iOS 9で登場した「低電力モード」は、iPhoneのバッテリーのもちをよくする特別な動作モードです。機能をオンにすると、一部機能に制限が生じますが、システム全体の消費電力は低減します。バッテリーが残り少ないとき、次の充電まで少しでも長もちさせたいときに利用します。

低電力モードにすると、一部のアプリは振る舞いが変わります。特にiOSに標準装備の「メール」アプリは、iメッセージの到着をプッシュ通知しなくなり、次回アプリを起動したタイミングで受信(フェッチ)するようになります。アプリのバックグラウンド更新(使用されていないアプリがコンテンツを取得する機能)も無効になります。どのようなアプリが影響を受けるかは、『設定』→「一般」→「Appのバックグラウンド更新」画面で確認できます。

ほかにも、アプリの自動ダウンロード/アップデートが行われなくなる、「ヘイ、シリ」でSiriを呼び出せなくなる、ダイナミック壁紙や視差効果が無効になるなどの違いが生じます。ふだんと違うな、と感じた場合はホーム画面右上のバッテリーステータスの色が黄色(通常モードは緑)になっていないか確認しましょう。

もうひとつ、低電力モードではインストールされているすべてのアプリに重大な変化が現れます。iPhoneの頭脳ともいえる中央演算装置(CPU)のクロックが、通常モード時に比べ3、4割ほど引き下げられるのです。クロックが下がれば、それだけピーク時の演算性能が下がるため、アプリの処理速度が低下します。

もっとも、アプリは指示待ちのアイドリング状態が長く続くため、体感できるほどの性能低下はなかなか現れません。アクションゲームのようにCPUに高い負荷をかけるアプリはともかく、メッセージをやり取りするような散発的に負荷が発生するタイプのアプリは、低電力モードにしたことによる速度低下はほとんど感じられないはずです。

  • 低電力モードにすると、メールのプッシュ通知が届かなくなったりアプリのバックグラウンド更新が行われなくなったりします