なかなか渋い質問が飛び込んできましたね。交流電源のプラスとマイナスが1秒間に入れ替わる回数、「電源周波数」の違いですか! 結論からいうと、まったく気にしなくていいのですが、なぜこのような疑問が生じるのか、現状どうなのかをかいつまんで説明してみましょう。

日本では、明治時代の電灯会社が購入した発電機の違いにより、静岡県富士川と新潟県糸魚川を境として商用電源周波数が2分されています。東京や札幌など富士川以東が50Hz、大阪や福岡など富士川以西が60Hzとなっており(例外として長野県と新潟県の一部に50/60Hz混在地域があります)、それは2018年の現在も変わりません。

電源周波数の違いは、家電製品の使用に影響があります。インバータを内蔵する機器は、その働きにより直流(DC)から必要となる周波数の交流(AC)に変換するため、電源周波数の違いによる影響を受けませんが、洗濯機や電子レンジには影響を受ける製品が多く存在します。

対応する電源周波数の異なる地域で家電製品を使用すると、重大事故の危険性があります。たとえば、50Hz対応の洗濯機を60Hzの地域で使うと、理論上1.2倍速で回転することになり、故障の原因となります。特に電子レンジや蛍光灯器具は危険で、電源周波数の異なる地域では部品の交換や調整なしに利用できません。

しかし、ACアダプタは例外です。iPhoneに付属のACアダプタ(スイッチング方式)は、100Vから240Vまでの幅広い入力電圧と50Hz/60Hzの周波数に対応し、ここ日本では電源周波数の違いに関わらず100Vの交流を整流/平滑化させ、5V/1Aの直流として出力します。USB出力に対応したACアダプタの大半はスイッチング方式ですから、サードパーティー製品でも気にする必要はないでしょう。

  • iPhoneに付属のものにかぎらず、一般的にACアダプタは電源周波数を気にする必要がありません