2月4日、PayPayが「100億円キャンペーン」の第2弾を発表した。既報の通り、適用条件の大幅変更によって100億円の「中身」は大きく変わり、より多くのユーザーに広く浅く還元するものになった。

第2弾キャンペーンでは1回あたり還元額が上限1000円に

発表会では大いに盛り上がった第1弾の成果を振り返るとともに、不正利用などの課題についても対策が語られた。新たなキャンペーンによりPayPayのQRコード決済は日本に根付くのだろうか。

認知度やサービス理解でNo.1、課題にも対応

日本全国でキャッシュレスへの取り組みが進む中、PayPayが12月4日に始めた「100億円キャンペーン」は大盛況となった。対応店舗の1つであるビックカメラからはiPadの在庫が消え、最終日には終了の噂を聞きつけた客がレジに行列を作った

第1弾はわずか10日間で100億円を「消化」して終了したが、PayPayの累計登録者数はサービス開始から4ヶ月で400万人を突破。「ヤフージャパンの歴史を振り返っても、最速で400万人を獲得した」とPayPayの中山一郎社長は成果を語った。

PayPayの累計登録者数は400万人を突破

400万人はどれくらい凄いのか。LINE Payの登録者数は国内3000万人を超えるが、1月31日の決算では月間アクティブユーザーの目標として世界で1000万人との数字を掲げた。

PayPayのアクティブ率は不明だが、MMD研究所が2019年1月に887人を対象にした調査では、LINE Payの7.9%に対してPayPayは8.1%と上回った(1位は楽天ペイの9.4%)。名称認知やサービス理解でもPayPayはNo.1に躍り出るなど勢いが感じられる。

PayPayは名称認知やサービス理解でNo.1に

このように大きな成果を挙げた一方で、反省すべき課題もあったという。社会問題にもなった不正利用問題への対策として、クレジットカードは「3Dセキュア」による本人認証に対応。認証後は30日間で5万円、特定条件で25万円を上限とした。今後は銀行口座の接続を含め、利用者に向けて注意を喚起していくという。

「上限1000円」で広く利用促進、QR普及なるか

次に、PayPayが新たに発表した第2弾の100億円キャンペーンの中身を見ていこう。最大の特徴は、1回の決済あたりの還元額を上限1000円に制限した点だ。抽選でキャッシュバックされる確率は10回に1回と高まったが、これも1回あたり上限1000円に抑えられた。

その背景について中山社長は、「多くのお客様に、日常の決済にご利用いただきたい。長い期間、何度も使ってほしい」と語る。一方でSNSには落胆の声が広がり、キャンペーン発表直後の13時過ぎにはビックカメラの株価が急騰する場面もあったが、上限が1000円と分かるとすぐに落ち着いたことも話題になった。

毎日の買い物や移動など、日常的な利用にフォーカス

たしかに、iPadや白物家電のような高額商品を買ってもうまみは少ないことから、第1弾のようなお祭り騒ぎは期待できない。だが、PayPayで支払うだけで合計で最大5万円、抽選も含めて最大7万円の還元が受けられるのは破格のオファーといえる。

買い物時に1000円ずつ還元を受ける場合を考えると、5万円の還元を受けるには5000円の買い物を50回、あるいは1000円の買い物を250回する必要がある。一部の人だけが得をした第1弾のキャンペーンとは異なり、第2弾はコンビニやドラッグストア、タクシーなどの日常的な利用に多くの人が参加できそうだ。

日常利用を繰り返すことで大きな還元を得られる

対応店舗として、大手チェーンでは「ローソン」や「松屋」が新たにPayPayに対応する。第1弾ではビックカメラなど都市部が有利との声があったが、PayPayの営業部隊の開拓により地方にも対応店舗は広がっているという。

PayPayの対応店舗は拡大予定

今後の課題として、かざすだけで使えるFeliCaに比べてQRコードは煩雑との声も上がっている。2月2日には安倍晋三首相が商店街でPayPayを体験したことが報じられ、中山社長は「政府関係者にも触れていただき、QRコードは思ったより簡単だったと聞いている。将来は明るいのではないか」とアピールした。

QRコード決済で先行するLINEは、LINE Payを含む戦略事業に600億円を投資する構えだ。4月開始のau PAYなど競争激化が予想される中、積極攻勢をかけるPayPayはQRコード決済の普及に向けて一翼をになう存在になりそうだ。

(山口健太)