日本たばこ産業(JT)は17日、加熱式たばこ「プルーム・テック」の新製品を発表しました。従来のプルーム・テックのバリエーションモデルとなる「プルーム・テック・プラス(Ploom TECH+)」に加え、他社と同様の高温加熱式の「プルーム・エス(Ploom S)」の2種類を用意。「温度で選ぶ時代」(同社副社長・たばこ事業本部長 岩井睦雄氏)に対応する考えです。いずれも1月29日から発売されます。
JTの加熱式たばこであるプルーム・テックは、先行するiQOS(フィリップ・モリス・ジャパン)やglo(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)とは異なり、低温加熱式を採用しており、健康懸念物質やニオイが少ない点が特徴とされています。
ユーザー調査でも、ニオイの少なさや、髪や服にニオイがつきにくいこと、部屋の空気や壁紙を汚しにくいといった点に満足という声が多かったのですが、たばことしての吸いごたえに欠けるという声も根強く、44%が吸いごたえの強化を望んでいたそうです。
プルーム・テック・プラス
その解決を図ったのがプルーム・テック・プラスです。プルーム・テックのニオイが少ないという特徴はそのままに、吸いごたえを強化。事前調査では90%が吸いごたえに満足したとしています。
吸いごたえを強化するのために、たばこカプセルのたばこ葉を増量しつつ、本体のバッテリー出力を強化することで、蒸気(ベイパー)量のアップを図りました。その結果、加熱温度は従来の30℃から40℃にアップしましたが、ニオイの少なさはそのままに、ベイパーの量も増えて吸いごたえが強化されたといいます。
プルームテックは火を使わないため、タール自体は発生しません。ただ、吸いごたえの目安としてタール換算すると、従来のプルーム・テックが1~3mg程度、プルーム・テック・プラスは5~6mmをターゲットにしているそうです。
新モデルのプルーム・テック・プラス、構造はプルーム・テックと同様で、たばこカプセルとリキッドの入ったカートリッジを本体に挿入して吸います。吸い始めに電源ボタンを3回押す作業は発生しますが、それ以降は吸い込むたびに電源が自動オンになる仕組みです。
たばこカプセルは、プルーム・テックと同じ形状・サイズで、相互に差し替えることもできますが、「カプセルに合わせてリキッドも変えている」とのことで、同社が想定した味わいを実現できるとしています。
プルーム・テックは紙巻きたばこに比べて、ニオイは1%未満に抑え、健康懸念物質も99%カットしたとされていますが、プルーム・テック・プラスも変わらず、ニオイは1%未満、健康懸念物質は99%カットした、としています。
本体はブラックとホワイトの2色が用意され、価格は4,980円。「大人の嗜好品らしい、奥深い味わい」を目指したとしており、たばこカプセルはレギュラータイプ、メンソールタイプともに2種類ずつ、計4種類を用意します。カプセル5個、カートリッジ1本が入ったパッケージの価格は500円です。
プルーム・エス
これに対して、iQOSやgloと同様の高温加熱式を採用したのがプルーム・エスです。高温で熱して蒸気を発生させるため、よりたばこに近い味わいになるのが高温加熱式とされており、一層の“たばこ感”を求めるユーザー向けに開発されました。
ただ、高温加熱式でもたばこと同じ味わいにはならず、違和感を覚えるユーザーがいる、ともしています。その理由は、高温加熱式特有のニオイだと、JTは指摘します。この低減に取り組んだ結果、加熱温度を200℃に設定しました。iQOSが300℃、gloが240℃程度とされており、それより温度を下げたことで、特有のニオイを低減したとのことです。
低温加熱式に比べて独特のニオイは発生しますが、紙巻きたばこ比でニオイは5%未満に抑え、健康懸念物質も90%以上カットしたとしています。
たばこ葉を摘めたスティックを本体に挿入し、スティック周辺から熱する、gloと同様の方式を採用。スティックは紙巻きたばこの味わいを再現するために、独自のリアル香味製法を採用したそうです。
事前調査では、嫌なクセがない、うまみを感じる、飽きがこないといった評価を受けており、高温加熱式でも先行するiQOSやgloからシェアを奪取していきたい考えです。
こちらも本体はブラックとホワイトの2色が用意され、価格は7,980円。たばこスティックはレギュラータイプを1種類、メンソールタイプを2種類、用意します。20本入りで価格は480円です。
販売は?
どちらも1月29日から、全国のPloom専門店(24店)とJTのオンラインショップで販売を開始します。専門店では1月25日正午から予約を開始し、1月29日からは予約販売を行います。オンラインショップは1月29日正午から先着順での販売になります。2019年中には、コンビニエンスストアをはじめとした全国での販売を行う計画です。
なお、従来のプルーム・テックも、ニオイの少なさや手軽さに加え、多彩なフレーバーを用意して味を楽しめる製品として継続販売されます。
岩井副社長は、たばこの楽しみ方は人それぞれで、「多様なニーズに多彩な選択肢で応える」ことが重要だと話し、加熱式たばこを温度で選べるように、複数の製品を用意しました。「それぞれのカテゴリで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化につながる」と岩井副社長は強調し、新製品の投入で加熱式たばこでも国内シェア1位を確保したい考えを示しています。