2018年のGoogleをあらわす出来事を1つだけ選ぶなら、私は「邪悪になるな (Don't be evil)の削除」を選びます。
「邪悪になるな」は非公式モットーでしたが、オープンなWebの進化を後押しするGoogleをよく表した言葉でした。でも、広告ベースの無料サービスで、収集したデータから収益を上げるビジネスモデルとの矛盾も指摘されていました。
米国では人々のプライバシー保護に対する関心が、過去に例がないほど高まっています。フェイクニュース問題、Facebookの個人データ流用問題をきっかけに、ユーザー情報の収集に厳しい目が向けられるようになりました。Google+からの個人データ流出、中国向け検索エンジンの開発、Safariのプライバシー設定を回避した追跡など、Googleも2018年に数多くのプライバシー問題に直面しました。
「邪悪になるな」を掲げた創業間もないGoogleは誰からも好かれる新進気鋭の企業でした。今のGoogleは巨大で、Webをコントロールするような存在として嫌われることもしばしばです。でも、今のGoogleだからこそ、20年前のGoogleが思い描いても形にできなかったような大きなことを実現できます。収集したデータを用いた広告からの収入がGoogleの売り上げ全体の9割弱を占めます。収集データの活用がより便利で高度な検索サービスの提供につながり、そしてAndroidのようなプラットフォームの維持、人工知能 (AI)のような将来に向けた技術の研究開発の源になっています。
2018年はGoogleが検索サービスを開始してから20周年でした。「邪悪になるな」の削除は、20歳になったGoogleの"大人の決断"だったといえます。