それでは、INDIOのサウンドを聴いてみることにしましょう。トグルタイプの電源スイッチをパチンと動かすと、赤いランプが光って電源が入ります。この感触が実にカッコイイんです。電源をオンにした時とBluetoothのペアリングが完了した時に、ギターの生音が再生されるのもまたニクい点といえます。実は、フェンダーでアンプ設計に携わるプロダクトマネージャーのRick Heins氏がエレキを弾いた音を録音して取り込んでいるのだとか。制作陣の音楽への愛情が伝わってきます。

高音質のaptXコーデックで接続できるスマホ「Google Pixel 3 XL」を使い、Spotifyで配信されている楽曲を中心に聴いてみました。

やはり、ロック・ポップス系の楽曲とは相性が抜群に良いと感じます。音に厚みがあってふくよか。しかもだぶつかず、エネルギーを前にガツンと送り出してくる元気なサウンドです。そのスケール感は、とてもこのサイズのスピーカーが鳴らしているとは思えません。

ジョン・フルシアンテのアルバム「A Sphere in the Heart of Silence」から『The Afterglow』を聴くと、ボーカルがセンターにしっかりと腰を据えてバンドのサウンドがバックを固めます。立体的な空間の広がりが感じられ、あたかもわが家のリビングがコンサートホールになったかのよう。エレキが、太く甘いサスティーンの効いた音色を響かせます。コードのカッティングプレイも歯切れよく、ジャキジャキっと軽快なリズムを刻みます。実に心地よいドライブ感です。

テイラー・スウィフトのアルバム「Red」から『We Are Never Ever Getting Back Together』では、からっと乾いたアコギの音色が温かな余韻を残します。凛としたメインボーカルの音像の周りをコーラスが柔らかく包み込んで、リッチなハーモニーを描き出します。そして、安定感豊かなベースの低音が、演奏の足もとをしっかりと支えてくれます。それぞれの音がぼんやりと交わらず、きりっと引き締まった緊張感あふれる音楽をINDIOが鳴らし切ってくれました。

好みの音にアレンジしたい場合は、本体トップのコントロールノブから高域(Treble)と低域(Bass)をそれぞれ微調整できます。INDIOはポータブルスピーカーなので、屋外に持ち出したり、大勢の人が集まる部屋で音楽を聴く時に活用する機会も増えるはず。このような場面では、低域を少し持ち上げてみると音が整うかもしれません。ただ、本体は防水仕様ではないので、屋外やキッチンの側で使う時には水濡れに注意して使いましょう。

ちなみに、上位モデルのMONTEREYのサウンドは、INDIOに比べるとより中高域の見晴らしが良い印象を受けます。サイズも一回りぐらい大きな兄貴分なので、音場のスケール感にも富んでいます。ただ、中低域の力強さはINDIOも引けを取っていません。

NEWPORTは、MONTEREYのクリアな中高域の再現力を共有するコンパクトモデル。余計な色付けがなく、ニュートラルでバランスの良いサウンドは、INDIOとコンセプトを同じくしています。どんなジャンルの音楽にも無理なくフィットしながら、ミュージシャンの思いを引き出してくれると思います。

最後に、INDIOをアマゾンのスマートスピーカー「Echoシリーズ」と組み合わせて“スマートスピーカー的”に使いこなす方法をご紹介しましょう。INDIOには、3.5mmステレオミニタイプの音声入力端子が搭載されています。パッケージに同梱されているケーブルを使って、筆者宅のAmazon Echo Spotにつないでみました。

Echoシリーズは、大容量のスピーカーを搭載するEcho Show以外、外部スピーカーと接続するためのステレオミニ音声出力を搭載しています。INDIOに接続すると、Amazon Musicの配信音源やTuneInのインターネットラジオが驚くほどに鮮度の高い音質で楽しめました。もちろん、楽曲の検索・再生にはEchoシリーズの音声コントロールが利用できます。

  • Amazon Echoスピーカーとの相性も良いです

INDIOは、ボーカルや楽器の“生音”のリアルな再現力がとても高いワイヤレススピーカーだと感じました。操作が直感的にできるだけでなく、バッテリーも内蔵しているので、家の中や外出先などにも気軽に持ち歩いてお気に入りのサウンドが楽しめます。小音量で再生しても明瞭な音が鳴らせるので、夜間の音楽再生にも向いています。ワンルームに暮らす若い音楽ファンの方、インテリアにマッチするおしゃれなスピーカーを探しているファミリーにオススメできます。古くからのフェンダーを愛する人だけでなく、フェンダーを知らない人も、ぜひ一度は聴いてみてほしいワイヤレススピーカーの佳作といえます。