凸版印刷は11月27日、駅および商業施設を案内するコミュニケーションAIの実証実験として、チャットボット搭載のスマートスピーカーと多言語AIサイネージ「BotFriends Vision」を東京駅に12月7日から設置すると発表した。
実証実験は、JR東日本が設立した「モビリティ変革コンソーシアム」の一環として実施し、凸版は2017年11月から同コンソーシアムに参画。今回、AI活用による駅および商業施設における案内業務の実用性の検証としてBotFriends Visionとチャットボット搭載のスマートスピーカーを東京駅エリアに設置し、同実証実験を通して案内コミュニケーションAIの実用性およびAIコミュニケーションツールの優位性を検証する。
東京駅のコンコース内にBotFriends Visionを設置し、来場者への案内や問い合わせの多言語対応を行う。BotFriends Visionは、凸版印刷のチャットボットプラットフォーム「BotFriends」と多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz」、音のバリアフリースピーカー「ミライスピーカー」を組み合わせたものとなる。
VoiceBizにより、30言語の中から選択した言語に自動で翻訳した上で瞬時に音声やテキストで出力。駅コンコース内における専門用語や固有名詞をサーバに登録することで、翻訳精度を高め、円滑なコミュニケーションの実現を目指す。なお、今回の実験中は日本語と英語のみに対応する。
また、BotFriendsは用意した質疑応答集の通りに回答するのではなく、行動経済学と同社がコールセンター対応で培ってきた顧客対応ノウハウに基づき、利用者の気持ちに寄り添ったおもてなし対応を可能とし、システム・DB・印刷物制作などの多様な既存サービスと連動することで、プラスアルファのソリューションを提供するという。
加えて、今回の実証実験中はヴァル研究所の「駅すぱあと」と連携して乗換案内や時刻表情報を表示するほか、QRコードで画面上の情報を取得してスマートフォンと連携。同社では実証実験を通して、案内コミュニケーションAIおよび、AIコミュニケーションツールの技術的課題の抽出や解決方法の検証を行い、サービス品質を向上させ、AIチャットボットを活用した駅構内・周辺観光案内などのサービスの実現を目指す考えだ。
一方、東京駅のインフォメーション窓口にはTISのチャットボットプラットフォーム「DialogPlay」搭載のスマートスピーカーを設置し、駅員の訪日外国人観光客対応を支援。同実証実験では、多言語音声入出力の実地検証とチャットボットによるコミュニケーションの技術的課題の抽出を目的にしている。
AIを活用したFAQ対応として、予め想定できる道案内や乗換案内などの問い合わせにはチャットボットが自動で応答する。FAQへの対応や状況のヒアリングにより適切な対応を伝えることができるという。
さらに、日本語と中国語・英語の双方向翻訳に対応し、訪日外国人観光客対応のためにリアルタイムで会話を翻訳。これにより、駅員の訪日外国人観光客対応の補助が可能になるとしている。