香川大学と富士通は、障がいの有無にかかわらず誰もが共に学べるインクルーシブ教育の実現に向けて、障がい理解の促進や特別支援教育の専門性向上にVirtual Reality(以下 VR)やテレプレゼンスなどを活用する実証研究を開始することを発表した。

  • 実証研究の流れ

    実証研究の流れ

この実証研究は、香川県教育委員会、小豆島町教育委員会、土庄町教育委員会の協力のもと、インクルーシブ教育の実現に向けて、離島の小・中学校、および高等学校の教員・支援員が障がいの理解を深めて専門性を習得することで、特別支援教育の専門性向上を図ることを目的に実施される。

障がいがある子どもの教育に携わる小豆島地域の小・中学校、および2018年度より通級指導制度が開始された高等学校の計5校と、香川県の教育に関する研究および教育関係職員の研修を行う教育センターの教員・支援員約50人が対象で、実施期間は2018年11月20日から2019年3月31日まで。

香川大学教育学部 坂井研究室・宮崎研究室と富士通は共同で、障がいがある子どもたちの困難をVRで疑似体験し障がいを学ぶVR環境を構築し、教員と支援員が自閉症者の感覚過敏を体験できるイギリス国立自閉症協会制作の全天球映像を、VRヘッドマウントディスプレイを通して疑似体験しその有効性を検証する。

また、教室に設置した全天球カメラで、特別な支援を必要とする子どもたちの授業の様子を撮影し、専門家はヘッドマウントディスプレイなどを装着し臨場感ある状態でビデオを確認し、教員や支援員に教え方や子どもたちへの接し方などについて的確なアドバイスを行うという。

さらに、富士通がシスコのビデオ会議システム「Cisco TelePresence Video」とWeb会議サービス「Cisco Webex Meetings」をネットワークサービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICSⅡ ユニバーサルコネクト」でつなぎ、離島・僻地にある学校の教員・支援員が適切なアドバイスを受けられる遠隔支援システムを構築する。これにより、画面越しの対面での遠隔教育相談の有効性を確認できるようになるということだ。