神戸市は2月15日、レセプト(診療報酬明細書)のチェック業務の効率化のため、FlyDataのAI(人工知能)技術を導入して2018年7月2日から2019年1月31日まで行った実証実験・効果検証の成果を発表した。これによると、正解候補リスト内に正解を含む場合は他システムによる番号検索など従来行っていた確認作業が不要になり、約70%の作業時間が削減できたという。

  • レセプトデータ処理のイメージ

子供への医療費の助成制度などを運用する同市国保年金医療課では、医療機関が送付するレセプト(診療報酬明細書)の請求に基づき、毎月20万件の診療に対する助成を行っている。

しかし、請求の中には受給者番号が誤っているものなど多様な間違い(エラー)が含まれており、そのエラーのチェック業務に多大な時間がかかり、職員の負担になっている。

同プロジェクトでは、職員が行っているチェック作業を整理・分析したうえで、ツールを構築し、チェック業務の効率化・短縮化を目的に実証実験を行った。

  • チェック業務の自動化イメージ

具体的には、まず過去の受給者番号入力ミスの傾向を学習させることにより、誤った受給者番号から正しい番号を推測するAIモデルを作成。次いで、推測結果を正解候補リストとして出力し、現場のチェック作業で補助的に活用することで、業務の効率化に寄与する効果を検証したという。

実験結果は、正解候補リスト内に正解を含む場合(40.6%)では、他システムによる番号検索など従来行っていた確認作業が必要無くなり、約70%の作業時間が削減できたという。一方で正解候補リスト内に正解を含まない場合(59.4%)は、リストを突合する時間が純増したため、トータルの削減時間は限定的だったとしている。

今回の実験により、一定の精度でAIによる推測を実現すると共に、推測結果の現場への導入によりチェック作業を効率化できることを確認できたという。

今後、AIによる推測に利用できるデータを増やすことで、推測精度の向上が見込めると共に、他のチェック業務への展開が期待されるとしている。