メリハリのある音が楽しい!

一般的にDAPといえば、ローカル(内蔵ストレージ/メモリカード)の楽曲を3.5mmジャックに接続したイヤホンで聴くものですが、M6のリスニングスタイルは実に多彩。NASに保存した音源を有線イヤホンで聴く、ローカルの楽曲をBluetoothイヤホンで聴く、Spotifyなどのストリーミングサービスを有線、またはBluetoothイヤホンで聴く、スマートフォンで再生した曲をBluetooth DAC/AMPモードで聴く……。挙げればキリがないほどです。

今回のレビューでは、microSDカードに保存した楽曲と、Bluetooth接続したスマートフォン(iPhone)でストリーミングサービスの楽曲を再生し、3.5mm端子に挿したイヤホン「SHANLING ME100(以下ME100)」で試聴することにしました。ME100は、10mmダイナミックドライバ×1基を搭載するシンプル構成ながら、アルミニウム塊から削り出されたハウジングに10mmナノコンポジット振動板を採用。イヤホン本体のコネクタ形状はMMCXでリケーブル可能なことなど、随所にこだわりを感じられる逸品です。

ME100で聴くM6のサウンドは、快活という言葉がピッタリ。中域に肉厚さを覚えつつも解像感があり、音の輪郭が濁りません。低域は量感豊富ながらもスピーディで、ESSのDAC(ES9018Q2C)らしい制動が効いたハリのある音です。M6にバランス出力用端子はなく、接続はシングルエンドのみ。アンプ出力にもあと少し余裕がほしいなど、気になる点はあるものの、aptX HDやLDAC対応のBluetoothイヤホンを利用できることをふまえれば、むしろターゲットユーザーをうまく絞り込めているように思えます。

  • M6

    側面の音量ボタンを押すと現れるメーター画面でも、ボリューム調整が可能です

Bluetooth DAC/AMPモードでiPhoneと接続し、iPhoneで再生するSpotifyの音楽をM6で受信して聴いてみました。適用されるコーデックがSBCということもあり、M6のアプリで聴いたほうがダイナミックレンジが広い印象を受けました。スマートフォンとテザリングすれば、M6でもSpotifyなどのストリーミングサービスを利用できるわけですから、音質的にはベターでしょう。Bluetooth DAC/AMPモードは、Apple Musicのように、M6で利用できないサービスを使いたい人に向けた機能と解釈したほうがよさそうです。

  • M6

    画面上部を下方向へフリックすると現れる「クイック設定パネル」。かんたんにUSB DACやAirPlayをON/OFFできます

それにしても、M6の多機能ぶりは群を抜いています。microSDカードにたくさん楽曲を入れて屋外で楽しむ、自宅のNASにため込んだ音源をネットワーク再生する、アプリで音楽をストリーミング再生する……。ユースケースも豊富でユーザーを飽きさせません。手のひらに収まるサイズ(W53.3×H92.5×D11.5mm)で、約83gと軽量、ためらうことなく屋外へ持ち出せることもポイントです。価格も2万円台前半とリーズナブルですから、「気軽に使い倒せる多機能DAP」の座は当面揺るぎないものになりそうです。