au デトネーション」が優勝した。

会場は品川グランドホール。常設の席もあり、観覧しやすい施設だ

勢いに乗るレバンガが年間チャンピオンに

ファーストシーズンを勝ち抜いたレバンガ☆SAPPOROは、北海道を拠点とするプロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」が母体のeスポーツチームだ。ファーストシーズンでは、5連敗というどん底から、怒濤の7連勝で奇跡の逆転優勝を成し遂げた。

セカンドシーズンで優勝したauデトネーションは、エースのミル選手を中心に安定した強さを見せる老舗eスポーツチーム。圧倒的な強さでセカンドシーズンを優勝した。

しかし、今回のチャンピオンシップでは、4対1の大差でレバンガ☆SAPPOROが勝利。2連勝で先行したレバンガ☆SAPPOROに対して、auデトネーションはミル選手が3戦目を取り返すも、4戦目を落としてしまう。そして、レバンガ王手で迎えた5戦目、レバンガ☆SAPPOROのリーダーきょうま選手が、これまで勝てていなかったミル選手に圧勝し、レバンガ☆SAPPOROの優勝に花を添えた。

auデトネーションのミル選手が一矢を報いるが、結果は4-1の大差でレバンガ☆SAPPOROが年間チャンピオンに輝いた

北の大地でeスポーツを根付かせる動きが活発化

今回の大会では、単にシャドウバースのリーグチャンピオンが決定しただけではなく、地方に根付いたeスポーツチームが結果を出したという点が大きかった。

実は、北海道はeスポーツに力を入れ始めている地方の1つ。2月28日には、任意団体だった北海道eスポーツ協会が、「一般社団法人 北海道eスポーツ協会」として組織変更しており、北海道新聞社、レバンガ北海道、産業技術学園北海道ハイテクノロジー専門学校、凸版印刷北海道事業部、電通北海道、クラウドキュレーションという6つの企業、教育機関で構成されるようになった。北海道を拠点とする企業と教育機関が、eスポーツを北海道に根付かせようと活動を始めているのである。

その矢先で、今回のレバンガ☆SAPPOROの年間チャンピオン獲得は、北海道のeスポーツ普及に大きく後押しすることとともに、日本各地の地方都市にも大きな影響を与えたようにも感じた。

レバンガ☆SAPPOROのオフィシャルパートナーは、北海道の企業であるサッポロビールであり、メンバーのさわさき選手は北海道出身だ。eスポーツはオンラインでの対戦なども多く、場所に依存しない反面、まだまだ地域との関わりが強いとは言いがたい。それだけに、北海道をアピールするこのチームの優勝は、地方でeスポーツ事業の展開を考えている企業やコミュニティにとって追い風となったのではないだろうか。

試合前から用意していた年間チャンピオンを記念したTシャツを着込み、優勝の盾を掲げるレバンガ☆SAPPORO

試合後の会見では、各選手も北海道への想いを語ってくれた。

「チームのある北海道とは、いろいろと協力をしていきたいです。また、地元が石川県なので、石川にもeスポーツ文化を持って帰りたいですね」(真春選手)

「北海道のeスポーツ専門学校とも提携しているので、そこと協力ができたらと思います」(Tatuno選手)

「各地方からeスポーツのことを発信できれば良いですね。もちろん、北海道からも発信していきたいです」(きょうま選手)

「北海道もまだまだやるというところを見せられたのではないでしょうか。北海道の人たちにも東京のイベントに行きたくなるように、eスポーツやシャドウバースをアピールしていきたいです」(さわさき選手)

会見で喜びを伝えるきょうま選手
イベント終了後はロビーにレバンガ☆SAPPOROのメンバーがお見送り。来場者は一緒に写真を撮影し、勝利を分かち合った

eスポーツには、地元出身の選手や地元企業、自治体との連携など、地方活性化の一翼を担うことができる。今回の大会は、その可能性を示してくれたのではないだろうか。

(岡安学)